しろうと自然科学者の自然観察日記

2017/09/14(木)06:00

シモバシラの花。【高尾山での自然観察・その7】

☆8月24日、立川市の生涯学習・たちかわ市民交流大学市民推進委員会主催の講座「散歩が楽しくなる植物観察入門2 高尾山の植物」の3回目「夏の高尾山と植物」に、共同企画者として参加しました。新たな植物との出合いもありました。高尾山での自然観察を紹介しています。高尾山のあちこちで見かけたシモバシラの花です。(2017年8月24日撮影)。 ☆シモバシラは、本州(関東地方以西)から九州の山地の木陰に生えるシソ科シモバシラ属の多年草です。学名はKeiskea japonicaで、属名の「Keiskea」は幕末から明治時代の植物学者伊藤圭介の名にちなみ、種小名の「japonica」日本の固有種であることからつけられているそうです。 ☆昨年観察したシモバシラです。シモバシラの葉は対生し長楕円形で、縁に切れ込みが浅い鋸歯があります。対生する葉の葉腋から花穂を出します。茎の先端の花穂は開花し始めていますが、それ以外は花穂が伸び始めたところです。シモバシラの茎は四角形で堅く、枯れた後の真冬にはこの根元に霜柱ができます。(2016年8月16日撮影)。 ☆シモバシラの花穂は、水平に伸びている茎から真上に伸び、花序が立ち上がった姿に見えます。開花している花穂とともに、後ろに見えるこれから成長する花穂もつぼみが集まっているのがわかります。(2016年8月16日撮影)。 ☆シモバシラの花は上下2つの分かれている白い唇形花で、よく見ると上唇が2つに分かれ下唇が3つに分かれているのがわかります。萼は釣鐘型で、先端が5つに分かれています。雄蕊は4本で、花冠から突き出しており、下の2本が長いのがわかります。左側の中央の花には、先端が2つに分かれた雌蕊が突き出ているのが見えます。(2016年8月16日撮影)。 ☆一つの花の中で雄蕊の長さや形が異なるものを、異形雄蕊というそうです。4本の雄蕊のうち2本が長く左右対称に上下1対ずつに配置されているものは、二長雄蕊(二強雄蕊)といい、シソ科やゴマノハグサ科に見られるそうです。 ☆シモバシラの茎は冬には枯れてしまいますが、枯れた茎の導管に水が吸い上げられ、外気温が氷点下になると導管内の水が凍って霜柱ができます。2年前の12月に観察したシモバシラの霜柱です。(2014年12月19日撮影)。 ☆シモバシラ(霜柱)の名は、この現象に由来します。別名は、ユキヨセソウ(雪寄草)です。シモバシラの花言葉は、「健気」だそうです。「健気」とは、しっかりしていること、勇ましいことですが、真冬の寒さの中で枯れた茎の根元に美しい氷の結晶の霜柱を作っている様子から付けられたのでしょうか。

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