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「人生は小説よりも奇なり」(原題:Love is Strange)は、2014年公開のフランス・アメリカ合作のドラマ映画です。アイラ・サックス監督、ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナ、マリサ・トメイら出演で、念願の同性婚を果たしたカップルの悲喜こもごもを描いています。
「人生は小説よりも奇なり」のDVD(楽天市場) 監督:アイラ・サックス 脚本:アイラ・サックス /マウリーシオ・ザカリーアス 出演:ジョン・リスゴー(ベン) アルフレッド・モリーナ(ジョージ) マリサ・トメイ(ケイト) ダーレン・バロウズ(エリオット) チャーリー・ターハン(ジョーイ) シャイアン・ジャクソン(テッド) マニー・ペレス(ロベルト) クリスチャン・コールソン(イアン) ほか 【あらすじ】 ニューヨーク、マンハッタンに暮らす画家のベン(ジョン・リスゴー)と音楽教師のジョージ(アルフレッド・モリーナ)は、39年間連れ添ってきた同性カップルです。2011年、ニューヨーク州で同性婚が可能になり、念願かなって入籍しますが、周囲の差別や偏見は根強く、同性婚によってジョージは教会の仕事をクビになってしまいます。彼の給料なしではニューヨークのアパートでの暮らす余裕がなく、二人は、別々に友達や家族の家に世話になります。ベンはブルックリンに住む甥のエリオット(ダーレン・バロウズ)、妻のケイト(マリサ・トメイ)、息子のジョーイ(チャーリー・ターハン)の一家に世話になります。一方、ジョージは隣人の警官の同性カップル、ロベルト(マニー・ペレス)とテッド(シャイアン・ジャクソン)の家に世話になります。慣れない友人や家族との同居には不都合もあり、ベンとジョージは寂しい思いを紛らわすために一緒の時間を作ろうとします・・・。 【レビュー・解説】 監督自身の体験や見聞を元に再構成、ニューヨークを舞台に、39年間連れ添ったゲイ・カップルの同性婚と新たな逆風を通して、彼らの成熟した関係と、友人や家族など、ゲイ・ストレイトを問わない、世代を超えた人間関係の悲喜こもごもを、散文詩的に描いた作品です。 アイラ・サックス監督はゲイであることを公表しています。2012年に共同脚本のマウリーシオ・ザカリーアスと映画の準備を始めた頃、50歳間近のサックス監督は一人暮らしをやめ、10歳年下の画家のボリス・トレスと同性婚、生まれたばかりの双子とその母(ドキュメンタリー映画監督のクリステン・ジョンソン)と一緒に暮らしていました。それぞれの親族がひっきりなしに訪問してくる中で、彼はかつてないほど愛について希望を感じていたといいます。 そこで彼は、異なる世代が狭いニューヨークのアパートで同居する話を映画にしようと考えました。登場人物は、サックス監督の実母、継父、大叔父とそのパートナー、トレスの知人でその家の最上階にゲイの警官が住むマイケル・ジマー氏、同性婚した後にカトリック教会の職を失ったというゲイカップルに触発されています。 サックス監督とトレスは以前から、子供を持つことに関心がありました。ドキュメンタリー映画監督のクリステン・ジョンソンはボーイフレンドと破局した後に、子供を作るべきか否か、悩んでいたと言います。三人は三年間話し合い、ジョンソンは他の女性から卵子提供を受け、サックス監督の精子で双子の子供を生みます。サックス監督とトレスの同性婚から一週間後、ジョンソンと生まれたばかりの双子が引っ越してきて同居生活を始めます。あまりに騒々しかった為に、14ヶ月後に彼女と双子は隣の家に引っ越しますが、彼らの家族関係はうまく行っているようです。 サックス監督は、こうした経験や見聞の断片をふんだんに作品に取り込んでいます。
引っ越しの為、一時的な別居を余儀なくされ、ベンはストレートの家族、ジョージはゲイのカップルと同居しますが、気まずいことも起きてきます。それはライフスタイルや価値観の違いによるもので、必ずしもゲイだから、ストレートだからという問題ではありません。物語は淡々と進み、意外な展開を迎えますが、ゲイのコミュニティとの繋がりからも、ストレイトの家族との繋がりからも、新たなものが生まれていきます。 強いメッセージを発するという言うよりは、39年間連れ添ったゲイ・カップルの成熟した関係と、友人や家族など、ゲイ・ストレイトを問わない、世代を超えた人間関係の悲喜こもごもを、ニューヨークの印象的な風景と、クラシックが中心の美しいサウンドトラックをバックに散文詩的に描いた本作は、叙情的で心に沁みる作品です。 ジョン・リスゴー(ベン) ジョン・リスゴー(1945年〜)は、ニューヨーク州出身のアメリカの映画・舞台俳優で、父親は演劇プロデューサー・演出家、母親は女優。奨学金を得てハーヴァード大学で学び、1973年にブロードウェイ・デビュー、トニー賞の助演男優賞(演劇部門)を受賞する。ボブ・フォッシーの半自伝的映画「オール・ザット・ジャズ」などに出演、「ガープの世界」(1982年)、「愛と追憶の日々」(1983年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。テレビにも出演し、エミー賞を三度、受賞している他、舞台「成功の甘き香り」(2002年)でトニー賞の主演男優賞(ミュージカル部門)を受賞しており、舞台俳優としても定評がある。 アルフレッド・モリーナ(左、ジョージ) アルフレッド・モリーナ(1953年〜 )は、イギリス出身の俳優。ロンドンで労働者階級のスペイン人の父とイタリア人の母の元に生まれ育つ。子供の頃から役者を志し、ギルドホール音楽演劇学校で学ぶ。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー に所属、舞台でキャリアを積み、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981年)で映画デビュー。その後、数多くの映画作品に出演している。 マリサ・トメイ(ケイト) マリサ・トメイ(1964年〜)は、アメリカの女優。ブルックリンのイタリア系アメリカ人で弁護士の父、同じく教師の母の元に生まれ、両親が演劇好きだったため、早くから女優を志し、弟のアダムも俳優。「フラミンゴキッド」(1984年)の端役で映画デビュー、「いとこのビニー」(1992年)でアカデミー助演女優賞を受賞し、一躍知られるようになる。以降、伸び悩み、アカデミー賞受賞は間違いだったのではないかと揶揄されるが、「イン・ザ・ベッドルーム」(2001年)、「レスラー」(2008年)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、実力のほどを見せている。 マリサ・トメイは個性的な役柄を演じることが多いが、本作ではベンの同居で仕事に集中できず、かと言って苦情も言えずに悶々とする女性らしい役柄を演じている。疲れた帰ってきた夫に寝室で見せる表情に、さすがオスカー女優とサックス監督を唸らせた。 ダーレン・バロウズ(右、エリオット) チャーリー・ターハン(ジョーイ) ゲイの警官カップル、マニー・ペレス(右から2人目、ロベルト)と シャイアン・ジャクソン(右から3人目、テッド) ニューヨークの美しく印象的なショットが挿入される
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Last updated
2017年03月14日 20時20分46秒
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