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2015.09.10
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カテゴリ:読んだ本
怪しげなタイトルとコピーに惹かれた「教団X」。

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実際手元に届いてみると
「ちょ…辞書かよ…」というほどの分厚さ&重さで
持ち歩く気にもなれず
しばらく読むのを躊躇してました。

でも分厚いわりには意外と早く読めたのでちょっと驚いてます。
そこそこ行間が空いてたから、かな…?

(いや…多分、哲学的な教祖の教え部分を斜め読みしたから)


楢崎という男が、
失踪した恋人の行方を探し
とある怪しげな教団を訪れるところから物語はスタート。

一体どんなカルト教団なのかと身構えていた楢崎の前に姿を見せたのは
白装束ではなく普段着を着たごくごく普通の人々で拍子抜け。

話を聞いてみるとカルト宗教色も強くはなく
今は病院にいるため不在だという教祖を慕う人々が自然と集う
ゆるーい癒しの会のようなものだと判明。

楢崎は人を探している事を話し
恋人の名を告げてみるのだが、
反応がなかったため
写真を見せてみたところ彼らの顔色が変わった。

彼女は偽名を使っていたのだ。

以前ここには
教祖の資産を騙して持ち逃げした
別の宗教団体から派遣されたスパイと思われる団員がおり、
なんと彼女もその詐欺メンバーの一員だったというのだ。

呆然とする楢崎。

その後なぜか彼は、
恋人が在籍するという例のカルト教団に誘われ
ついていってしまう。

待っていたのは謎の女性達による性接待。
彼はカルト教団のスパイになるよう命じられ
そのまま一ヶ月拉致されてしまう──


実は楢崎も自分が探している女性の事をよく知りません。
恋人といっても、まだ関係があったわけでもないし
彼女が何に苦しんでいたのかもわかってない。

楢崎が2つの教団を行ったりきたりするうちに
いろんな人物の視点に切り替わりながら物語は進行し
複雑な人間関係と彼らのバックボーンが
徐々に明らかになっていきます。

そして真の目的や首謀者がわからないまま
水面下で着々と動き始めるテロ計画。

果たしてこのテロを食い止めることはできるのか──?





最初は同じ師匠を師を仰いでいた二人が
全く異なった別の教団の教祖となるに至った経緯は
波瀾万丈で読み応えがありました。

多くの人が教祖として崇めるだけの
人並み外れたカリスマ性とバイタリティがある、という点は
共通しています。

逆に教祖になりうる資質には
人としての善悪は関係なく
それだけで十分なのかもしれませんね。

なにが善でなにが悪かという
根本的な人の価値観を塗り替える事が
宗教なのだから。

あと面白いなと感じたのは
テロ実行犯らがテレビ局を制圧したあと
保守派、リベラル派の論客達と討論し
論破するところでした。

第二次世界大戦は正しかった仕方なかったと主張する右派の論客との討論にはかなりのページ数を割いています。
靖国神社についての犯人の主張もわかりやすく、なるほどと思いました。

で、てっきり犯人は珍しく討論上手な頭の切れる左翼なのかと思いきや
左派の論破は相手に反論する余地すら与えない非情さで1ページで終わってます。

「君達への問いは簡単だ。世界は善で出来ているとでも? 世界の本質は悪だ。そんな中で無防備でいろと?(中略)
仮に世界が悪でなく善で出来ていて、君達の論理が通るママゴト世界だったとしよう。では宇宙人が攻めてきたらどうする?(中略)人類が宇宙人と必死に戦う時、日本人は指をくわえて見てると? それとも何か? 君達お得意の交渉で宇宙人を説得できるとでも? 
宇宙人をデモ行進で迎え討つ?」

これはワロタww

まだ宇宙人に対して「ラブ・アンド・ピース!」とか叫んでデモやるってんならわかる。

でも日本に対して「武力持つな!」ですからね…


このテロ実行犯もどっちかというと左派寄りではないかな~と思いますが
左派を論破したというよりも
日本の左翼の言動があまりにもダメすぎて激おこ、って感じでした。


ちなみに…
この本に登場するカルト教団ではあやしい性的な儀式がいろいろ行われている、という設定なので、ふんだんにそういう描写が出てきます。

カルト教団の闇に興味がある人は面白いかもしれません。

中盤からは楢崎よりも、
楢崎の彼女の兄であり教団幹部の高原というモテ男を巡っての
女達のドロドロしたお話にシフトしていきます。

またこの高原の過去も壮絶に重くてですね…はぁ…

全体を通しての感想は「なんかすっごい疲れた…」でした。





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最終更新日  2015.09.11 09:17:02
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