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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
1930年代、才能に恵まれたジプシージャズのギタリスト、エメット・レイはシカゴのジャズクラブの人気者。しかし自堕落で破滅的な人生を送っていた。ある日彼は、洗濯屋に勤める口がきけない娘ハッティと出会う。エメットが奏でるギターを聴いたハッティは彼に夢中になり、やがて2人は同居生活を始めるが…。 ウディ・アレンらしい滑らかな物語の展開に、ほのぼのとした恋愛模様が楽しめました。 エメット・レイという実在しないギタリストを、あたかも本当に居たようにドキュメンタリータッチで描くという趣向。 ジャズやギターに疎い私はすっかり騙されてしまいました。 エメットは自意識過剰で女好き。 その代わり、去るものは追わず来るもの拒まず、特定の相手を愛することをしない独身主義者。 気持がいいほど単純で、憎めません。 趣味は汽車を眺めることと、鼠を撃ち殺すこと。 そんな彼に恋した口の利けない娘ハッティは、小さな出来事に喜びを感じ小さな幸せを積み重ねて、気ままな彼と一緒に暮らすようになります。 移り気で女たらしで、自分を愛してくれているか分からないエメットに、ハッティはいつもヤキモチ。 それでも「オレは今傍にいるだろ」そういってもらえるだけで安心してしまう純真無垢な存在は、いつしか彼の心を深く引きつけていくのです。 見えないくらい深いところで。 離れてみて初めて知る情の深さ――テーマはよくあるもの。 テキトウに生きてきた主人公が、ギターと同じくらいに大切なものを見つけるけれど、再び手元に置きたいと願った時には、もうあの頃の彼女はいません。 いたってシンプルな恋物語なのです。 そんな物語を惹かれるものにしているのは、ショーン・ペンとサマンサ・モートンの魅力ある演技でした。 そしてセットや衣装や音楽で彩られた1930年代の雰囲気。 それと聴き応えあるギターの音色。 在り来たりを、個性唯一なものに変えられるのは、まんまウディ・アレンのすごさなのではないでしょうか。 何も語らないサマンサ・モートンの演技は素晴らしかったです。 そしてション・ペンの演奏も。 本当に弾いているようにしか見えなかったのですが...実際はどうだったのでしょう。 ちょっと切なく笑えて聴かせる、ステキな作品でした。 「口の利けない彼女のぶんまで語るエメット 愛着が芽生えていくが...」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督・脚本 ウディ・アレン 製作 ジーン・ドゥーマニアン 製作総指揮 J・E・ボーケア 撮影 フェイ・チャオ 音楽 ディック・ハイマン 出演 ショーン・ペン サマンサ・モートン ユマ・サーマン グレッチェン・モル アンソニー・ラパリア ブライアン・マーキンソン ウディ・アレン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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