ヤフーフリマの「ガンプラ定価縛り」を、現役模型店主が冷徹に分析してみる
最近、ヤフーフリマがガンプラの出品価格をメーカー希望小売価格以下に制限する施策を打ち出し、SNS等では賞賛の声が上がっています。しかし、長年現場でプラモデルを扱い、市場の動向を注視してきた私からすれば、このニュースは非常に「白けた」視点で見ざるを得ません。なぜ、業界1位のメルカリではなく、2位のヤフーフリマがこの決断をしたのか。そこには「転売対策」という美名に隠された、狡猾なまでの生存戦略が見え隠れします。1. 「2位」だからこそできるイメージ戦略プラットフォームにとって、出品価格を制限することは本来「自殺行為」です。販売手数料が減るだけでなく、自由な価格設定を求めるユーザーが他サービスへ流出してしまうからです。それでもヤフーが踏み切ったのは、彼らが圧倒的1位のメルカリを追う「チャレンジャー」だからに他なりません。ユーザー流出による短期的な損失よりも、「転売対策に積極的なクリーンなプラットフォーム」というイメージを植え付け、新規の閲覧者(購入者)を呼び込む広報効果の方が高いと踏んだのでしょう。2. 「ヤフオク」という巨大な受け皿ヤフーの戦略が狡猾なのは、彼らが「フリマ」とは別に、国内最大の「ネットオークション」という自社プラットフォームを持っている点です。フリマで価格を縛れば、高値で売りたい層は当然ヤフオクへ流れます。オークション形式は「買い手の意思で価格が決まる」という大義名分があるため、規制の対象にはなりません。つまり、ヤフーグループ全体で見れば、実利益を損なうことなく「善人顔」のブランディングだけを完遂できる、極めて計算高い「美味しい話」なのです。3. 1位メルカリが動けない「構造的理由」一方で、メルカリが同様の措置をとらないのは、彼らが1位のドミナント(支配者)だからです。1位が自ら経済活動を縛れば、それはそのまま市場の縮小と2位との差が縮まることに直結します。また、彼らが掲げる「自由な市場」という理念において、個人の財産権(いくらで売るかという権利)をプラットフォームが制限することへの法的・倫理性的なハードルも、ヤフーより遥かに高いはずです。結び:戦略としての「規制」か、規律としての「定価」か結局のところ、今回の騒動は「販売価格が下落傾向にある時期を狙った、ダメージの少ないパフォーマンス」という側面が強いと見ています。本当にユーザーに寄り添うなら、相場が高騰していた1年以上前に着手すべきだったはずです。私はコロナ禍以降、一度たりともプレ値での販売を行っていません。買取時もお客さまに丁寧に説明し、販売価格はメーカー希望小売価格を上限とする。これは、我々実店舗が「戦略」としてではなく、模型文化を守るための「規律」として当たり前に継続してきたことです。プラットフォームの派手なパフォーマンスに一喜一憂するのではなく、誰が、どのような思想でその商品を扱っているのか。そんな「売り手の顔」が見える商いの価値を、改めて考えていただければ幸いです。