行きかふ人も又

2016/03/10(木)21:54

【プルートで朝食を(BREAKFAST ON PLUTO)】 2005年 母親を探す心の旅で、彼はじぶんの居場所をみつけた

映画(69)

     アイルランドの小さな町に生まれた赤ん坊パトリック。 生みの親は、彼を教会の前に置き去りにして行方をくらまし、パトリックは近所に住むブレイデン家の養子として育てられた。 幼い頃から綺麗なドレスやお化粧に興味を示し“変わり者”のレッテルを貼られたパトリックは、やがて自らを“キトゥン”と名乗り、美麗な青年へと成長する。 そして、居心地の悪い田舎町を飛び出し、実の母を探しにロンドンへと向かうのだったが――― 「クライング・ゲーム」が素晴らしかったニール・ジョーダン監督。 こちらもとても楽しかったです。 オカマの出てくる映画、年々増えているような。 それでも美しく着飾った男優を主人公にした作品は、好きなものが多くて、本作のキリアン・マーフィも美しく好演していました。 私生児であるパトリックと、子どもの頃から仲良く育った幼馴染たち。 ファンタジックな映像、章ごとに物語のように綴られる、彼の心の遍歴。 温かくて華やかで、そして監督の祖国アイルランド紛争を絡めたダークさが、絶妙に合わさっていました。 軽妙なテンポで、彼は育ち、笑い悩み、旅に出るけれど、表面には出せない悲しさが最後にすごく胸を打ちます。 母親を探しにロンドンへ向かった末、行く宛てのないオカマはボロボロになるばかり。 けれど純粋な彼は、その人柄に助けられ、なんとか日々を生きていました。 そんな時、有名女優に似ていたという母を、やっと見つけられたのは、リーアム神父のおかげ。 彼は、教会の前に捨てられたパトリックを拾い、成長を見守ってきてくれた人。 そして、なにを隠そう、彼の父親だったのです。 母親を探す旅で、父親を見つけた――― なんともジンとくる台詞。 母との再会よりも、自分にとって大切なもの、自分の居場所を見つけることができた彼は、もう寂しくないし、もう涙を隠して笑うこともないのでしょう。 不器用な人々の、心温まるユニークな物語でした。 大人になっても続く、幼馴染との関係がステキです。 そして、オープニングとエンディングの可愛らしさも。 ヒヨドリたちのお喋り、流れているのは♪「SUGAR BABY LOVE」 この曲、私のの音で大好きです ニール・ジョーダンは、やっぱり好みの作品を撮る方でした。 他のも是非手にとってみます。 監督  ニール・ジョーダン 製作  ニール・ジョーダン 、アラン・モロニー 、スティーヴン・ウーリー 原作  パトリック・マッケーブ 脚本  ニール・ジョーダン 、パトリック・マッケーブ 撮影  デクラン・クイン 音楽  アンナ・ジョーダン 出演  キリアン・マーフィ 、リーアム・ニーソン 、ルース・ネッガ    ローレンス・キンラン 、スティーヴン・レイ (カラー/127分/アイルランド・イギリス合作)

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