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可愛いに間に合わない(ファッションと猫と通販な日々)

2018.01.27
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↓前回♪
第百五十一段~別れ~

★☆★☆

第百五十二段

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

シアンをドクター・ラクロアに預けて

というより

シアン以外は全員ラクロアから追い払われたわけだったが

ジョンは『冬の部屋』に戻り、

作業部屋の通信機のひとつの前に立った。

最新鋭最高級機器。

キューザック家にももちろんあるが

ジョンがそれを使うことはない。

武装船での実用本意の生活に慣れているジョンは

この贅沢品を前に少し戸惑い

これ以外は使うなとシアンに命じられていたので

仕方なく考え考えぽつりぽつりと操作してようやく

金星のポールに繋がった。

ポール。

切望していた瞬間だったが

やはりいつもの臓腑が引き絞られるような緊張からは

逃れられない。

だが不思議なことにピタリと頭痛は止んだ。

シアンやホワイトと、ポールとの違いは何だ?


しばらく、ホログラム相手とは言え養父のハグに耐え

シアンとの事前の打ち合わせに従って

まず婚約の件を報告した。

ポールは上機嫌だった。

驚きもしなかった。

アレクから連絡があったと言った。


全てを聞かされただろうか?


たとえば王子とホワイトの関係について、とか。

もし聞かされていないとすれば

ジョンもポールに話すことは出来ない。

そのことはポールの息子としてのジョンの本能に

逆らうことだったが

一介のコマンドに過ぎない自分の身の上を思えば

最も階級が上である上官(アレク)の思惑に従わないわけには

いかないのだ。

それに何も聞かされなくても

ポールにはある程度の察しはついているに違いない。

先日の話しの様子ではそうだ。

ポールにしたところで

推測であろうと、アレクが認めていない事柄を

覆すような話しをしてはならない、先日もそう言っていたし

今だってそう思っているはずだ。

用心深いポール。

アレクが否定している限りは

王子はこの二年間、宮廷以外の場所に居たことはないのだ。

ましてや誘拐や投降などといった言葉は

口にしたが最後

命の保証はないと思ってよい。

それはたとえ、

ポールが臣下の誰よりもアレクに愛されていることが

紛れもない事実だとしても、だ。


彼はアレクにとって特別の存在だ。

誰もそのことを否定する者はいないだろう。


アレクが総帥就任以前から就任後、

帝国が安定するまでの間

どの側近より皇帝と時間の多くを共有してきたのだ。


アンナが時々お茶の時間に話して聞かせた。

決まって、ジョンとふたりきりの時だった。

父王から疎まれていたアレクとアンナを

陰で支え続けたのはキューザック家だった、という話し。

山ほどいた側室の中でも、

もっとも身分の低い妾妃を母として生まれたが,

他のどの子供たちより優秀だったので

誰もに警戒されていた。

特にポールは自分の危険も顧みず

ふたりを守った。

アレクを、彼は大そう気に入っていた。

『まるであなたに出会った時のように。

はじめて会った時から兄に夢中になった。』

アンナは心からそんなポールを愛しているようだった。

血の匂う子供を愛する男を。

『私は私の大切な兄を愛してくれる彼を

深く愛さずにはいられなかった。』


ポールからはこう聞かされている。

アレクは最も先王の血を濃く受け継いでいる、と。

生まれ持っての支配者の血。

コーネリアス家の冷血。

この子以外に世界を統べることはできない。


彼らふたりの強力な結びつき。

互いの剣の刃を素手で握り合った。

血の絆だ。


そうだとしても、

この寵臣が賢く身の程をわきまえているから

長く成り立っている関係だ。

ポールがそれを怠ったなら

アレクはポールを殺さないわけにはいかない。

アレクにとって

シアンとアンナを別とすれば

世界で一番愛しく

それゆえに一番危険な存在はポールだからだ。


アレクは案外冷静だったらしい。

ただアンナと話す時にはさすがに少し感傷的だった、

とポールは苦笑した。

そして『よくやった。』と言った。

その後『お前は火星に居るのだな』と訊いた。

『そうです』とジョンは応え、

いっそう胃が縮む感覚を覚えた。

嘘は言っていない。

だが、ホワイト邸に軟禁されていると知ったら

父は何を思うだろうか。

通信機から発信される識別コードは自由にできる

と王子は言っていた。

この世に彼の自由にならないものがあるなら、

教えて欲しいものだ、とジョンは苦く考える。

くそ、せめて、発信元がどこになっているかだけでも、

訊いておけばよかった。

俺はいったい

どこでどうしていると答えるのが正解なのだ?

それから『シアンと一緒に居るのか?』とポールは訊いたが

『先程までは一緒でした』

とだけひやひやしながら答えた。

それも正直な答えだったが、

どうとでも言い逃れのできる返事だ。

シアンやジョンの存在場所を

できるだけ曖昧にしておく必要があった。

自分以外にも

諦めの悪い人間が約一名いる。。

シアンはこの通信機のセキュリティは万全と言っていたが

用心するに越したことはないのだ。


ポールがジョンの返事の通りを信じたかはわからない。

ただ、ポールは『そうか』と言ったきりそれについては

それ以上は追求しなかった。

ありがたい。

父は百戦錬磨だ。


ポールは少し考え、別のことを話し始めた。

『実は陛下からの連絡の後、

王子から個別に通信が入ったのだ。

そのことは聞いているか?』

と言った。

『はい。例のミッションのことでしょう。

父上のお気持ちを確認したかったのだと思います。』

ジョンは応えた。ポールの反応が怖かった。

自分の不手際を報告しなければならなかった。

『確認もなにも陛下から聞いたところによると

見届け人はロバート・スティールと

ニール・ホワイトだそうじゃないか。

挙式は奴らの火星で行われる?

いったい誰のアイデアだ?』

ポールは訊いた。

そして皮肉っぽくにやつきながら首を傾げて見せた。

それに対し『王子のご希望です』

と倦み疲れたようにジョンは応え

『理由は知らないのです』と言い添えた。

『アクロバットショーを観ているような気分だ。

脚の上にのっかっているのは一体全体誰の頭なんだ、え?』

ポールの顔から笑みが一瞬消えた。

彼は目を細め、眉間に皺をよせた。

シアンの指示で胸に秘めていることを

父は全て知っているような気がして

ジョンは気が気ではなかった。

『まあ、よい。

陛下はシアンの言うがままだ。

シアンはただお前を守りたいだけだろう。

とにもかくにも

首の皮はつながった。

今のところは。

そうだろう?

見事だ。』

彼の不敵な顔に笑みが戻った。


見事もなにも、

ジョンが知らないうちにアレクは結婚を承諾したのだから

自分の手柄でもなんでもない。


『まったく。。。』ポールは続けた。

『あの小僧はドールで、その上ネクストだ。

我々にはさっぱり理解できんよ。』

そう言ってとうとう声を立て笑い始めた。

父親のその朗らかさとは全く逆に

ジョンの気持ちは沈み、背中を冷たいものが流れた。

『申し訳ありません。私はしくじったのです。』

とうとう言った。

『ロバートが今生きているのは完全に私のミスです。

ご命令いただけるなら

今からすぐに奴を殺します。

王子に禁じられて

判断に苦しんでいたのです。

王子の命令を聞くべきか

ペンタゴンの命令を遂行すべきなのか、と。』

『いやいいのだ。

王子の命令が優先だ。

それが正しいかどうかではない。

アレクがどう思うか、だ。

陛下は王子の命令をないがしろにする者を

赦しはしないだろう。

お前の躊躇いは正しい。

止めてよかったのだ。

それに今はわかる。

陛下はもともと望んでおられない。

あの方はどうやらロバート贔屓らしい。

早く気づくべきだったな。』

その話しにジョンは驚き

それと同時に今回、何故スティール家が族滅ではなく

教育施設(スクール)収容なのかが腑に落ちた。

ロバートは陛下のお気に入り?


やはり

暗殺の情報をロバートに流したのは陛下か。

だが確証もなくそれを今ポールに言うべきかどうか

わからない。

あるいは、父はもう知っているのかも知れなかった。

『内通者がいたのです』

思い切ってジョンは言ってみた。

『ロバートは作戦の詳細を知らされていたに違いない』

ポールの顔から再び笑みが失せ、

目を光らせ、鋭くジョンを見た。

『そうか』

その養父の表情から何を思っているのか想像するのは

難しかった。

『私の部下ではありません。』

ジョンははっきりと言った。

『恥ずべきことですが、

私たちは全滅するところだったのです。』

『分かっている』

ポールもはっきりと答えた。

『お前は陛下に似すぎているのだ』

奇妙なことを言い足した。

『私だけがそう思っていたわけではない、

そういうことだ。』

ジョンは首をかしげたが、そのことについて

ポールに詳しい説明を聞くのはためらわれた。


俺と陛下が似ている?





それから話しを変え

ふたりは、今日突然行われた粛清について

情報を交換し合った。

ジョンの知っていることは少なかった。

その間、眠らされていたからだ。

彼の知っていることは、

ホワイトとシアンから聞かされたことのみ。

そんな寝耳に水だったジョンと違い、

ポールはスティール家の不正について

アレクと以前から、ある程度は

話し合っていたに違いないと思えた。

だがそんな父にとってもこのアレクの唐突な決断は

直前に彼にだけは報せが入ったに違いないにしても

青天の霹靂であり、

また、逆賊に対する処罰も意外、

甘い、と写っているようだった。

そうか。

ジョンは思い至った。

ロバート贔屓ということもあるかもしれないが、

一族郎党死刑を免れたのは、、

シアンだ。

彼が自分の要求を通したに違いない。

彼は流血を嫌う。


ポールは続けた。

『お前たちのミスは許されないことだが、

もし首尾よくロバートを殺していたなら、

お前の結婚はなかっただろう。

陛下はロバートを生かしておきたかった。

それどころか奴だけ何のお咎めも無し、だ。

陛下はいったい何を考えておいでだ?

とにかく

王子が私に何と言ったと思う?

-我々の結婚の妨げになるようなことは

決してしてくれるな。-

だ。

つまり、ロバートを生かしておきたい陛下のお気持ちを

王子は知っているというわけだ。』

ポールの唇の片側だけが微笑んだ。

『まあ、いずれにせよ、スティール家は終わったも同じだ。

ロバートがどれほど有能で、

たとえ今後、陛下の後押しがあったとしても

もう今までのようにはいくまいよ。』

それはどうだろうかとジョンは思ったが、口をつぐんでいた。

養父はジョンが皇室入りすることで

少し楽観的になっているようだった。

だが彼の喜びに水を差すことはしたくはない。

父親の喜びを彼自身の喜びにするべきだ。

しかしいつまで彼の期待に応え続けることができるだろうか。

ジョンは暗く考えた。

その陰気な顔を見て、ポールは言った。

『何をそんなに悲観しているのだ?

お前がどう控え目に見積もっていようと

シアンはお前に首ったけだ。

そしてその王子にあの皇帝は夢中なのだ。

最早、世界の半分以上はお前の手の中にある。』

ポールはこの前言ったことをまた言った。

世界が自分のもの?

その言葉は相変わらずジョンを怯えさせる。

そんなもの、欲しくない。

『王子はこうも言ったのだ。

自分が生きているうちに

お前を皇帝にする、とな。だから

最大限、この結婚に協力しろと。

なんという小僧だ、まったく。』

ポールの血も涙も感じられない目が

真っ直ぐにジョンを睨みつけ

鼻先で笑った。

『大変な女房になりそうだな?』

ジョンは目を伏せた。

そのからかいの言葉は、

養父が滅多にない機嫌のよい状態であることを

示していたが、それに乗じても、

シアンは男になるのです、

とは打ち明け辛かった。

いずれは分かることなのに、と思っても、

どうしても言えなかった。

そしてなにより、

たった今、シアンは死ぬかもしれない、

とはさらに言えなかった。

俺たちは危険な橋を渡っている。


『ところで

式の後、シアンはお前をどこに住まわせるつもりなのだ?』

ポールは話しを続けた。真顔だった。

ジョンは肩をすくめた。

『聞いていません』

『宮廷は止した方がいい』

あからさまに言った。

『私は王子に従うだけですから』

ジョンはあきらめきった声を出した。

『陛下はお前を傍に置きたくはないだろう。

お前を絞め殺す夢に毎晩苛まれるだろうからな。

夢だけで済めばよいが。

いっそ、何か理由を見つけて

お前だけでもこちらに戻れ。』

父は突飛なことを言った。

本気の様だった。

『願ってもないことですが。。』

ジョンは首を振った。

『王子のお考えに従うまでです。

私が決める訳には行きません。』

その時その言葉を聴いたポールが思いがけないことを言った。

『もうお前は皇室のものなのだな』

養父の言葉と声に

ジョンは脳貧血を起こしたように少し朦朧とした。

その奇妙な反応は彼には謎だった。

鼻の奥が痛み、眼球が熱を持った。

『いいえ。私はこれからも父上のものです』

ジョンはそう言いたかったが

ポールがそれを喜ぶとは思われなかった。

それが証拠に次の瞬間

ポールはせせら笑いを浮かべた顔をし

ジョンを乾いた目で見つめ

キューザック家から君主を出すことは

遠いご先祖からの夢だった、と言った。

『シアンは約束を守るだろう。

今回のことではっきりした。

お前をこの広い海から

驚くべきスピードで捜し出したのだ。

小僧の能力は失われていない。

私も彼のおおせに従わないわけにはいくまい。』





つづく







↓次回です♪
第百五十三段~あの二人~


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