2011/07/30(土)22:12
【ラガーン】 2001年 民衆の命を懸けた大勝負
本国で多大な人気を誇るアーミル・カーンが製作・主演を務めたスポコンものの大叙事詩。
クリケットといえば、インドでは幾つものチャンネルで放送されるほど愛されているスポーツ。人気俳優によるクリケット映画は、当然ながら大ヒットしたらしい。
―――植民地支配の続くインドのとある農村を舞台に、イギリス軍VS村人が3年ぶんの"ラガーン(年貢)"を懸けてクリケット勝負を繰り広げる。
懸けを言いだしたのは、イギリス軍の悪徳大尉。誠実な主人公ブバン(カーン)にほだされる形で、ひと癖もふた癖もある村人たちが、一緒に戦おうと名のりを上げるのだが・・・。
クリケットの試合は数日かかるものもある。本編でも試合は3日間!映画が終わる頃には、望もうが望むまいが、試合のルールをある程度わかるようになっている、、それほどの長丁場なのだった。
上演時間3時間45分のうち、後半はほぼクリケットのシーンという・・・そこだけがちょっと退屈。
ブバンに思いを寄せる幼馴染ゴゥリーの恋も、みどころのひとつとなっている。恋敵は、大尉の妹であるイギリス人のお嬢さんエリザベス。彼女は非道な兄に反抗して、こっそり村へ下りてきては、ブバンたちにクリケットのルールを教えていた。
村人たちと仲良くなって、祭りの儀式にまで参加するうち、敬虔なインドの人々が好きになっていくエリザベス。ブバンへの思いも募っていく、、、。
『ラガーン』がヒットしたのは、ただの娯楽で終わらないからか。
インド人たちがイギリス軍チームを破って、駐屯地を撤退させることに成功するラストは、植民地支配の終焉を描いているし、ブバンチームに最後に仲間入りするのは、片手の不自由な不可触民の青年。イギリスに対して反撥する村民さえカーストで人種差別をする・・・・それがインドなのだった。
ブバンは、そんなことではダメだ!! という。
彼の台詞を借りて、作品を介して、人気者アーミル・カーンはたくさんを訴えているのだろうなあとみると、さらに好印象だ。
インド映画の歌とダンスは、切り離せない魅力。本作のミュージカルシーンは、伝統的な仕草が少なく、妙に淡白だったのはさみしい点だったけれど。
ただスケールは文句なしに大きくて、2千人ともいうエキストラが出演しているので圧巻。
俯瞰して映し出される夜の村の何千という灯りが、ただただもう美しすぎて圧倒的なエネルギーを放っている。
スポーツに、恋愛に、歌に踊りに、さまざまな魅力がひとつになった、まさに複合エンタテイメント。
ボリウッド映画を見ると、なにも奇をてらうことない、王道をいくストーリーが、どうしてこんなに楽しいんだろうといつも思う。
(LAGAAN: ONCE UPON A TIME IN INDIA/224min)