2009/05/07(木)21:49
【スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー(EN KARLEKSHISTORIA)】 1970年 珠玉の青春ラブストーリー、、だけでは終わらない
『散歩する惑星』『愛おしき隣人』のロイ・アンダーソン監督デビュー作。お世話になっているracquoさんおすすめです。
青春ラブストーリーとはいえ、さすがアンダーソン監督、デビュー作から一筋縄ではいきません。
スウェーデン版『小さな恋のメロディ』と言われているだけあって、たしかに似ている。
それでも恋人同士はさておき、周りの大人たちの描き方が大きく違っているのが印象的です。
終盤からはまったく別の顔を見せ始める。くすぐったいだけの青春物語では終わらない。
15歳の少年と14歳の少女。
出会って、惹かれて、告白して。瑞々しいタッチで初恋が描かれます。
キスしたり抱き合ったり、つっぱったり、粋がってタバコを吸ったり。それを早熟に感じるのは日本の中学生と比べてしまうからでしょう、身近なものでは、たしかにない。
けれど、すれ違った後で、彼がバイクで引き返してきて不器用に抱きしめあう(写真のシーン)なんかは、たまらなく胸キュンになったりして、初々しい恋人たちが見事に作品に封じ込められています。
ここまではともかく、ラストの騒動はどう見るべきなのでしょうね。
初めてふたりの家族が顔を合わせたパーティーの夜、噛み合わない会話のあとの、父親の行方不明―――。
ここで完全に、甘い初恋物語はかき消されてしまって、『小さな恋のメロディ』とはまったく趣の異なる作品として終わっていくのでした。
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監督・脚本 ロイ・アンダーソン
撮影 ヨルゲン・ペルソン
音楽 ビョルン・イシュファルト
出演 ロルフ・ソールマン アン=ソフィ・シーリン ビョルン・アンドレセン
(カラー/98分)