①書名:あいうえおの本
②著者名:安野光雅
感想
安野光雅さんの描く、温かく、そしてどこかユーモラスな「あいうえおの本」は、文字を学ぶという枠を超え、豊かな想像力の入り口となるような絵本です。それぞれの文字に対応する絵は、写実的でありながらも、安野さんならではの優しい視点と細やかなユーモアが散りばめられています。子どもたちが身近なものを通して文字を認識できるよう工夫されているだけでなく、その絵の中に隠された物語や発見があり、大人も一緒に楽しめる奥深さがあります。ページをめくるごとに現れる、美しい色彩と繊細なタッチで描かれた世界は、子どもたちの好奇心を自然と引き出し、「これはなんだろう?」「あれは何をしているのかな?」といった会話が生まれるきっかけを与えてくれるでしょう。単に文字を覚えるだけでなく、絵を通して言葉の持つ意味や広がりを感じさせ、知的好奇心を育む力に満ちています。