気がつくと、そこはザナルカンド・・・
そう、ティーダのザナルカンドだった。
自分は帰ってきたのか?
見覚えのある風景、ここは確かに自分の生まれた街だ。
そして覚えのある部屋・・・
ジェクトのものか、トロフィーの並ぶ部屋、
そこには先客がいた。
最初にザナルカンドで・・・そして、ベベルの祈り子の部屋で見かけた、
フードをかぶった少年である。
少年はバハムートを召喚するための祈り子だったのだろう。
「おかえり。」
少年が話し掛けてきた。
「ベベルで会ったよ。覚えてる?
でも、あれが最初じゃない。ずっと前からキミのこと知ってる。」
ティーダもずっと前から少年を知っているような気がした。
リュックやワッカが自分を呼ぶ声が聞こえる。(←ティーダだけ倒れてるみたい)
ティーダは自分の状況を推理し、思ったことを言ってみる。
「もしかして、全部夢なんだろ?」
「あたり」
少年はあっさり答えた。
だが、ティーダは今ザナルカンドへ向かう大事な旅の途中である。
夢なんか見てる場合ではない。
そう言うと、少年の答えはこうだった。
「キミが夢を見てるんじゃない。キミが夢なんだ。」(←は?)
意味不明のことに、理解するまで思考回路が至らない。
困惑するティーダを見て、少年が詳しく話す。
――――――昔、ベベルとザナルカンドが大きな戦争をした。
ザナルカンドは機械を駆使するベベルに負け、
たくさんの召喚士も死んだ。
ザナルカンドは滅びるしかなかったのだ・・・。
「せめて、ザナルカンドの姿だけでも残そうとしたんだ。
生き残った召喚士や街の人々が自ら祈り子になった。
彼らの思い出にあるザナルカンドの街、人、物、
すべてを集めて、ザナルカンドを召喚するために・・・。」
その祈り子が山頂にあったあの大勢の祈り子たちなのか。
「ザナルカンドは祈り子たちの夢・・・
祈り子たちの夢が消えたら・・・」
と少年が言うと、ところどころザナルカンドの街が一部消えていく。
ティーダは自分も消されると思い、それはやめてくれと頼む。
少年は
「夢を見るのも疲れちゃったんだ・・・
キミとキミのお父さんが僕たちを眠らせてくれるかなぁ?
死の螺旋の中心であるシンに触れた。
キミたちはただの夢じゃない。
キミたちなら、夢を終わらせる夢になれるかもしれない。」
そういって、姿を消した。
と同時に、ユウナの声に呼び戻されるかのように
ティーダは目を覚ました。
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