2016/03/10(木)21:54
【プルートで朝食を(BREAKFAST ON PLUTO)】 2005年 母親を探す心の旅で、彼はじぶんの居場所をみつけた
アイルランドの小さな町に生まれた赤ん坊パトリック。
生みの親は、彼を教会の前に置き去りにして行方をくらまし、パトリックは近所に住むブレイデン家の養子として育てられた。
幼い頃から綺麗なドレスやお化粧に興味を示し“変わり者”のレッテルを貼られたパトリックは、やがて自らを“キトゥン”と名乗り、美麗な青年へと成長する。
そして、居心地の悪い田舎町を飛び出し、実の母を探しにロンドンへと向かうのだったが―――
「クライング・ゲーム」が素晴らしかったニール・ジョーダン監督。
こちらもとても楽しかったです。
オカマの出てくる映画、年々増えているような。
それでも美しく着飾った男優を主人公にした作品は、好きなものが多くて、本作のキリアン・マーフィも美しく好演していました。
私生児であるパトリックと、子どもの頃から仲良く育った幼馴染たち。
ファンタジックな映像、章ごとに物語のように綴られる、彼の心の遍歴。
温かくて華やかで、そして監督の祖国アイルランド紛争を絡めたダークさが、絶妙に合わさっていました。
軽妙なテンポで、彼は育ち、笑い悩み、旅に出るけれど、表面には出せない悲しさが最後にすごく胸を打ちます。
母親を探しにロンドンへ向かった末、行く宛てのないオカマはボロボロになるばかり。
けれど純粋な彼は、その人柄に助けられ、なんとか日々を生きていました。
そんな時、有名女優に似ていたという母を、やっと見つけられたのは、リーアム神父のおかげ。
彼は、教会の前に捨てられたパトリックを拾い、成長を見守ってきてくれた人。
そして、なにを隠そう、彼の父親だったのです。
母親を探す旅で、父親を見つけた―――
なんともジンとくる台詞。
母との再会よりも、自分にとって大切なもの、自分の居場所を見つけることができた彼は、もう寂しくないし、もう涙を隠して笑うこともないのでしょう。
不器用な人々の、心温まるユニークな物語でした。
大人になっても続く、幼馴染との関係がステキです。
そして、オープニングとエンディングの可愛らしさも。
ヒヨドリたちのお喋り、流れているのは♪「SUGAR BABY LOVE」
この曲、私のの音で大好きです
ニール・ジョーダンは、やっぱり好みの作品を撮る方でした。
他のも是非手にとってみます。
監督 ニール・ジョーダン
製作 ニール・ジョーダン 、アラン・モロニー 、スティーヴン・ウーリー
原作 パトリック・マッケーブ
脚本 ニール・ジョーダン 、パトリック・マッケーブ
撮影 デクラン・クイン
音楽 アンナ・ジョーダン
出演 キリアン・マーフィ 、リーアム・ニーソン 、ルース・ネッガ
ローレンス・キンラン 、スティーヴン・レイ
(カラー/127分/アイルランド・イギリス合作)