2011/07/17(日)16:57
【SUPER 8】 2011年 偶然の列車事故が平穏な田舎町を悪夢に変える
1979年の夏。オハイオの小さな町で、母親を事故で亡くしたばかりの少年ジョーは、父ジャクソンと2人暮らしになった。ある夜、親に内緒で家を抜け出し、チャールズやアリスら5人の友達と共に、駅舎で8ミリ映画の撮影中、列車の脱線事故に遭遇する。その混乱の中、横倒しの8ミリカメラは、列車から飛び出してきた"何か"を偶然映し出していた・・・。事故処理にあたる軍は、黙してなにも語らず、小さな田舎町は不穏な空気で包まれる。そして次々と不可解な事件が頻発する――。いろんな要素がふんだんに盛り込まれた作品は、見出がある。前半は、少年のひと夏の成長期、淡い恋、まるでSF版『スタンド・バイ・ミー』といった感じ。名作へのオマージュがいっぱいだ。地球外生命体の登場する中盤からは、製作に携わるスピルバーグの『宇宙戦争』を彷彿とさせるドキドキの連続。どこまでもエンターテイメント性を忘れない。舞台は1979年の田舎町という、ノスタルジックの際。主役を子どもたちに据えたことで、もっとも定石どおりの設定となっている。しかし、ベーシックな土台に組上がった上物の見どころが、臨場感とリアルなCG映像だけなら、感想は"そこそこ"止まりということになってしまうのかもしれない。作年公開された『第9地区』は、そう考えるといかに斬新で骨太でおもしろかったことか。エイリアンの造形からして、かたや愛着湧くキャラで応援したくなったものだが、ここでは単なる"敵"にしかなっていなかった。『E.T.』や『サイン』の宇宙人が、いかにいい味出していたかわかるというもの。ホントに楽しめるSFはなかなかない。キューブリックの『2001年宇宙の旅』のような、『第9地区』のような、目から鱗の作品をもっと観れたらいいのに。 ちなみに『SUPER 8』と聞いて、エミール・クストリッツァ監督の同名作品を思い出すのは、わたしだけではないはず。敬愛するクストリッツァとノー・スモーキング・オーケストラの生みだす陽気な音楽を久しぶりに聴きたくなってしまった。監督・脚本/ J・J・エイブラムス(カラー/111min)