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カテゴリ:多国合作映画
1950年、冬のロンドン。自動車修理工場で働く夫と、かけがえのない2人の子どもたちと、貧しいながらも充実した毎日を送る主婦ヴェラ・ドレイク(スタウントン)。家政婦として働くかたわら、近所で困っている人がいれば進んで手を差し伸べる彼女は、ほがらかで心優しく、いつも周囲を明るく和ませていた。 しかし、そんな彼女には家族にも打ち明けていない秘密があった―――。 『人生は、時々晴れ』につづくマイク・リー監督作品。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞と主演女優賞を受賞しています。 こちらはヴェラの秘密を知らないで観ることをおすすめします。世間では家族愛の物語であるというのが定評だけれど、違う受け止め方もできる作品だと思う。私にはちょっと違っていました。 善良そのものなヴェラが、家族に知らせずに何十年にも渡ってしていたことは、物語の中盤で観客に明らかにされます。 それを知った上で彼女を偽善者と呼ぶのは簡単だけど、どんな気持ちで今まで生きてきたのか、すぐに想像しきれない複雑さもある。とても稀な作品だと思う。 黒でも白でもない。たしかに罪は犯しているヴェラだけど、あまりに善良な彼女の日常が観客を煙に捲く。 あったかい心はあっても社会常識がなければ犯罪者となりうるのか。なんとも釈然としない心持ちになりました。 『人生は、時々晴れ』同様に、こちらも脇役たちの描き方が細やか。ヴェラの家族、娘の婚約者、父親の弟・・・それがなさ過ぎてうすっぺらな映画も多いけれど、リー作品では若干描きすぎではないでしょうか。動き出すいろいろがどれも伏線とおもえるほど。 2作ともに感じた微かな拍子抜けのワケは、そこかもしれません。 雰囲気があって、ヴェラ役のイメルダ・スタウントンがかなり素晴らしい演技をしていて、善良そのものな映画なんだけど、その背後にはやはり監督の冷徹さを感じてしまう・・・。この監督はそういう人なのかもしれない。 何事にも可笑しなほどTEAを欠かさないシーンの数々はさすが英国。国柄がよく出てます。賑やかなお茶の時間を、一変して後半に無くしたのもいい。 ―この映画を医師だった父親と助産婦だった母親に捧げる― エンドロール後の字幕。どんな思いがあるのかわからないけど、家族というものへのこだわりをすごく感じます。 監督・脚本 マイク・リー 製作 サイモン・チャニング=ウィリアムズ 音楽 アンドリュー・ディクソン 出演 イメルダ・スタウントン フィル・デイヴィス ピーター・ワイト エイドリアン・スカーボロー ヘザー・クラニー ダニエル・メイズ (カラー/125分/イギリス=フランス=ニュージーランド合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.02 03:21:24
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