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2008.12.30
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カテゴリ:日本映画

 長崎の美しい田園風景を背景に、被爆した祖母と4人の孫、ハワイの甥との心の交流を描く―――。

 
 いくら巨匠といえども、晩年の頃になると、魅力が薄れていくのは仕方がないのか、この頃の数作品は、今までなかなか触手が動かなかった。
遺作『まあだだよ』の一つ前に撮られたこちらは、監督すでに80歳を越えての作品。
迫力のようなものは随分薄れて、反核・反戦のメッセージが多少鼻に付いても、想像した以上に真摯な作品だった。

孫を演じた大寶智子や吉岡秀隆の演技が確かなのもよく、なによりも被爆した祖母・鉦を熱演する村瀬幸子が素晴らしい!歳をとってもなお、役者の魅力を引き出す才能は衰えないのだなぁ。

ノスタルジックに、そして真摯に、原爆投下された長崎の歴史を、孫の世代が学んでいく姿を描く。
それと同時に、ハワイで暮すおばあちゃんの兄だという人物と、その息子との交流を織り交ぜて、今なお残る戦争の傷跡と再生を浮き彫りにしていく。
兄の息子を演じたのはリチャード・ギア。監督を慕って自ら志願したとか。

山深い田舎のおばあちゃんの家はとてもいい感じだ。
真夏の長崎、田舎の情景に心を和ませながら、さりげないユーモアもきいている。
だけど、原爆について触れる時には胸が痛い。4人の子どもたちの元気に救われながら、長崎の歴史を学んでいく、そんな物語だった。
おばあちゃんが語る兄弟の思い出話は、ちょっと幻想的でちょっぴり怖くておもしろかった。特殊効果のせいか、不思議な雰囲気が度々でていて、色使いには黒澤監督らしさを感じる。
原爆の目はほんとうに怖ろしい演出となっている。

ラストで、発狂寸前のおばあちゃんが、土砂降りの嵐の中をひたすら歩んでいくシーンが印象深い。それを追いかける親や孫たちの、必死の形相も。
誰一人おばあちゃんを助けられなくて、あまりに強い雨風は容赦なくみんなの体に襲いかかる・・・。
戦後何十年経った今もなお消えない原爆の恐怖を描いているようだった。



●  ●  ●  ●  ●  ● 


監督・脚本  黒澤明
原作  村田喜代子 『鍋の中』
音楽  池辺晋一郎
出演  村瀬幸子  井川比佐志  大寶智子  吉岡秀隆  リチャード・ギア

(カラー/98分)





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Last updated  2008.12.31 10:00:36
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