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2011.03.03
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 1900年2月14日。ハンギングロックと呼ばれる岩山にピクニックに出かけた、寄宿女学校の生徒たち3人と、老嬢の教師が忽然と姿を消した。
それぞれの事情で寄宿生活を送る少女たちに見え隠れする孤独や嫉妬や儚さを、神秘的に静謐に綴った異色のミステリー。実際にあった謎の失踪事件が元になっているという。


 美しさというものは、かくも残酷なものだとあらためておもう。少女とはいえ、成熟しはじめた彼女たちの存在は、あまりにも瑞々しくて眩しくて、それを映像美として捉えたピーター・ウィアー監督の奇才ぶりに唸ってしまう。和やかに過ぎていく時の流れに、静かに見入っていたら、いつしか、得体の知れない胸騒ぎでいっぱいになっていた。

10代半ばに抱く不安や死への憧れといった、危うい感情を思い出すかもしれない。
大人になるために、子どもの部分は一度死ななければならない――という。実際それは、夢の中で行われているらしいが。寄宿学校で閉塞的な日々を送る少女たちは、危うさでいっぱい。若さ美しさが内包する残酷にゆれる。

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4人がいなくなってから、警察や学校総出で捜索を開始するのだが、彼女たちを見つけることは誰ひとりできなかった。
しかし、事件のあったその日、偶然ピクニックに来てハンギングロックに登る彼女たちを目撃していた名家の子息は、いたたまれない気持ちになり、一人夜通し捜索を開始するのだ。

青年が心神喪失の状態になってまでも探したのは、紛れもなく、4人のなかで一番美しいミランダの面影にとりつかれたから。自分の命を危険に晒してまでも発見できたのは、でも結局、別の少女ひとりだけだった。老教師と2人の女生徒は、最後まで発見されることなく、死亡と断定されてしまう。
その後、怪我を負い、記憶を失って戻ってきた少女の口からはなにも語られることはなく。疑心暗鬼の学校中を巻き込んで、そのまま事件は収束していく、、。そして、もう一つの孤独な魂がを選んで、物語は幕を降ろす。


神秘な大自然を前にすると、じぶんの存在があまりに矮小で慄くことがある。心臓がドキドキ鳴って不安になって、これがすすむと『インドへの道』のアデラや、青年のようになってしまうのだろうか。でも、彼女たちは? とても同じとは思えないのだった。
絶望からの自殺か、はたまた老教師による若さへの嫉妬(殺害)か、ミステリー作品として、見事な脚色がなされて、真実は観客が想像するに任せる。

ファンタスティックな映像美に陶酔して、胸騒ぎして、一抹の疲労感をのこして終わるスバラシさ。
ピーター・ウィアー監督といえば『いまを生きる』を思いだすが、あの詩的な雰囲気は、この頃からすでに兼ね備えていた魅力だったのだー。本編のなかで朗読される詩がいい。
音楽もまた良くて、(調べてみたら)チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番第2楽章」、バッハ「8曲の小前奏曲とフーガ」「平均律クラヴィア曲集第1巻より第1番プレリュード」、ベートーヴェン「皇帝」などが使われているらしいのだが、どれも静謐さに磨きをかけるかたちでジャストマッチング。


†   †   †


監督/ ピーター・ウィアー
原作/ ジェーン・リンジー
脚本/ クリフ・グリーン
撮影/ ラッセル・ボイド
音楽/ ブルース・スミートン
出演/ レイチェル・ロバーツ  アン・ランバート  ドミニク・ガード  ヘレン・モース
(カラー/116分)







Last updated  2011.03.05 15:55:02
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