本稿は、ケヴィン・ケリー著「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」第六章「 Sharing―シェアリング」の読書メモです。
ケヴィン・ケリー著〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則(楽天ブックス)
「Sharing―シェアリング」(共有すること)
共産主義と相違する点:共産主義者ではなく自由主義者(リバタリアン)が推進
共産主義と類似する点:誰とでも繋がろうとする熱狂がデジタル版社会主義を生み出している
デジタル版社会主義とは?
- ウィキペディア、ピンタレストのような協同型ネットワークの先にある世界
- 反アメリカ主義的なものではなくイノベーションとなりうるもの
- 文化・経済の領域の世界で、階級闘争でも政治でもない
- ある未来学者は、デジタル版社会主義の経済的側面をシェアリング・エコノミーと呼んでいる
デジタル版社会主義への段階
- シェア:ファイスブック、フリッカー、インスタグラム、YouTube、ピンタレストなど
- 協力:タグ、ブックマーク、ランク付けなど
- コラボレーション;オープンソースのOSなど、資本主義的な投資家ではなく、作り手が所有する
- 集産主義:大規模なオープンソース・プロジェクトなど、共同体に帰属、切磋琢磨することが報酬
スウェーデンの穏健な社会主義とウィキペディアとのいいとこ取りをしたようなハイブリッドな世界
ボトムアップだけでは不十分、少々のトップダウンが必要
- 100%読者寄稿にまかても長続きしない、やはり編集者が必要
- ウィキペディアにも、オープンソースにも、少数の編集責任者が存在
P2Pによるマイクロ・ファイナンス([kiva] の応用)
- 政府に大金を貸し付けるよりも、貧者に小額を貸し付けた方が返済率が高い(99%)
- 二つのウェブ企業が先進国で試行中
- 高信頼度、高効率のシステムを構築できれば、中間搾取や不要な経費を回避できる
<感想>
シェアリングは興味深い現象である。資本主義の終焉とも言われる時代に、自然に生まれてきたこの発想は、共産主義でもない、社会主義でもない、あらたな社会形態を推進するかもしれない。まだ、萌芽に過ぎないが、どう発展していくのか注目したい。実際のところ、金儲けが生きがいという人はそれほど多いわけではない。リーマンショックの例を出すまでもなく、金の亡者を必要以上にのさばらせない仕組みは必要だ。銃や原子力と同様、デジタル技術は諸刃の刃だ。格差拡大に油を加速することがないよう、注視する必要がある。
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