『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第百十六段　～哀しきオリッシー～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

↓前回です♪ 第百十五段～増幅～ ★☆★☆ 第百十六段 それなのになぜなんだ？ どうして俺なんだ？ シアンは間違っている。 ジョンの混乱は深まり、眩暈とともに目の前に忽然と現れたのは 黒装束のドールと手枷。 繋がれた彼が踊る哀しいオリッシー。 これは夢なのか幻覚なのか？ リアル過ぎて気持ち悪い。 ジョンはホワイトの助言を受け入れて やはり何か食うべきだったと 今頃になって後悔した。 頭痛やフラッシュバック、胸のむかつきは、 火星に着いてからずっとだが 空腹がそれをますます助長しているようだった。 彼は額に滲み出て来た生汗を腕で拭い、 ドールのダンスが見えないように両手で顔を覆った。 するとまた、シアンの胸の痛みが自分のもののように甦った。 まるで今の俺は本当にシアンそのもののようだ。 彼と俺との間に境がないような気がする。 複雑に絡み合って、溶け合っている。 そして例の深い場所に巻き込まれ落ちて行く感覚 幻しの渦のエネルギーの激しさ。 おなじみのあの輝くブルーの冷たい世界に連れていかれる。 孤独な死人(しびと)が待っているあの場所。 ジョンの正常な意識は水色に呑み込まれて失われそうになっていた。 沈んで沈んで落ちて、そして死人が見えた。 そうか。。。 俺と溶け合っているのはお前か？ 彼の頭頂部。傷だらけのスキンヘッド。 彼の顔が真っ直ぐ見える位置まで落ち切った時、 死人の瞼がゆっくり開いた。ジョンの目を見ていた。 ジョンの目の奥、そのまたずっと先を、見ていた。 『お前なのか？』 空洞に過ぎない死人の目に向かって ジョンは言った。 『この悲しみはお前のものか？ お前が俺に送り続けていたのか、こんな絶望を。 お前は誰だ。』 相手は答えなかった。 『誰なんだ？ 分かっている。シアンではない。 いったい誰だ？』 質問を続けたが、 彼はピントの合っていない目でジョンの目の遠い向こうを 見つめ続けるだけだ。 『シアンはアルビノだ。お前は違う。 だが何故か似ている。 お前の何かが、シアンと同じなんだ。 教えてくれ。お前は誰だ？ そして、どうして俺をこんなに苦しめるんだ？』 つづく ↓次回です♪ 第百十七段～誰を観客に踊ったのだ。あの煽情的なダンスを～　 最初からお読みになりたいごキトクな方は 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪ ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　William Feng 以上全部同じ人（笑） 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪ [堀込兄弟/ｷﾘﾝｼﾞ/小田和正/鈴木康博/ｵﾌｺｰｽ] カテゴリの記事 『可愛いに間に合わない』新着記事一覧 ↑ここから目的の記事を探して頂く方が早いかもしれない？ もしもお気ににして頂けるならば、その時もここのほうが、、