群像劇の魅力にとりつかれたのは、「ER 緊急救命室」(1094-2009)という、アメリカのテレビ・ドラマ・シリーズが最初でした。群像劇は、
「一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まり、そこから物語が展開する話を描く」
手法で、これを採用した映画「グランドホテル」(1932)に因んでグランドホテル方式、アメリカではアンサンブル・プレイ(Assemble Play)とも呼ばれます。
「ER 緊急救命室」では、シカゴのある病院の緊急救命室に勤務する医師や看護師たちの様々なドラマが、同時進行するというものでした。途切れ途切れに描く登場人物が変わっていくので最初は違和感がありますが、慣れるとこれが病みつきになります。特定の主人公への感情移入を強いられる普通のドラマと異なり、複数の登場人物にある程度距離を置き、広く俯瞰して観れるのが醍醐味です(もちろん特定の登場人物に感情移入することもできる)。
そんなやみつきになる群像劇映画のベスト10と、惜しくもベスト10に入れられなかったもの、まだ観てないが観ればベスト10入りしそうなものを楽天市場のDVDからピックアップしてみました。
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群像劇映画ランキング・トップ10
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1. アモーレス・ペロス
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2000年、メキシコ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、ギレルモ・アリアガ脚本、ガルシア・ベルナルら出演で、同じ交通事故の現場に居合わせた境遇の異なる男女3人の愛の苦悩を、オムニバス風に描いています。2000年のカンヌ国際映画のグランプリをはじめ国際映画祭を総なめ、初の長編映画監督でその構成力・演出力を高く評価されたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥのハリウッド進出を決定づけた作品です。
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2. パルプ・フィクション
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1994年、アメリカ映画。あるマフィアの人々の短編がオムニバス形式にまとめられた、クエンティン・タランティーノ監督・脚本のバイオレンス・アクションです。スピード感ある描写と、他愛もない話で構成されるセリフが面白く、また、長く低迷していたジョン・トラヴォルタが見事な存在感で復活の契機となった作品でもあります。
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3. ディナー・ラッシュ
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2000年、アメリカ。最尖鋭アーテイストが集い、個性的なブティックやギャラリーが軒を連ねるニューヨーク、トライベッカの人気レストランを舞台に繰り広げられる、一夜の出来事と様々な人間模様を、殺人事件を絡めてスリリングに描いた群像劇です。
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4. トラフィック
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2000年、アメリカ。スティーブン・ソダーバーグ監督による麻薬をテーマにした群像劇で、アメリカとメキシコの両国で麻薬密輸とそれをなくすために戦う者たちの姿を、実際に起こった事件や実在の人物をモデルに取り入れながら描いています。第73回アカデミー賞の監督賞、助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)、脚色賞、編集賞の4部門を受賞した作品です。
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5. マグノリア
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1999年、アメリカ映画。ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本で、ロサンゼルス郊外のある1日、一見関係のない10数人の男女が織りなす人生模様を、斬新な語り口で描いた群像劇です。トム・クルーズがアカデミー助演男優賞 、ポール・トーマス・アンダーソンが同脚色賞、エイミー・マンが同歌曲賞にノミネートされた作品です。
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6. クラッシュ
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2005年、アメリカ。ポール・ハギス監督が、1991年に愛車のポルシェをカー・ジャックされた事件を原案にハギスとボビー・モレスコが脚本を書いて映画化した作品で、クリスマスを間近に控えたロサンゼルスで発生した1つの交通事故を起点に、多民族国家であるアメリカで暮らす様々な人々を取り巻く差別、偏見、憎悪、そして繋がりを描いています。第78回アカデミー賞で作品賞を受賞した作品です。
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7. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
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1998年、イギリス。カード賭博で借金を抱えて一獲千金を狙う4人組の若者と多数のギャングたちが入り組んで争奪戦を繰り広げる様を、スピーディで巧妙な展開で描き、イギリスで1998年の年間興行成績1位を記録したクライム・コメディ映画です。
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8. ゴスフォード・パーク
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2001年、イギリス。ロバート・アルトマン監督らしい群像劇で、イギリス郊外のカントリーハウス「ゴスフォード・パーク」を舞台に、貴族たちとその従者たちの複雑な人間関係を描いています。イギリスの名優が多く出演し、アカデミー脚本賞を受賞しています。
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9. ブラックホーク・ダウン
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2001年、アメリカ。リドリー・スコット監督が、1993年にソマリアでおこった壮烈な「モガディシュの戦闘」(米軍を中心とする多国籍軍とゲリラとの市街戦)を、作品のほとんどを戦場という状況の直接描写に徹して描いた群像劇です。街に突如として降下するアメリカ兵、一般住民と民兵が入り混じった乱戦、少数精鋭のアメリカと数で押す民兵、現場と司令部との齟齬など、不正規戦における混乱が描かれています。
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10. 大脱走
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1963年、アメリカ映画。第二次大戦中、ドイツの第3捕虜収容所に収容された連合軍将校たちが大脱走を敢行した史実を基に、スティーブ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、チャールズ・ブロンソン 、ジェームズ・コバーン 、リチャード・アッテンボロー 、デヴィッド・マッカラムなど、往年の名スターが出演、戦闘シーンのない戦争群像劇です。
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惜しくもトップ10から漏れた映画
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トップ10入りしていても不思議のない作品です。
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ラブ・アクチュアリー
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2003年、アメリカ・イギリス合作。人気脚本家リチャード・カーティスの初監督作品で、クリスマスのロンドンを舞台に、19人の男女の様々なラブストーリーを群像劇で描く、 ロマンティック・コメディ映画です。毎年、冬になると、「クリスマスに観たい映画」に必ず挙げられる映画のひとつです。
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レザボア・ドッグス
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1992年、アメリカ。宝石強盗に失敗して破滅していく犯罪グループの姿を群像劇で描くバイオレンス・アクション映画です。「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノ監督の実質的な監督・脚本デビュー作で、彼は出演も含めて三役を務めています。同監督作品では「パルプ・フィクション」をベスト10に入れましたが、本作もベスト10に挙げることができる内容です。
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イングロリアス・バスターズ
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2009年、アメリカ。第二次世界大戦中のナチス占領下のフランスを舞台に、ナチス親衛隊に家族を皆殺しにされたユダヤ系フランス人の女性映画館館主の復讐と、ユダヤ系アメリカ人からなる秘密部隊バスターズの戦いを群像劇で描いたの娯楽戦争アクション映画です。これも「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノ監督・脚本で、全世界で3億ドル以上を稼ぎ、彼の最大ヒット作となり、第82回アカデミー賞では8部門でノミネートされた作品で、本作もベスト10に挙げることができる内容です。
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21グラム
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2003年、アメリカ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロらの出演で、ある事故をきっかけに交錯する三人の男女の運命を群像劇で描きながら、生の重さを問いかる作品です。同監督作品では「アモーレス・ペロス」をベスト10に入れましたが、本作もベスト10に挙げることができる内容です。
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バベル
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2006年、アメリカ。アメリカ・メキシコ、モロッコ、日本を交差しながら、9.11以降の調和なき世界をスリリングに描いた群像劇です。監督は「アモーレス・ペロス」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、出演はブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、菊地凛子他。
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トップ10入りするかもしれない映画
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ウェイティング・リストにいれ、いつか観ようと虎視眈々と狙っている映画です。観ればベスト10入りしそうなものばかりです。
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Smoke
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ザ・プレイヤー
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ある過去の行方
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11:14
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ロープ
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