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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イラン映画
イランの俊英、キアロスタミ監督による、ジグザグ道3部作の第1作。 友だちのノートを間違えて持って帰ってきてしまった少年が、ノートを返しに、友だちの家を探し回る様子を、ドキュメンタリー・タッチで捉えた爽やかな小品。 (映画大全集より) はじめて観たイラン映画は、たぶん『運動靴と赤い金魚』(1997) だったと思う。それから数本、子どもたちの奮闘する物語を観たけれど、あまりの健気さに辟易気味となり、、、大人向けの良質な作品に幾つか出会ったあとは、しばらくイラン映画から遠ざかっていた。 久しぶりに観ようと手を伸ばしたのは、ずっと自宅にあった<ジグザグ道3部作>のVHS。 キアロスタミ監督初期の作品なので、かれこれ20年以上は経っているから、その時代背景も考えつつ、やはり素朴、健気、意地らしい――のキーワードは外せない。『ホームワーク』でも感じたことだけれど、イランの大人たちは子どもに厳しいのだ。 主人公がどんなに困っていても、大人の対応は邪険で、ろくに話も聞かない。つねに孤軍奮闘。 その日、ノートを忘れて先生にこっぴどく叱られた子のノートを、持ってきてしまった主人公。困って泣いているかと思うと、いても立ってもいられず、届けてあげることにするが、、、母親に出かけたいと話しても、いっこうに聞き入れてくれない。 次々と手伝いを言いつけながら、「宿題をしなさい!」の一点張り。 主人公は仕方なく、無断で友だちのうちを目指す。彼の家の場所もわからないまま――――。 ジグザク道を抜けて、通りすがりの人々に尋ねながら、不安そうに奔走する姿が幼気。 ついに、ともだちの家を知っているおじいさんに出会い、案内してもらうが、けっきょく見つけられずに、真っ暗になった道を引き返すのだった。 年老いたおじいさんの歩みが、なんともスローで、ヤキモキすること必至。 自宅に帰って、夕飯も食べずに、宿題をはじめた少年は、翌日、遅刻して学校に着く。 あの友だちは、ノートがなくてすでに涙ぐみ、うな垂れているが・・・差し出したノートには、ちゃんと宿題が! 主人公は二人分の宿題を済ませていたのである。 日本人の感覚からすると、それは当然の成り行きで、同じ状況の場合、解決策は幾つでもある。しかし、イランではそうはいかなくて、電話もなくて、代わりのノートもない・・・友の家はすごく遠いし、家の手伝いをするから忙しい。 主人公の頑張りは、わたしたちが普段忘れてしまっている感覚を呼び覚ます。なにかを思い出させてくれる、良さがある。 監督: アッバス・キアロスタミ 製作: アリ・レザ・ザリン 脚本: アッバス・キアロスタミ 撮影: ホマユン・パイヴァール 出演: ババク・アハマッドプール アハマッド・アハマッドプール ゴダバクシュ・デファイエ イラン・オタリ (カラー/85min/KHANE-YE DOUST KODJAST?) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.09 17:08:06
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