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行きかふ人も又

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2008.10.18
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 2004年にフランスで映画化された『薬指の標本』。小川洋子さんは海外でもとても人気がある作家さん。
静謐という言葉がよく似合う。小説の中では穏やかじゃないことが起こっているのに、流れている空気は透明で穏やかだ。
博物館並みの静けさと、幾重にも重なる、乾いた甘い出来事。それが妙に艶っぽいから惹かれてしまう。
文体や世界観がどことなく似ている川上弘美さんとの、大きな違いは、川上さんがなのに対して、小川さんが徹底しただということかしら。

(あらすじ)人々が思い出の品々を持ち込む標本室で働いているわたしは、ある日、標本技師の弟子丸氏から素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね。」靴はあまりにもぴったりで、そしてわたしは――――。


この小説の中のは、なにを含んでいたんだろう。恋愛をすれば多かれ少なかれ生まれる束縛か。 足かせのように、確実に‘わたし’の心を捉えてしまった。
標本室へ思い出の品を持ち込む行為を、弟子丸氏は‘わたし’にも経験してほしいと望む。それはイタミを知った、より弟子丸氏に相応しい相手となる儀式のようだった。
‘わたし’が失ってしまった薬指を持ち込めば、きっと弟子丸氏は受け入れてくれる。イタミを知った者だけが通ることのできる、廊下の奥の扉の向こう、標本技術室にはきっと幸せがあるような気がした。


『六角形の小部屋』

 二話目の『六角形の小部屋』。暗喩をいっぱい感じる。誰にも聞かれることのない小部屋でひとりごちるのは、カウンセリング効果があるような、ないような。
「誰も聞かないのだから、それとは違うよ」と、物語では言うけれど。
「カウンセラーは、なにもせずにただ居るだけ。クライアントが自然に治っていかれる」そう言ったのは河合隼雄氏だったか。
吐き出された‘わたし’の秘密はドキッとするもの。憎しみに戸惑うあたりとか、語り
口はさりげないのに、奥深い。
静かで透明な毎日に、いながらにしてことの暗がりを見て暮す主人公たち。私にはまだまだ新鮮。それらは想像しているよりももっとずっと静かなのかもしれないと思う。






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Last updated  2008.10.19 22:32:45
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