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イラン映画

2011.10.09
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カテゴリ:イラン映画

windwillcarryus02.jpg


――――山あいの小さな美しい村にやってきた、TVクルーたち。彼らの目的は、この村で行われる葬式の珍しい儀式を取材すること。もちろん村人には本当の目的は内緒にしている。しかし、もうすぐ死ぬはずだった病気のおばあちゃんはなかなか死なず、クルーたちのイライラは募るばかり・・・・。


  いつか中古のビデオを買ったまま、ずっと放置してあったキアロスタミ監督の代表作。この監督のロングショット長回しは、こころに余裕のあるときでないととても気が向かなくて、今までずっと後回しになっていた。
やること成すことなかなか上手くいかない、主人公の苦悩と焦りを眺めていると、風が吹くまま、のんびり構えていなくちゃいけない時が人生にはあるのだと、思う。
この物語の場合、主人公が待っているのは人の死だから、なおさら人知の及ばぬ領域なのだった。


Wind Will Carry Us, the,.JPG


携帯が鳴るたび、電波の届く小高い丘まで、くねくね道を何度も行き来する。そんな不便さを、主人公が「風まかせ」と笑っているなら別だけれど、いくら心得ている彼だって、テヘランから何百キロも離れたこの村で、儀式が行われるのをただなにもせずにいつまでも待っているのはツライ・・・・。
単調な場面の繰り返し、いつになくシンプルな構成、持て余しそうなくらい緩やかな時の流れ。半ば諦めて待つうち、物事は突然動きはじめて、思いもよらない結末を迎える。

入り組んだ造りや、白い壁に映える青など、不思議な構造の家々が画的にとても魅力だった。まるで『望郷』にでてきたアルジェリアの"カスバ"のようで。


---------------- 


監督・製作・脚本  アッバス・キアロスタミ
撮影  マームード・カラリ
出演  ベーザード・ドーラニー  ファルザド・ソラビ  バフマン・ゴバディ

(カラー/118min/イラン=フランス合作)









Last updated  2011.10.11 20:52:25
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2011.09.06
カテゴリ:イラン映画

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 いまだ表現の自由が許されないイランで、ほんとうにあった出来事の映画化。インディ・ロックを愛する若きミュージシャンたちのリアルな実情を、ドキュメンタリーを観る感覚で垣間見ることができる。

(あらすじ)ふたりでバンドを組むベガルとアシュカンは、好きな音楽をやるためにイラン出国を決意した。
違法ビザやパスポートの手配は、便利屋ナデルが一手に引き受け、出国の日までのわずかな日数を、コンサートの準備と新たなバンドメンバー探しにいそしむのだったが―――。


テヘランの街の片隅、ベガルたちは、音を潜めながら大好きなロックを歌い続けているたくさんのミュージシャンたちと出会う。
牛小屋や地下室やビルの屋上・・・・アンダーグラウンドで活動する彼らは個性に満ちている。
演じているは、みんな実在している歌手たちで、見応えある演奏シーンが合間に幾度も挿入される演出がたのしい。
撮影後、監督らは逃げるようにイランから出国したそうだから、楽しんでばかりもいられないのだけれど。。


336971_01_04_02.jpg


好きな音楽さえ続けられなんて、なんて辛い。簡単なことが難しい国・・・。こういう時はほんとうに日本に生まれてよかったと思うよね。
困難ばかりだからこそ、ロックに心があるし、魂からの叫びがメッセージを放つとしても、それを外に表現できないなんて辛すぎる。

バフマン・ゴバディ監督といえば、イラクの戦争孤児たちをシビアに描いた『亀も空を飛ぶ』が鮮烈だった。
本作の舞台はイランだし、テーマは身近なものだし、当然趣は違うけれど、実話に基づいて描かれたラストシーンだけは、『亀も空を飛ぶ』を彷彿とさせた。甘くないイランという国の現実にハッとさせられてしまう。


  
----------------------------



  監督  バフマン・ゴバディ
  脚本  バフマン・ゴバディ  ロクサナ・サベリ  ホセイン・M・アプケナール
  撮影  トゥラジ・アスラニー
  出演  ネガル・シャガギ  アシュカン・クーシャンネジャード  ハメッド・ベーダード

   (NO ONE KNOWS ABOUT PERSIAN CATS/106min)








Last updated  2011.09.07 21:58:51
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2010.09.27
カテゴリ:イラン映画

 “ジグザグ道三部作”最終篇。
前作、「そして人生はつづく」に登場する、大地震の翌日に式を挙げた新婚夫婦の挿話を、元に生まれた作品。

 大地震に見舞われ、瓦礫と化したイラン北部の村。映画の撮影を手伝っていた地元の青年ホセインは、この夫役に抜擢される。妻を演じる少女タヘレとは、求婚してフラれた仲だ。
ホセインは一緒にいられる短い撮影のあいだ、何度も何度もアタックを繰り返すのだが・・・・。

映画のなかで、キアロスタミ監督役の人物が、さらに映画を撮っているという構成。気を長くして、繰り返されるカットに挑まないと、やはり眠気が襲う。
テイク1、テイク2・・・・・・テイク5くらいまで平気で続く劇中劇には、心のゆとりがなによりも評価を分けるところだろう。

ラストシーンのロングショット長回しは、果てしなく長い。オリーブの林のなかを、どんなにムシされても諦めないホセインが、延々とタヘレを追っていく場面だ。
ジグザグ道。遠のく人影。
VHSの粗い画面では、長回し早々、すでに何が起こっているのか細部はかき消され、目を凝らして、歩き去る二人の影と、ひとりで戻ってくるホセインになにがあったのか、想像を逞しくして見守るだけ。

素朴で懐かしい匂いのする、ほのぼのとしたこのシリーズ。こころ安らかな精神状態のときに観るのが良かったか、、、とひとりごちる。ただ、ペルシャのステキちゃんな息吹を存分に堪能できることは、やはりかなり魅力的だった。 



†   †   †
 

製作・監督・脚本/ アッバス・キアロスタミ
撮影/ ホセイン・ジャファリアン  ファルハッド・サバ
出演/ ホセイン・レザイ  モハマッド・アリ・シャバーズ  タヘレ・ラダニアン

(カラー/103分/ZIR-E DERAKHTAN-E ZEYTOON)








Last updated  2010.09.29 20:45:35
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2010.09.14
カテゴリ:イラン映画

 ジグザグ道3部作の第2作。
前作『友だちのうちはどこ?』で孤軍奮闘した、ババク君の住むイラン北部を、1990年大地震が襲った。
キアロスタミ監督が、彼の消息を訪ねた自身の体験を元に、ドキュメンタリータッチで描く、ロードムービー

被災地を走る車窓の風景、村人たちとの会話、素朴すぎる魅力が溢れている。
たくさんの犠牲者を出したにもかかわらず、村人は明るく、前向きに生きている。生きていくしかない。
道が寸断された困難な行程を行くだけ、ただそれだけなのに、挿入される音楽の優しさが相まって、さわやかな感動に包まれる。

とにかく素朴で、多用されるロングショットに、何度も何度も眠ってしまったよ。観終えるまでに数日。
景色は変わらず、単調だもの眠くなる。
映画って、一口にいっても、様々な種類がほんとにいっぱいあるもので、本編はナチュラルさの面では極といえそうだ。素材の味わいがすべて。



†   †   †



監督・脚本/ アッバス・キアロスタミ
製作/ アリ・レザ・ザリン
撮影/ ホマユン・パイヴァール
出演/ ファルハッド・ケラドマンド  プーヤ・パイヴァール

(カラー/91分/ZENDEGI EDAME DARAD)







Last updated  2010.09.16 20:48:03
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2010.09.07
カテゴリ:イラン映画

 イランの俊英、キアロスタミ監督による、ジグザグ道3部作の第1作。

 友だちのノートを間違えて持って帰ってきてしまった少年が、ノートを返しに、友だちの家を探し回る様子を、ドキュメンタリー・タッチで捉えた爽やかな小品。  (映画大全集より)


 はじめて観たイラン映画は、たぶん『運動靴と赤い金魚』(1997) だったと思う。それから数本、子どもたちの奮闘する物語を観たけれど、あまりの健気さに辟易気味となり、、、大人向けの良質な作品に幾つか出会ったあとは、しばらくイラン映画から遠ざかっていた。
久しぶりに観ようと手を伸ばしたのは、ずっと自宅にあった<ジグザグ道3部作>のVHS。

 キアロスタミ監督初期の作品なので、かれこれ20年以上は経っているから、その時代背景も考えつつ、やはり素朴、健気、意地らしい――のキーワードは外せない。『ホームワーク』でも感じたことだけれど、イランの大人たちは子どもに厳しいのだ。
主人公がどんなに困っていても、大人の対応は邪険で、ろくに話も聞かない。つねに孤軍奮闘。 

その日、ノートを忘れて先生にこっぴどく叱られた子のノートを、持ってきてしまった主人公。困って泣いているかと思うと、いても立ってもいられず、届けてあげることにするが、、、母親に出かけたいと話しても、いっこうに聞き入れてくれない。
次々と手伝いを言いつけながら、「宿題をしなさい!」の一点張り。
主人公は仕方なく、無断で友だちのうちを目指す。彼の家の場所もわからないまま――――。

ジグザク道を抜けて、通りすがりの人々に尋ねながら、不安そうに奔走する姿が幼気。
ついに、ともだちの家を知っているおじいさんに出会い、案内してもらうが、けっきょく見つけられずに、真っ暗になった道を引き返すのだった。
年老いたおじいさんの歩みが、なんともスローで、ヤキモキすること必至。

061_khaneYeDoustKodjast_01.jpg


自宅に帰って、夕飯も食べずに、宿題をはじめた少年は、翌日、遅刻して学校に着く。
あの友だちは、ノートがなくてすでに涙ぐみ、うな垂れているが・・・差し出したノートには、ちゃんと宿題が! 主人公は二人分の宿題を済ませていたのである。

日本人の感覚からすると、それは当然の成り行きで、同じ状況の場合、解決策は幾つでもある。しかし、イランではそうはいかなくて、電話もなくて、代わりのノートもない・・・友の家はすごく遠いし、家の手伝いをするから忙しい。
主人公の頑張りは、わたしたちが普段忘れてしまっている感覚を呼び覚ます。なにかを思い出させてくれる、良さがある。



†  †  †



監督: アッバス・キアロスタミ
製作: アリ・レザ・ザリン
脚本: アッバス・キアロスタミ
撮影: ホマユン・パイヴァール
出演: ババク・アハマッドプール
アハマッド・アハマッドプール
ゴダバクシュ・デファイエ
イラン・オタリ

(カラー/85min/KHANE-YE DOUST KODJAST?)









Last updated  2010.09.09 17:08:06
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2009.07.22
カテゴリ:イラン映画

 自殺を決意した男が、自殺を手伝う人間を探すうちに一人の老人に出会う。老人は生きることについて淡々と語り続ける―――。


 ずっと観たいと思い続けてきた映画です。それゆえ、期待が大きすぎたかも。
イラン映画の妙味、素朴さはとても生きているけれど、観尽くした感のあるテーマからは、お国柄の魅力以上のものは得られませんでした。やはり期待が大きすぎたのでしょう。

自殺の幇助をしてくれる人を探して、男はあてどなく車を走らせています。なにがあったのかは描かれないままに。
金になる仕事がある―と声を掛けるも、内容を言うと途端に断られてしまう・・・。
しかしついに、それを引き受けてくれる老人と出会うのですが。
男が段取りを説明したその車中で、突然老人は淡々と語り出すのです。自分も同じように死のうと考えたことがある、と―――。

音楽もなく、景色は全編ほとんど変わらず、ロングショットを多用しながら、どこまでもさり気ない。
感動させようとはしないし、素朴さだけが取り柄と言っても過言ではないような地味な作品ですが、人生の本質がきっちり語れられているのはいい。
可もなく不可もなく、茶色い風に吹かれながら、哀感に触れているのは心地がいい。

唐突なエンディングは、なんとなく感情を白けさせてしまった。


●  ●  ●  ● 


監督・製作・脚本/ アッバス・キアロスタミ
撮影/ ホマユン・パイヴァール
出演/ ホマユン・エルシャディ  アブドルホセイン・バゲリ  アフシン・バクタリ

(カラー/98分)







Last updated  2009.07.23 19:52:56
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2009.03.31
カテゴリ:イラン映画

 イランの名匠キアロスタミ監督が、宿題をテーマに、教育現場の実態に迫ったドキュメンタリー。

古今東西、子どもたちに宿題をしなかった理由を聞けば、様々な理由や言い訳が返ってくるんだろう。
私自身、たまにはやらなかった。めんどくさいとか、忘れていたとか、そんな理由なんだけど、学校に着いてから焦って済ましていたっけ。

日本ではサボリがたぶん理由の一番に違いないと想像するのだけれど、なんとイランでは、「親」が宿題ができない理由のナンバーワンをしめているのだ。

両親が非識字であること、それに加えて膨大な宿題が出て、時間と場所がないことも理由になっていた。
親は親で生活するのに忙しくて、勉強のことにまで手が回らないのが実情のようだった。
監督のインタビューに答える子どもの姿を淡々と映し出しつつ、時おり朝礼の様子や、飛び入り参加のおやじが教育論を雄弁に語るシーンなど交えながら、最後にはイランにおける教育現場の問題点を浮き彫りにしていく意欲作。
アラーの存在が、ありとあらゆる形で勉強やら道徳に入り込んでいるもの、問題点にみえてくる。

それにしても、イランの親御さんはコワイ。ベルトでぶたれる子が異様に多いのだ。
ベルトはぶつためにある、、、?
イラン映画には過酷な状況を自力で切り抜けていく、健気な子どもたちを描いた作品も多いけれど、それを、子どもたちの能力を大人が相当認めている証拠――と感じたのは間違いだったか。このドキュメンタリーを見ていると、なんとも複雑な思いがしてくる。

宿題ができない環境があることを思えば、ただサボれるなんて幸せなことなんだよ、子どもたち・・・。
それでも、子どもたちが一様に「アニメよりも宿題が好き!」と答える表情は、若干こわばっていたようにも見えたが、勘違いだろうか。




監督・脚本・インタビュー/ アッバス・キアロスタミ
撮影/ イラジ・サファヴィ
音楽/ モハマド=レザ・アリゴリ

(カラー/86分)







Last updated  2009.04.07 17:48:12
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2008.12.10
カテゴリ:イラン映画

 以前、レンタル落ちVHSを大量買いしたときの一本。
キアロスタミ作品を幾つも購入して、その後なかなか観る気になれず、久しぶりのイラン映画となりました。

 (あらすじ) サッカーが大好きな10歳の少年が、テヘランで行われる試合を観るために、両親をはじめたくさんの嘘をついて旅に出る、ささやかなロードムービー。


 普段私たちが目にするイラン映画は、とにかく子どもたちが主人公のものが多い。日本人には健気さが受けるから、配給会社がその辺を中心に選んでいるからにすぎないのだそうだ。
わたしも健気さに心打たれているひとりなのだけど。
ただ思い出してみると、『私が女になった日』のなかの「アフー」や、『カンダハール』といった、大人たちが主役の素晴らしい作品もある。

こちらは、キアロスタミ監督の第二作目。
いつものことながら、大人は誰も助けてくれなくて、自分だけが頼りだ。ずる賢くなるのも、嘘をつくのも、この国で生きるには必要なこと。
生き生きして見えるのは、本当に自分の人生を自分で生きているからなんだろう。日本の若者が全体に生気なく見える理由も、そんなところにあるんだろう。

勉強は苦手で、母親には呆れられて、父親は当てにならない。いつしか大好きなサッカーの試合を、スタジアムで観ることだけが大きな希望となっている。
詐欺同然で作ったお金を持ち、夜行バスに乗り込んだ彼は、生まれて初めて感じた自由を味わっているようだった。
この一人立ちする感覚は、誰しもが経験したことのある、瑞々しいもの。


無事到着して、されどもう一波乱。
並んで求めたチケットは目の前で売り切れで、仕方なく、帰りのお金に手をつけてまでして、ダフ屋から高いチケットを買うのだ。そうしてようやく夢のスタジアムに入るけれど・・・・
最後の最後に、やっぱりやるせない結末が待っている。
ハッピーエンドはこない。

少年は、興奮してまんじりともしなかった一夜が、きっと憎らしかっただろう。
試験の結果や、両親の怒りを考えたら、胃がキューっとなりそうなものだけど、でもきっと彼はこんなことではくじけずに、どうにかして来た道を帰って行くのだろうし、もとの生活に戻っていくんだろう。

イランの子どもたちのバイタリティはやはり良かった。ありきたりではない宝物だと大人にはわかるから、似たような試練物語が多いのだろうと、この度思う。
イランの大人たちは、実はそんな子どもたちを相当認めていて、大きな愛で包んでいるのかもしれない。
イラン人監督の視線が、いつも厳しくも温かいのはそのせい。




監督・脚本  アッバス・キアロスタミ
出演  マスード・ザンベグレー  ハッサン・ダラビ

(モノクロ/72分)







Last updated  2008.12.10 23:25:06
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2008.01.27
カテゴリ:イラン映画

 カナダに亡命したアフガニスタン人ジャーナリスト・ナファス。彼女は母国アフガニスタンに残してきた妹から、自殺を仄めかす手紙を受けとる。
姉はなんとしてでも妹を助け出したい一心で、タリバン政権下のカンダハール目指して決死の覚悟でアフガニスタン潜入を図るのだった・・・。


 「20世紀最後の皆既日食が見られる日、私は自殺します」
妹からの悲痛な手紙を受け取ったナファスは、妹を助けるため、カナダから戦闘の続くアフガニスタン‘カンダハール’へと向かうのでした。
親族を伴わない、女性の一人旅など許されない、命がけの数日が始まります。

チャドルに身を包んだ女性たちには、いかなる権利も許されていません。医者にさえ素顔を見せることはない、アフガニスタンの女性たち。
カナダでジャーナリストとなった主人公は、テープレコーダーに妹へのメッセージを録音しながら、旅を続けます。
故郷へ戻ってなにを思うのか―――ラストの台詞が最後に重くのしかかります。

ガイドを頼んだ少年はリベート目的で、砂漠の骸骨から奪った指輪さえ売りつけようと必死。親戚を装ってくれた親切な一家も、盗賊に合えばおしまい。とうてい簡単にはいきません。
カンダハールへ行くと言えば、誰もが止める。そんな過酷な状況下で、けして諦めないナファスでしたが・・・・。

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ナファスを演じているのは、実際にアフガニスタンからカナダに亡命したという、ニルファー・パズィラ。ジャーナリストです。
友人から同様の手紙を受け取った彼女が、マフマルバフ監督に自らの旅を撮影してほしいと頼んだのが始まりだったそう。
ドキュメンタリーにドラマを乗せたものは、イラン映画に多いといいます。

地雷で足を失った沢山の人々、国の悲惨な状況が、幻想的に鮮やかな色彩で映し出されます。
祖国から逃げ出し、亡命できる人は幸せなのでしょう。彼女も幸せだった。
けれど、足を失い、アフガニスタンに残ることになった妹を救いたいと願った時、彼女の命は確実に短くなったのを感じました。
きっと救われることはない―――
多くのイラン映画で感じる救いのなさを味わうばかり。

表面は、チャドルに身を包んだ女性の解放を願った作品のよう。押し付けることなく、背景にあるアフガンの現状を、うまく伝えていました。
戦時下に撮られた本作は、きっと色んな意味での呼びかけだったのでしょう。
手紙を映画の題材としたのはよしとして、あまりにも突然終わったのが、ちょっと残念。





製作・監督・脚本  モフセン・マフマルバフ
撮影  エブライム・ガフォリ
出演  ニルファー・パズィラ 、ハッサン・タンタイ 、サドユー・ティモリー

(カラー/85分/SAFAR E GHANDEHAR/イラン・フランス合作)










Last updated  2008.12.10 23:19:58
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2007.12.19
カテゴリ:イラン映画

 女流監督マルズィエ・メシュキニの初監督作品。
イランのキシュ島を舞台に、イスラム社会で生きる女性たちの、それでもなお厳しい現実を見据えた3つのオムニバス・ストーリー。
ヴェネチア映画祭で、最優秀新人監督作品賞を受賞しています。

キシュ島の場所を知りたくて、世界地図をひっぱり出してきたけれど、載っていないみたい。
イランでありながら、西洋風のリゾート地だといいます。小さい島なのかな。



第1話「ハッワ」

 「ハッワ」はイブのこと。主人公の名前と、9歳になる前夜というニュアンスを、掛けてあるのでしょう。

――今日はハッワの誕生日。イスラムの女の子は、9歳になると大人として扱われ、スカーフを被り、男の子たちとも遊べなくなります。子どもでいられる最後の半日を描いた物語。


9歳で女として扱われるなんて早いですね。
もちろん、ハッワにとっても、自覚はあとから。男友達との残された時間がなごり惜しくてたまりません。
祖母と母親にわがまま言って、彼女が生まれた正午までならと、遊びにいく許可をもらうのです。砂に棒をさして、影が消えるまでに戻る約束。
彼は彼で、勉強しなさい!と家に閉じ込められてしまって、窓の格子から、わずかに残された一緒の時間を過ごすふたり。

健気な子どもたちの姿は、イラン映画の魅力。自然の仕草が好きです。
魅力もそのはず、子どもたち主役の作品が、断然多いのがイラン映画。
この作品が他と違うのは、リゾートの島である舞台キシュの情景がとても美しくて、陽気なところでした。
青い海、青い空、砂に囲まれてはいるけれど、南国みたいな明るさがあります。
ストーリーは、相変わらずに、生活や宗教が背景にある切実なものだけれど、陽気さが今までとは違った魅力を引き出していました。

棒から伸びる影を幾度も気にしながら、ふたりでひとつのキャンディーを舐める。
そして、さようならの時間がやってくる。


day_became.jpg dayibecameawoman.jpg

「ハッワ」                       「アフー」



第2話「アフー」

 
 ――この日、キシュ島では女子自転車レースが行われていました。参加者のひとりで離婚を望むアフーを追いかけ、考え直すよう説得する男たちが、馬に乗って次々と現れるのですが・・・


「アフー」は鹿の意味。こちらも主人公の名と、タイトルと、内容がリンクしています。
これぞまさに、イスラムの男性優位社会に生きる、女性の闘い。
どんなに止められても、決して漕ぐのをやめないアフーの頑なな姿は、女として応援してしまう。
次から次と送り込まれて増えていく男たちを尻目に、アフーの闘いは終わりません。
抜きつ抜かれつ、レースに挑みながら、男社会にも挑んでいる。まるで女性解放のレースをひとりで闘っているようです。
ヒマールをはためかせ、ばく進するスピード感が見どころでした。
内容ばかりじゃなく、冒頭から、馬に跨った男がアフーを探し出すまで荒野を延々駆るシーンなど、勢いがあって素晴らしい。
すごくシンプルな構図・撮り方なのかもしれないけれど、このシンプルさをじっくり見せてくれる映画は少なくなっているのではないでしょうか。
大満足な小品でした。




第3話「フーラ」

 ――島の空港。飛行機から降立った、ひとりの老女フーラ。彼女はポーターの少年たちを従え、長い間憧れていた品々を買いに、いざ出発するのです。


「フーラ」は妖精の意味。このネーミング、なんだかわかります。
老婆フーラは不思議な魅力のある人でした。
テレビ、掃除機、オーディオ、ソファーに冷蔵庫。お鍋にベッドにコーヒーポット・・・
あらゆるものを買い込んでいくフーラの後には、いつしかポーターの少年が列を成します。
さんざん買い物をしたあとで、透明なポットが気に入らないと、一人の少年を引き連れデパートへ引き返すフーラをよそに、残された家電・家具・生活雑貨と少年たちは、お祭り騒ぎをはじめるのでした。

真っ白な砂浜に、ぽっかりお家ができちゃう!なんとも楽しい三作目。
無条件で幸福になれる映画がありますが、こちらもそうです。
珍しくてたまらない高価な家庭用品と戯れる、少年たちの夢のような時間は、ありそうでない出来事なのでしょう。
そんな夢を見せてくれるのは、フーラさん、妖精ような不思議なお婆さんなのでした。
手製の筏に載せられた生活用品が、青々した海にぽっかり浮かぶ、ラストシーンが大好きです。

最後にみっつのお話がリンクしているのが、ミソ。
女性による視点で描かれたオムニバスの佳作といってよい作品では、ないでしょうか。



iran-became-woman.jpg 




監督  マルズィエ・メシュキニ
脚本  モフセン・マフマルバフ
撮影  モハマンド・マフマディ
出演  ファテメ・チェラグ・アザル 、シャブナム・トルーイ 、アズィゼ・セッディギ

(カラー/78分/イラン映画)











Last updated  2007.12.19 14:51:37
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