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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
(あらすじ)『父親たちの星条旗』に続く第2弾。 1944年6月、日本軍の最重要拠点である硫黄島に新たな指揮官、栗林忠道中将(渡辺)が降り立つ。アメリカ留学の経験を持つ栗林は、合理的な体制を整えつつ、島中に地下要塞の構築を進めた。そんな中、ついに圧倒的な数のアメリカ軍が、島に押し寄せるのだった―――。 本土決戦になるのを阻止する、最後の砦となった硫黄島でなにがあったのか、『父親たちの星条旗』を観るまでは知らなかった。こんな小さな島で、アメリカ兵も日本兵も大勢が亡くなった。『父親たちの星条旗』で同じことを書いたけれど、これは戦争のほんの一部分でしかなくても、当時の過ちを広い意味で理解できる、うまく現代に絡めたストーリーになってます。 主演はジャニーズの二宮和也。戦友を演じた松崎悠希の自然な演技に助けられている感じ。なぜここにジャニーズなのか、ほかにいい役者さんはいなかったの?そう思うのは私がアンチだからでしょうか。それもあり、素直に感情移入できない冒頭だったけれど、二宮くんの演技はあとへいくほど良くなっていった。疲労し衰弱ながらも生き残った主人公の絶望と苦しみは、渡辺謙演じる栗林中将との共演シーンでも引けをとらないものだった。 合理的な考えを持った中将の下で、反感を抱く者が現れる件があった。逆らえば部下でも平気で殺すような体質は、実際にあったんだろう。憲兵だった清水(加瀬亮)がこの戦場へ送られてきた理由もそこにある。見回り中、吠えやまない民家の犬を任務妨害だから殺せと、命じられる清水。しかしどうしても引き金が引けず・・・結局硫黄島へと送り込まれたのだ。 言いたい事も言えず、非国民とされれば、どんな酷い目にあうかわからない・・・ファシズムと変わらないなぁと、アメリカ人が作った日本側の戦争映画でつくづく思わされた。 描かれる日本に、さほど大きな違和感は感じなかった。ひとつだけ言わせてもらえば、カッコ良すぎる。 渡辺謙、伊原剛志、中村獅童・・・男前な上官たちばかりで昭和を感じないのだ。写真にも載せてみたけれど、西中佐(伊原)の衣装もすごい。西竹一中佐は実際に硫黄島で戦った人物で、乗馬のオリンピック選手だというのは事実なのだけど。 みんな当時の日本兵らしからぬ風に見えてしまうのは・・・仕方がないのだろうか。 世間での評価は『父親たちの星条旗』より『硫黄島からの手紙』の方がいいらしい。私的には前者のほうがいい。 タイトルとなっている手紙が、もちろん大事な意味を持ってはいるけれども、弱かったのが残念だった。至る場面で、みなが届かぬ手紙を認めるシーンはあるのだけど、心情を描くために朗読するのだけれど弱い。手紙の重さが、最後まであまり深くは感じられなかった。 エンドロールにでもいい、実物を見せてくれたらよかったのに。 監督 クリント・イーストウッド 原作 栗林忠道 『「玉砕総指揮官」の絵手紙』 脚本 アイリス・ヤマシタ 音楽 カイル・イーストウッド マイケル・スティーヴンス 出演 渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 加瀬亮 松崎悠希 中村獅童 裕木奈江 (カラー/141分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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