2005/01/07(金)00:37
『古武術からの発想』
武術とは全く縁のない卓球部出身の僕にしては珍しい本を読みました。
『古武術からの発想』(甲野善紀/PHP文庫)
高校の卓球部の先輩が、OB会の度にこの甲野義紀さんの話をされるので、気になってはいたんですが、先日宴会の時間にまだ間があった時にふと入った小さな本屋さんで、偶然見つけたのがこの本です。こうのよしのり、ってこういう字だったのか、とそのとき初めて知りました。
この高校の先輩は福岡近郊の某市役所に勤めてますが、その同僚の方で、10何代目かの宮本武蔵という方がおられたそうです。もちろん本名は別で、直系の子孫というわけでもありませんが、その剣法の型を継承してた方です。その方があるとき「こんな型だけ習得しても実戦では使い物にならない」と、仕事もやめて飛び込んだのが、この甲野さんの武術稽古研究会。
それ以来、僕の先輩もこの甲野さんのことに関心を持ち、自分の卓球の腕を上げるためにも、また後進の育成のためにも、甲野さんが研究している古武術の動きを取り入れているといった次第です。
実は、巨人の桑田投手が何年か前にもうダメかと言われたときに再起した背景に、この甲野さんのところで学んだ古武術の動きがあったそうです。最近では、アテネオリンピック陸上代表の末続選手なんかも“ナンバ走法”を取り入れてるといって有名になったとか(テレビと縁の薄い僕は知りませんでしたが)。ひょっとしたらスポーツ界では、今やメジャーな人なんじゃないかと思います。
それで、今回はじめて僕はこの本を読んで甲野さんの考え方に触れ、「きたきたーっ」という感じがしております。共感する部分、目からウロコの部分が満載です。
とにもかくにも、現代人と古人とは、体の動きの“質”が違うんだそうです。
どこかを支点にしてワイパーのように動かしたり、体のどこかをひねるというのは、野球でもサッカーでもテニスでも(武道も含めて)現代スポーツ共通のものですが、実はそういう動きは、とても脆くて無駄が多く、しかも体のどこかに負担をかけやすいというのが、甲野さんの大きな発見です。過去の武術の達人というのは、決してそういう体の使い方をしてなくて、体のどこにも支点を作らず、力をいれて踏ん張るというより体を浮かす感じで、静かに優雅に動いてるようで、それでいて速く力強い、どうもそんな感じのようです。
この甲野さんは、当然ながらサッカーもバスケもド素人ですが、この甲野さんがボールを持つと、プロの選手でもやすやすと抜かれるんだそうです。それぐらい常識を超えた動きになるらしいです。かっこいいなあと思いますね(笑)
一番驚いたのは、江戸時代までの日本人は、現代人のように手と足を互い違いに(右手-左足という具合)動かすような歩き方はしていなかったということ。僕は初めて聞いた言葉でしたが、ナンバ歩きといって右手と右足が同時に出る歩き方で、腰をひねらないようにしてたそうです。実はこの方が無駄がなく疲れにくいので、例えば飛脚なんかは、ナンバ走りで1日200kmを走りぬいたらしい。
立つこと、歩くこと・・・僕らが当たり前のようにやってる作業も、実は当たり前ではなくて、見直す余地は十分にあって、それによっていくらでも自分を変えることができるんだというのが、一番の収穫でした。とりあえず昨日から、歩くときに気をつけてナンバ歩きをやってますが、まだ慣れませんね(^^;
その他にも、この本からお伝えしたい話はたくさんあるんですが、明日からの会社の研修のために、今日はもう寝ます。また今度書きますね。