オーダーバイキング カーニバル ~準~
オーダーバイキングは、バイキングの理想形である。自分はテーブルについたまま、メニューを見ながら好きなものを好きなだけ注文できる。いちいち席を立つわずらわしさ、面倒くささがないし、何より出来立てが供されるので、美味しいことこの上ない。王様気分のバイキングなのである。そのオーダーバイキングが4月17日から23日まで期間限定で開催されるというので、さっそく行ってみた。ホテルのメインフレンチダイニングである。夜の8時を回って、客の入りは7割くらいだった。カウンターのバーもあり、それに似合ったJAZZピアノが流れている。グラスの水が供され、メニューを手渡される。それがこちらの予想を裏切ってB6見開きの1枚きりで小さい。メニューが少なかった。前菜4、スープ2、魚料理3、肉料理3、デザート4という全16種。唖然としてしまった。メニューバイキングで私が知っているのは皆中華系である。もう無くなってしまったが、木更津の「麒麟閣」では大きなメニュー4ページに渡って、飲茶から一品料理まで総勢80種から選ぶことができた。120分で1980円。大阪の551の肉まんの所の中華では50種(90分/2000円)、千葉パルコ8階の「馥園」では50種(デザートはサービスの杏仁豆腐のみ/1オーダーに5皿ずつ/90分2079円)、横浜中華街「横浜大飯店」では75種(1オーダーに5皿ずつ/120分/1980円)、東京ベイホテル東急の「孔雀庁」では飲茶15~20、料理6種(その他メニューはバイキング台より/2887円)ジャンルは異なるが、みなこれくらいの充実度はある。それが全部で16種類とは。(何かちがうなぁ)前 菜:スモークサーモンのマリネスタイル ライスコロッケ 季節の野菜添え ルッコラと生ハムのプランタン サフランの焼リゾットとカニクリームフリットスープ:ショートパスタのミネストローネ コーンポタージュ魚料理:茸と魚介のパピエット 白身魚のポアレ 漁師風 オマール海老のエピス仕立て肉料理:若鶏のグリエ 色とりどりの野菜と共に 和風牛ロースステーキ 香味野菜とハンバーグ ディアブロ風デザート:ティラミス グレープフルーツムース レアチーズケーキ ココナッツのムース マチェドニア添え (コーヒーor紅茶 パンorライス付き)最初から最後まで全部頼もうとも思ったが、さすがに大人気ないので、前菜2種だけ選ぶ。ところが、ウェイター氏が立ち去らない。(ある程度まとまって頼まれたほうが…お時間もかかりますし)フーム。どうやら他の人は、コース全品を最初に頼んでしまうらしい。スープを1つ追加した。(とりあえずそれで。また頼みますから)と言って帰ってもらう。どうなんだろうと思った。自分のやり方がおかしいのか。あれこれ考えながら、次はどれ、その次はどれと頼む楽しみがあるからこそのオーダーではないのか。それを最初からコース設定するなら、その辺のプリフィックススタイルと変わらない。食べ放題かどうかの違いだけだ。いや。今どきのプリフィックスの店のほうが、ずっとメニューが充実している。最初にスモークサーモンがやってきた。ブラックペッパーが効いている。普通においしい。パンを頼む。焼きたてのクロワッサンが供された。ふわふわで甘くて、最高点をあげたいくらいうまい。ほかの人とは違って、食べながらコースの順序に則って次々と注文していった。ステーキが最初から冷めていたので、もう一度作ってもらう。9時半でラストオーダーを告げにきた。デザートを注文する。結局16のうち13品を頼んでいた。(何か違うなぁ)盛り付けの皿が皆似たようなものだし。デザートなどはどれも、同じ皿、同じ添え物で同じ盛りつけ方である。デザートを4品頼む奴もいないのか。それにしても、もう少し工夫できるだろう。食後の珈琲を楽しんでいると、女性が来て(お勘定を早めにお願いします)と言ってきた。閉店時間10分前だそうだ。テーブルについたまま、カード払いにする。(何かちがうなぁ)は、やはり錯覚ではなかったようだ。ここのやり方はまるきりエレガントではない。ここに来るお客は町の食堂に来ているわけではない。満腹感だけを求めているわけではない。それプラスαの満足感・充実感を味わいにきているのだ。普段とはちがうゆったりした気分でしばらく楽しんでいたいのだ。その辺の下手な居酒屋だって、閉店時間のまえに「蛍の光」みよがしの勘定取りなどしない。このホテルは去年から経営が変わった。コンセプトも変わったようだが、市原で1番のホテルというステイタスは自他共に認めているのではないか。ネーミングをそのまま引き継いだことからも、それは伺える。それならそれで、その重厚な名前にふさわしい中身を持ってほしい。きょう受けた感じだと、たまらずに(準)か(準々)を付けたくなってしまう。準オーダーバイキング。準サービス。これは冷やかしではなく、真剣な励ましである。自分なりの大事な想い出もある場所だけに、今後も頑張ってほしいからあえてそう言うのである。「カーニバル」 住 所:市原市五井5584-1 五井グランドホテル 1階アクセス:白金通り 消防署とケイヨーD2の間電話番号:0436-23-1211営業時間:11:00-14:00/18:00-22:00(LO21:30)定 休:無休メニュー:オーダーバイキング2300円(夕食時のみ/4月17日~23日)評 価:☆☆☆