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フランス映画

2012.01.05
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カテゴリ:フランス映画

 近年、殊になのか、ドキュメンタリーがおもしろい。
いつか、好きな映画を「ドキュメンタリー映画」とおっしゃった方がいて、以来ますますこのジャンルが気になるようになった。
札幌ではミニシアター "蠍座" で上映されていたこちら。
館主さんのコラムには「私はブランドものには一切興味ないが、本作はドキュメンタリー映画としてすばらしい」というような感想が綴られていた。
それもあってか、多少なりとも期待していたわけだけれど、じっさい、とてもおもしろかった。


45年間にわたって、モード界を牽引し、頂点に君臨した天才デザイナー、イヴ・サンローランの実像に迫ったドキュメンタリー。彼の公私にわたるパートナーとして、サンローランを支え続けたピエール・ベルジェを語り手に、その華々しい生涯を振り返るとともに、想像を絶する注目とプレッシャーの中に身をさらし続けた天才デザイナーの苦悩と孤独を明らかにしていく――。


線の細い人一倍シャイな青年が、ディオールの後任デザイナーとなったのは弱冠21歳。
それからアルジェリア独立戦争に出征して神経を病み、完治したのちディオールを去って、生涯の伴侶となるピエール・ベルジェの出資で自身のレーベル「イヴ・サンローラン」を設立したのが26歳のとき。

どこまでも絵になるプライベート写真の数々と、在りし日の映像と、ピエール・ベルジェによる語りで(ふたりはゲイカップル)綴ったトップデザイナーの真実は、そこはかとない虚無感に覆われている。

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華々しい表舞台に、美術品に囲まれた絢爛豪華な私生活、そして、アルコールと薬に逃れるしかなかった孤独な素顔。時代を創るのは、簡単なことではないんだね、当たり前だけれど。
数々のモードを生みだした天才にも引退のときはやがて訪れて、オートクチュールの時代は静かに終わりを告げていく。

印象的だったのは、サンローランが遺した貴重な美術品の数々が、自らの死後散り散りになることを恐れたベルジェ氏の判断によって競売にかけられるシーン。ふたりが過ごした煌びやかな部屋が、ゆっくりと空っぽになっていくのを眺めるうちに、諸行無常の想いでいっぱいになるのを止めようがなかった。
流行も芸術も人も、みんな同じようにいつかは無に帰る。華やかな世界に生きた人生にさえ漂う抑えようのない虚無感、、庶民はどうしたって溜息が出てしまう。

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ブランド志向がまったくなくっても楽しめる上質のドキュメンタリー。画面の美しさがまたいい。


   監督・脚本  ピエール・トレトン  エヴ・ギルー
   撮影  レオ・アンスタン
   音楽  コム・アギアル
   出演  イヴ・サン=ローラン(アーカイヴ映像)  ピエール・ベルジェ

   (103min)







Last updated  2012.01.08 17:08:47
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2011.07.10
カテゴリ:フランス映画

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 エンキ・ビラル監督は、『バンカー・パレス・ホテル』だけ観ている。

当時の感想を読むと、「若干緩い、微妙にちゃちい、グダグダ」・・・・などという言葉が並ん

でいるものの、世界観はいいと書いていた。いかにもフランスらしいSF。SF観るならハ

リウッドに限る―――そんな気にさせられてしまうのが実におかしい。

近未来の退廃した世界と、原作者でもあるビラル監督が思い描くビジュアルの妙はスバラ

シイ。しかし、これだけ退屈な思いは久しぶり。

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2095年、ニューヨーク。反逆罪で死刑を宣告されている古代エジプトの神ホルスは、他の

神々に赦しをもらい、神の子を宿せるという伝説の青い髪の美女ジルを探すため、下界

へ降りてきた。30年の眠りから覚めた政治犯ニコポルの身体にのり移り、彼女に近づき

思いを遂げるのだが・・・・。

 

猶予は7日間・・・・。これを過ぎるとホルスには死が待っている。しかし、そもそも神が死

刑になるなんて、よくわからない世界なのだった。

天上のピラミッドにいる神々たちも滑稽で、ビジュアル映画といわれればそれまでだけれ

ど、もう少し内容がおもしろくあってほしかった。

 

登場人物は、3人だけ生身の人間が演じていて、あとはみんなCG。そのせいで違和感倍

増。いったいどんな意図があるのか、『CASSHERN』の紀里谷氏と同列に語っては叱ら

れるかもしれないが、映像を駆使できると、ありのままに見えている世界が単調でつまら

なく思えてしまうのだろうか。すべて作り物のCG世界にのめり込むことができないわたし

は、生身の人間や自然が作り出すリアルにこそ魅力を感じる。

 

そんな中、謎の女ジルの青い髪とメイクはとても魅力的だ。演じているリンダ・アルディに

救われている場面多々。彼女が唯一頼っていた黒ずくめの男の正体は、いったい誰だっ

たんだろう・・・・内容を半分も理解できていないことが物語る、つまらなさか。

『ティコ・ムーン』はおもしろいといいな。

 

  †     †     †  

 

 (104min)

 







Last updated  2011.07.11 17:08:46
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2011.07.03
カテゴリ:フランス映画

 

 母親の遺産を相続する条件である聖地巡礼の

旅に渋々向かった、仲の悪い3兄弟、長男ピエー

ル、長女クララ、次男クロード。

彼らと2ヵ月の長旅を共にするのは、ガイドと老若

男女の面々たち。みんなそれぞれに悩みを抱えて

いた。

美しい自然をバックにひたすら歩き続けること、フラ

ンスのル・ピュイからスペインの西の果て、キリスト

教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・

ジャック)まで。距離にして1500km。信仰心のまる

でなかった兄弟の、心の再生を描いていく――。

 

生きていると背負いがちな荷物も、捨ててしまえば楽になると、旅は教えてくれる。

溢れんばかりの文明道具、どこにいても繋がってしまう携帯電話・・・そんなもの持たずと

も、ひとはじゅうぶん幸せ!と思える幸せ。

滑稽でユーモラスでヒューマンな個性ある面々に、たくさん笑わされるうち、たまらなく旅に

出たくなってしまった。彼らのようにバッグパックを背負って、トレッキングシューズを履い

て、長い長い旅に出たい。

日常から離れることは、どんなに物の見かたや考え方を新しくしてくれることだろう。

 

9人みんな魅力的な人物なので、かんたんに解説すると。

まず、叔父のプレゼントで気楽に参加したハイティーンの女の子、エルザとカミーユ。その

カミーユを追って参加した、アラブ系移民の青年サイッド、彼に騙されイスラムのメッカへ

行けると信じて来た従兄弟のラムジィ、スキンヘッドにターバンを巻いたワケあり女性マチ

ルド。そしてベテランガイドのギイ。

ここに3兄弟が加わっての旅となる。

ピエールとクララは常に怒鳴り合いのケンカばかりしている偏屈者、反してのんびりでアル

中のクロードは、この旅に、なんと手ぶらで参加するツワモノ!

苦楽を共に歩き続けて、9者9様に変わっていく微笑ましさ。ゴールに辿りついた時には、

爽やかな感動が待っている。

旅の間、識字障害のあるラムジィに、教師であるクララが文字を教える件が、私的にはと

ても好きだった。

 

サン・ジャックへの道――これは日本でいうところの、四国八十八か所、お遍路さん。

遍路の行程は1200~1400kmだそうで、距離も似ているのだった。

きっとどちらも、信仰心に関係なく、心洗われる神秘的な体験なのだろうと、興味だけは尽

きない。

 

†     †     † 

 

監督・脚本/ コリーヌ・セロー

音楽/ ユーグ・ル・バール  マドレーヌ・ベッソン

出演/ ミュリエル・ロバン  アルチュス・ドゥ・パンゲルン  ジャン=ピエール・ダルッサン

(カラー/112min)

 







Last updated  2011.07.03 21:37:31
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2011.05.08
カテゴリ:フランス映画
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 大怪我または大病をして身体の自由を失ったら、、、自分ははたして生きていけるだろうか
と思うことがある。
実在した人物ジャン=ドミニク・ボビーは、42歳という働き盛り、突然の脳梗塞で身体の自由
を奪われ“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”になってしまった。
雑誌ELLEの名編集長だったジャンは、華やかな世界に生きる、挫折を知らない人生を送っ
てきた。そんな彼に訪れた、突然の悪夢・・・・。
全身の中で、唯一自由に動かせる左目を使い、20万回の瞬きで自伝を綴った奇跡は、観る
ものに感動を与え、健康に生きていられることの尊さに改めて気づかせてくれる。

つらい闘病生活、瞬きのもどかしさ。そういった重苦しさから救ってくれるように、瑞々しい思い
出の記憶と、イマジネーション世界が交互にやってきた。
どこか寓話チックであるけれども、ユーモアを交えながら、人間の持つ意志の強さを真摯に見
つめた良作だった。
ジャンは、幸せな最期を迎えただろうか、、、 いままで顧みることのなかった家族と過ごしたさ
いごの日々は、病に倒れなければありえなかったことを思えば。
 
ジャンを演じたマチュー・アマルリックの演技がいい。
そのほかのキャスティングでは、善き元妻役に『赤い航路』のエマニュエル・セニエ。医療チー
ムのなかには『愛されるために、ここにいる』のパトリック・シェネとアンヌ・コンシニもいた。
 
†   †   †
 
監督/ ジュリアン・シュナーベル 
原作/ ジャン=ドミニク・ボビー 『潜水服は蝶の夢を見る』
脚本/ ロナルド・ハーウッド
音楽/ ポール・カンテロン
出演/ マチュー・アマルリック  エマニュエル・セニエ  マリ=ジョゼ・クローズ

(カラー/112min/フランス=アメリカ)






Last updated  2011.05.09 09:23:39
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2011.04.17
カテゴリ:フランス映画
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 『カノン』のギャスパー・ノエによる最新作。
あてもなく日本にやって来た男オスカーが、突然の死によって肉体から解き放たれ、魂となって、
輪廻転生への入り口を求めTOKYOの街を彷徨う――。


『カノン』と『アレックス』の衝撃から、相性がいいとは言い難いギャスパー・ノエ監督だが、行きつ
けのミニシアターの館主さんが、コラムに好感触な感想を書いてらして、上映当初から気になって
いた。
ビジュアル映画であることがかえって救いか、前2作品とは違い、頭を空っぽにして観ることがで
きた気がする。
東京の街を俯瞰する魂の浮遊、サイケデリックな映像美。カメラワークの妙に素直に身を任せて
いると、不思議な解放感を味わえる、異色なトリップ・ムービーだった。

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ドラッグのディーラーであり、みずからも麻薬中毒のオスカーは、友人の裏切りで警察の手入れ
にあい、冒頭あっさりと射殺されてしまう。
幼い頃に生き別れた妹リンダと再会したばかりのオスカーは、この世に未練を残しながら、派手な
電飾に彩られた東京の夜を、魂となって漂う。
 
今生のうちには、けして経験することのない麻薬によるトリップとは、きっとこういうものなのだろう。
肉体から解放された死後の意識というものも、こういうものなのかもしれない。
欠くことのできない、夜に蔓延るエロス。現実と非現実の狭間に、トーキョーのリアルが垣間見れる
ようで、鬼才ギャスパー・ノエが感じたらしいこの街の魅力に、不思議ととてもうれしくなる。 

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死んだオスカーは、過去の記憶にも迷い込む。優しい母親に抱かれた記憶、幼い妹と戯れた日々、
そして両親が目の前で死んだ交通事故の記憶・・・・悪夢としあわせが入り混じったまま、どこまでも
自由に彼の意識は浮遊し続けるのだった。

『カルネ』『カノン』でも描かれ、オスカーとリンダ兄妹にもあった、近親 相姦的な構図は、いったい
どんな含みを持つのだろう。
関係の濃さ、見返りを求めない愛の純粋さ? 近親 相姦にけして共感することはできないが、そこに
猛烈な愛情がある関係・・・・というものだけは、認めないわけにいかない気がする。

ネオンあふれるTOKYO、マジックマッシュルームによるトリップ、死後の魂の彷徨。
まるで、他人の夢に迷い込んだような、摩訶不思議を体感する、R18指定の幻想的な夜だった。
 
†   †   †



監督・脚本/  ギャスパー・ノエ
撮影/  ブノワ・デビエ
音楽/  トーマ・バンガルテル
出演/  ナサニエル・ブラウン  パス・デ・ラ・ウエルタ  シリル・ロイ

(カラー/143min)







Last updated  2011.04.18 21:56:26
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2010.12.27
カテゴリ:フランス映画

  全編スチール・カットと、ナレーションのみで描く、SF映画の異色作。
人類の99パーセントが死滅した未来。生き残り地底人となった科学者たちは、第三次世界大戦で荒廃する前の世界へタイムトラベルし、未来を救う術を求めている。
ある時ついに、ひとりの捕虜が時空を超えることに成功した。男は見覚えのある女性と知り合い、彼女と行動を共にして、任務を遂行していくのだが――。

 幼いころに見た記憶の断片が、大きな伏線となっていく。飛行場の送迎デッキ、そこで銃殺されるひとりの男。
彼が生きた過去は、彼の記憶のなかにある確かなリアルで、子ども時みたあの怖ろしい光景はまさしく自分の死なのだった。

主人公の過去への望郷の念、まだ破壊される前のパリの街、人類、そして恋した女性。
地下に潜む未来では、過去の地球は美しく、すでに失われてしまったことの切なさがそこはかとなく感じられる。

モノクロのスチールのみ、あとはナレーションのわずか29分のドラマ。それぞれのスチールはとても儚く美しいとはいえ、30分も続くころには退屈さを覚えてしまうけれど、ただの動画ではこんな濃厚なムードは出ない。佳作といわれる所以がよくわかる。
ワンシーンだけ動画の場面があるので、静止画の連続とおもって油断しているとうっかり通り過ぎてしまうかもしれない。深い印象を残すための仕掛けがまた乙だった。

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好きな映画、ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995年製作)はこちらを元ネタとしている。すいぶんエンタテイメント性が増して、物語が膨らんでいたが、たしかに本作が原点となっとく。
デジャブが確実にあるべきラストシーンへと終結されていく展開はかなり秀逸だ。


†   †   †


監督・脚本/ クリス・マルケル
製作/ アナトール・ドーマン
音楽/ トレヴァー・ダンカン
出演/ エレーヌ・シャトラン  ジャック・ルドー  ダフォ・アニシ

(モノクロ/LA JETEE/29min)







Last updated  2010.12.29 17:45:09
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2010.11.05
カテゴリ:フランス映画

 80歳を越えて、なお活躍を続けるアニエス・ヴァルダによる、シネマ・エッセイ。
ヴァルダは、1928年ベルギー生まれ、フランスに移住後、写真家、映画監督として活躍を続けてきた人。
生い立ち、家族、友人、亡き夫ジャック・ドゥミとの思い出―――心象風景を交えながら、過去と現在を繋ぐドキュメンタリーには、彼女の人生を語る上で欠かせない美しい浜辺の記憶が散りばめられている。

ヴァルダ個人の回想に留まらない、時代ごとに変化してきたフランスの歴史であったり、第二次世界大戦、ヌーヴェル・ヴァーグ、女性の社会進出など、幅広く<映画>の枠を超えた現代史まで語られている。そのわりには、作風と構成はいたって軽妙。
キュートでユーモラスなの魅力が、娯楽作品とも芸術作品ともいえる私的ドキュメンタリーをステキに仕上げていた。
個性あるセットが最後まで目を楽しませてくれる、その審美眼の素晴らしきこと。

ちなみにアニエス・ヴァルダの監督した映画は、作中にも登場していた『落穂拾い』(2000年製作)がとても有名。
死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれているドキュメンタリーだ。
道路に落ちているものを拾う貧しい人たちを目にして、ミレーの名画『落穂拾い』を連想したヴァルダが、フランス各地の“現代の落穂拾い”を探し旅に出たロードムービー。独特の文明批判とユーモアとエスプリに富んでいるという。
ほかに挿入されていた、過去のモノクロ映画のほうは、残念ながらあまりピンとこなかった。

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ヴァルダ最愛の夫といえば、『シェルブールの雨傘』が有名な、フランス人監督ジャック・ドゥミ。彼も多く登場している。
ドゥミはもう20年も前に他界しているので、当然、生前の画像なのだけれどとても瑞々しい。
恋しそうに思い出話をするヴァルダの姿は、寂しそうであり、幸せそうであった。
表現者同士が愛し合って一緒に暮らすとは、なんてステキだろう! ふたりでいればアイディアも相乗効果、語らいも尽きなかったのではないだろうか。
息子や娘に恵まれて、いまではたくさんの孫に囲まれて、80歳を越えてなお輝いているアニエス・ヴァルダを見ていると、もっと長生きしてほしいと願ってしまう。
そして、こんなふうに幸せなら、長生きするのも悪くないなぁと、思えてくる。

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自ら手漕ぎボートを操り、巨大なオブジェを作成し、見る者の心を掴む映像を撮る、こんな元気なおばあちゃんが、果たして世界に何人いるというのか。
家族や友人たちに囲まれ、海を愛し、好きなことだけ続ける幸せ。
凡人のわたしなら、どんな風に生きれば、こんなおばあちゃんになれるものか、老いたとき幸せであるように今なにをしようか、そっと物思いに耽りたくなる、そんな作品だった。



監督・脚本/ アニエス・ヴァルダ
撮影/ エレーヌ・ルヴァール  アーレン・ネルソン
音楽/ ジョアンナ・ブルゾヴィッチ  ステファン・ヴィラール
出演/ アニエス・ヴァルダ  ジャック・ドゥミ

(カラー/113分)







Last updated  2010.11.09 10:07:16
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2010.10.30
カテゴリ:フランス映画

 多言語を操るという、イタリアのアントニオ・タブッキによる原作に魅了されて、映像化されたものを手にとってみた。 
タブッキの作品は多くフランス語に翻訳されていて、映画もフランス製作によるもの。

訳者によると、これまでイタリア語では表現されることのなかった思考回路――であるという。

詩的で浮遊感のある哲学を含んだ内容は、まさにフランス人好みな感じ。
インドに憧れを抱いた当初、胸の中で思い描いて求めていたイメージは、ここにある。掴みどころのない混沌とした国、心を捉えて離さない国。そして、今、インドを旅したあとも、おなじニュアンスを感じて旅したと断言できる。
小説の書かれた1984年から年月は流れていても、変わらないインドの原風景と呼べるものが、ここにはあるような気がする。

まるで夢のなかを浮遊しているような不思議な世界観がすばらしい。ミステリアスで混沌とした国でこそ、業に囚われた人間の出会いと別れが輝く。

哲学的な言葉の連なり、幻想的な夜の重なり。娼館、病院、神智学会を経て、友人を探す旅はいつしか自己を求める旅へと変化していく―――。

幾日目かの夜。マドラス(チェンナイ)のマンガロールのバス停で、占い師である奇形の青年と出会うシーンが好きだ。(映画では娘さんになっていた)
主人公は、自分のカルマについて訊ね、それに対し青年は「あなたは魂の抜け殻、ほんとうのあなたは別の場所にいる」と応える。彼は戸惑いながらも、言葉を受け入れ、占い師に礼をいって旅をつづける。
旅の最終到達地となるのはゴア。そこで彼は、やっとのことで失われたアートマンと出会うことができるのだ。ミステリアスな出会いの数々が導いた影と光の接近は、演出の妙によってさりげなく、美しい幕切れが消えない余韻を残していく。


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  夜熟睡しない人間は多かれ少なかれ罪を犯している。
  彼らはなにをするのか。夜を現存させているのだ。      モリス・ブランジョ



 原作の冒頭にある言葉が、忘れがたく魅力。全編をとおして何度も流れる音楽は、シューベルトの弦楽五重奏曲 第2楽章。インドの夜想曲としてしっくりと沁みる。


†   †   †



失踪した友人を探して、インド各地を旅する主人公の前に現れる、幻想と瞑想に充ちた世界。ホテルとは名ばかりのスラム街の宿。すえた汗の匂いで、息のつまりそうな夜の病院。夜中のバス停留所で出会う、うつくしい目の少年―――。
イタリア文学の鬼才が描く、内面の旅行記とも言うべきミステリー仕立ての12の夜の物語。
(「BOOK」データベースより) 
 


   監督  アラン・コルノー
   製作  モーリス・ベルナール
   原作  アントニオ・タブッキ
   脚本  アラン・コルノー  ルイ・ガルデル
   撮影  イヴ・アンジェロ
   音楽  フランツ・シューベルト
   出演  ジャン=ユーグ・アングラード  クレマンティーヌ・セラリエ  オットー・タウシグ

     (カラー/110分)








Last updated  2010.11.02 00:05:03
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2010.05.20
カテゴリ:フランス映画

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 五十歳を迎えて仕事にも家族にも行き詰まり、人生に疲れているジャン=クロード。結婚を目前にして幸せなはずなのに、どこか満たされないフランソワーズ。ある日、ふたりはタンゴのレッスンで出会い、それぞれの人生は変わりはじめていく――――――


 老いと、結婚。 悩みは違えど、ちょうど同じ人生の岐路に立っている男女の、年齢を越えた愛を描く。 
物語は、バツイチのジャンが老いを実感して、以前から気になる事務所向かいのタンゴ教室に通いはじめる、一大決心をするところからはじまる。そこでフランソワーズと出会うのだ。
一方、結婚式を控えたフランソワーズは、式で踊るためにタンゴを習いにきて、ジャンと出会う。(じつはふたりは彼女が子どもの頃に、面識がある同士)
明るい彼女は、素直にジャンに近づき、自然のことのように惹かれていく。
しかし、彼女が結婚の決まった身であることを知ったジャンは深く傷つき、彼女を避けるようになってしまうのだった・・・・。


長く生きれば生きるほど、自分が傷つかないように臆病になっていくものだけれど、よりによってジャンは、職業柄気持ちを表に出さないことが癖になっていて、そのうえ人付き合いが超苦手。
週末には施設にいる偏屈な父親をイヤイヤ見舞い(でも見捨てられず・・・)、別れた妻に会う気はなく、最低限の繋がりのなかだけで孤独に生きてきた。
そんな彼が、初めて一歩大きく踏み出して手に入れた恋は、大人の純愛だった。

幾度も繰り返される、タンゴの調べは、この映画のために作曲されたのだとか。
ダンスシーンはじっくりと冗長気味に感じるかもしれないが、ラストシーンにきて初めて、それがベストであったのだとわかる、計算された尺なのだった。
ふたりの想いが飽和するのと、ロマンチックな旋律とタンゴ―――。想像していた以上の胸の高鳴りで幕を閉じる。


ジャン=クロードの一家の家族関係はおもしろどころ。一家は父も息子もそのまた息子も、代々、裁判所の執行官。憎まれ役となる職業のせいか、家族の性質か、みんなが滑稽なくらい不器用なのだ。
家族なのに会話はほとんどなく、強がってみたり、本音を隠してみたり。
父親は、毎週会いに来るジャンに、ほんとうは嬉しくて感謝していることを言えない…。執行官の職にも父親にもうんざりしているジャンの息子は、事務所をやめたいことを父に言えない…。
そんなもどかしいほど不器用な彼らの日常に、一筋の光のように差しこんだ、真っ直ぐなフランソワーズという存在がキラキラと輝いて見えた。(演じているアンヌ・コンシニは実際うつくしい!)
これだけは偽りたくない――――そんな強い想いに出会えたジャンは幸せ者でしょう。
そして、彼が変わったことで家族にも変化が訪れて、孤独な父も、内向的な息子も、ほんの少し救われ、幸せに向かっていく余韻がたまらない。


監督はフランスの新鋭、ステファヌ・ブリゼフランス。こちらで長編2作品目。
フランス映画の小品には、短尺でまとまった良作が、ほんとに多い。完成度が高くて、見ごたえあって、ため息がでるのぅ。


------------赤ハート----------


監督/ ステファヌ・ブリゼ
製作/ ミレーナ・ポワロ  ジル・サクト
脚本/ ステファヌ・ブリゼ  ジュリエット・サレ
撮影/ クロード・ガルニエ
音楽/ エドゥアルド・マカロフ  クリストフ・H・ミュラー
出演/ パトリック・シェネ  アンヌ・コンシニ  ジョルジュ・ウィルソン

(カラー/93分)








Last updated  2010.05.21 16:50:23
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2010.05.12
カテゴリ:フランス映画

 『アリス』『オテサーネク』の監督、ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコスロヴァキア、プラハ生まれの芸術家。シュルレアリストで、アニメーション作家で、映画監督でもある。

本編は、初期の映像作品から『オテサーネク』までの制作秘話や、チェコで催された展覧会の準備風景を交えつつ、豊富なインタビューと証言で彼の作品の魅力を解き明かすドキュメンタリー。
氏の作品に、少なからず興味をお持ちの方は、きっと楽しめるに違いないドキュメンタリーだった。

なぜ今どきシュールレアリスムなのか? この質問には、ヤン自身がしっかり応えてくれている。
そして氏の創作活動に欠かせない、最大のパートナーであるエヴァとの関係を見ることができるのもうれしい。
2005年、『ルナシー』で美術・衣装を担当したエヴァは、完成後に65歳の若さで亡くなっている。それ以降、ヤンに新作がないのは、最大のパートナーを失ったことが影響しているのかもしれない。

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個人的には『オテサーネク』の撮影風景がとてもたのしかった!
あのオテサーネク(切り株)が、どのようにして調達されてきたか。木に命が吹き込まれていく様を見るのは興味津々。
動きを出すために用意された、幾種類も切り株に囲まれて、まるで孫のようにオテサーネクを抱いているヤンが、かなり嬉しげだ。
隣家の少女・アルジュビェトカを演じる子役のオーディション風景なども興味深い。
あえて可愛らしい子をチョイスしないのは、こだわりなのか(笑) このクリスティーナちゃんも、『アリス』のクリスティーナちゃんも、お世辞にも美少女とは言えないのだった。求めているのは個性か?

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ともかく作品にはいろんな子どもの頃のトラウマが、影響しているらしいことを知った。主人公に女の子が多いのも、照れ隠しのためなのだそうだ。
時代遅れだと揶揄されてもなお、シュールレアリストとして様々な作品を造り続けるのが、シュヴァンクマイエルの道。
そこに驚くほど、エヴァのデザインや絵が魅力をもって投入されてくる。
本編中に登場する作品は、やはりどれもわたし好みで、見ているだけで楽しかった。
こんどはいよいよ初期の短編を観ていこうかな。買わないと、観れないけれどね。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はさみ



監督/ ベルトラン・シュミット  ミシェル・ルクレール
出演/ ヤン・シュヴァンクマイエル  エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー

(カラー/58分)







Last updated  2010.05.13 16:37:03
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