糸数民宿の変な客 その10
頭からコンクリートに転落した横山師匠、 ちょうど部屋で三線の稽古をしていた弟子たちによってすぐに近くの診療所に担ぎこまれて行った。 当時 診療所の先生はドクター藤村(仮名)。 専門は産婦人科だった。しかし大きな病院がない離島ではどんなケガや病気でも一人の先生がすべて診なければならなかった。そして大きなケガや盲腸の場合はヘリコプターで那覇の病院に運ばれて行った。まずはドクター藤村、運び込まれた横山師匠の瞳孔をチェック。そしていきなり大声で叫んだ。こ、こいつは死ぬ! 死ぬ! 絶対に死ぬ! オイオイ先生いくらなんでも患者本人の前でそれは。。。ほれ、見てみろ。瞳孔が開いておる。こいつは絶対に死ぬ!だから先生 本人の前でそれはちょっと。。。気をとり直して再び瞳孔をチェックするドクター藤村。そして今度は小さな声でアレッ?おかしい。さっきまで開いていたのだが。。。。 とりあえず応急処置を施して直ぐにヘリを要請。横山師匠は那覇の救急病院へと運ばれていったのであった。結局 ただの打撲であった。しかし二階からコンクリートに頭を打ったにもかかわらず死ななかった横山師匠はすごい。ところで、ドクター藤村に死を宣告された時の気持ちはいったいどんなものであったのだろうか。 オレのような気の小さい人間はたぶんその時点で死んでいたに違いない。今日も一発!ありがとうございます。