サラリーマン谷口(田口)は謎の集団に子どもを誘拐される。全身怒りに震えた谷口は、彼らを追い詰めたとき、突然肉体が変化し手が銃器と化すのだった・・・!
前作『鉄男』からパワーアップして、磨きがかけられた第2弾。
無機質でメタリックで、肉体の極限を描いた本作が生まれたのは、監督が都会のコンクリートジャングルで育ったことと、無関係ではないはず。
筋肉を信じ、鋼鉄の強さを信じても、心や記憶に抗えない登場人物たちは、自らもマッチョな肉体を披露している塚本監督の分身のようだった。メタリックさとは裏腹に、妙に人間くさい、トラウマを持った人物が多いのも特徴的。
9歳以前の記憶がないという谷口は、幼い頃、父親から人間銃器となる訓練を受けていた過去がある。幼い弟とふたり、過酷で恐ろしくて、奇天烈な特訓を強制された彼は、ある事件以後、記憶と家族を失うのだった。
謎の組織が、彼の脅威の肉体を真似て人間銃器を大量に製造しつつあるなかで、果たして谷口は過去を克服し組織と自分に打ち勝つことができるのか―――。
心的外傷の秘密が明かされるラストへ向って、疾走あるのみ。息つく暇もなく、焦燥と苦しみの映像はつづく。この疲労感がたまらない。
冒頭から登場する谷口の妻が、中途半端に思えたのは、男気映画の女優といった感じだからだろうか。この頃はまだ女優さんがそれほど魅力的に見えないのだった。存在感がものすごく変化していくのは、のちの作品からなのだ。
とおしてカタルシス、この一語に尽きるSFアクション。圧倒的な破壊シーンには、グロさばかりでなく美しい。
イギリスではビデオ・チャート1位になったとか。カルトムービーではあるけれど、世間の評価は驚くほどいい。
ビジュアルに重きを置いた視覚に訴える作品は、この後の『TOKYO FIST』『バレット・バレエ』くらいまで続くのだった。
監督・脚本・撮影・美術・編集/ 塚本晋也
製作/ 小泉洋 塚本晋也
音楽/ 石川忠
出演/ 田口トモロヲ 塚本晋也 叶岡伸 金守珍
(カラー/83分)