行きかふ人も又

2009/03/14(土)08:33

【愛おしき隣人(DU LEVANDE)】 2007年 今日もついてないことばかり、でも明日はきっとしあわせ

多国合作映画(35)

 全然、愛おしくない(笑) 先日の『散歩する惑星』に続く、血色の悪い登場人物たちの、ちょっと不幸で、結構悲しい日常を見つめる物語。 おかしな隣人たちは寡黙でよかったけれど、なにか足りないと思うのは、単にストーリー性かもしれないし、体温かもしれないし。 監督の作りたいものは、なんとなくわかるけれど、これを観た観客が感じるところの倦怠感はどうしてくれよう(笑) 長い作品でもないのに、長くて辛くて、そんな中、たまぁにいいシーンは出てくるのだけど。 笑えないし痛々しくて、共感という二文字はなかなか見えてこない。 アンダーソン監督作品は観念的すぎるといいますが、たとえ観念的であっても、それに同調できれば楽しめるのでしょう。 でも違うと苦痛。 ミシェル・ゴンドリーの映像を越えた――という触れ込みがなんだか空々しく聞こえてしまいます。ゴンドリーのほうがよっぽどイマジネーションに溢れているし、映像から感じるものがあるもの。 不条理な世の中、それでも小さな希望にしがみついて暮らす人々に、鬱々、、 これをカタルシスと言えないのは、浄化も開放もされないから? スクリーンとの間に半透明の仕切りが幾重にもあるような、奇妙な距離感。 温かい目線で描いたとしても、監督の観念を押し付けられるだけではつまらない。 どんな感情でもいいので感じたかったけれど、最後まで耐えて観たわりには、結局なにも残りませんでした。 絵(画面)のインパクトはすごくあるんだけど、、 CFを手がけてきた人らしい雰囲気作りというか、絵力なのでしょうね。 以上、まったくの私的な感想でした。 ラストで花嫁と花婿を乗せた列車ならぬマイホーム?が、走り去るシーンは良かったです。 『散歩する惑星』のほうが好きだったなぁ。 本作は悲しいかな、楽しめませんでした。 監督・脚本  ロイ・アンダーソン 製作  ペルニラ・サンドストレーム 音楽  ベニー・アンダーソン 出演  ジェシカ・ルンドベリ  エリック・ベックマン  エリザベート・ヘランダー (カラー/94分/スウェーデン=独=仏=デンマーク=ノルウェー合作)

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