カテゴリ:◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ
↓前回です♪
第三十段 ~紅孩児は悟空を抱きしめた~ ★☆★☆ 第三十一段 次の日は雨だった。 夜が明けきらぬうちから、 幾重もの薄絹の帳がゆるやかなドレープを見せて、世界中に垂れさがっている。 そんな優しい雨。 黒々とした木々のうっそうと茂った葉をひそやかに雨粒が叩く音が 哀しい音楽のように響いていた。 ただ、葉や枝に受け止められ、大きな粒に生まれ変わった雨は 三蔵の傷ついた背中を打ち 絶えることないリズムで痛みを与えていた。 彼の背中のただれを虚しく洗って 力なく地面に向かって垂れ下がった両腕を流れ こんな時ですら優美に見える細い指から水時計のように 規則正しく地面にしたたって 紅い水たまりを拡げ、 少し離れて立つ悟空の足を濡らしていた。 彼が知ったら恥じ入るだろう、綺麗好きの彼が 自分を見ることになったら。 その心配は全くないのだったが 悟空は、もしもの時の彼の心情を想い、可哀相でならなかった。 彼を清潔にしてあげられないことを深く悲しんだ。 被毛のない人間。白くてきよらかに輝く皮膚の男。 それが三蔵だった。 今は違っていた。 頭部とそれ以外の場所にも被毛が現れて、 彼の衰弱した顔を一層哀れな様子に縁取っていた。 この有り様を悟浄が見たら、世界が沈没するほど泣くだろう。 ほんの数日前じゃないか。 悟浄とふたり窮屈な風呂で彼が満足そうにくつろいでいたのは。 今、彼は孤独に激痛と戦っており 一番弟子の悟空がそばに控えているにもかかわらず、 その助けはあてにできないのだった。 彼の下半身を覆っている衣(ころも)は、雨に濡れ貼りついて やせ細った彼の痛ましいまでの身体の輪郭を露わにしていた。 悟空に見える限りの彼のあらゆる部分は出血していた。頭部ですら。 石の寝台に触れている身体の前面は、 彼の血液でできたプールに浸っていて まるで紅い池に溺死体が浮いているように見えた。 時折、痛みに耐える呻き声と、続く恐ろしい静けさ、 次には水中からもがき出たように 泡吹くような長い呼吸音がして 無理矢理彼を長生きさせるための酸素を 与えている、誰かが、あるいは彼自身か、 そんな心を持たない機械のような何かの力を借りて 痛みのない死の淵から無理やり、この男にとっては 痛みに耐えるより辛いこの、 自分の意志で管理することのできない 生ける屍(しかばね)の状態まで蘇生させる、 その繰り返しがもう気が遠くなるほど 続いていた。 つづく どうか、この猿奴の罪をお許しください。なむなむ ↓次回です♪ 第三十ニ段 ~死の味2~ 最初からお読みになりたいごキトクな方は (たぶんいらっしゃらないと思うけど) 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪ 『三蔵、妊娠したってよ』↓シリーズ(笑) 三蔵、妊娠したってよ 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第三段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第四段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第五段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第六段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第七段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第八段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第九段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十一段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十二段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十三段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十四段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十五段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十六段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十七段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十八段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第十九段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十一段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十二段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十三段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十四段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十五段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十六段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十七段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十八段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十九段 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第三十段 ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン 以上全部同じ人(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.08.26 22:29:47
[◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ] カテゴリの最新記事
|
|