【韓非子】守株~holding on to a tradition~
韓非子ー強者の人間学【電子書籍】[ 守屋洋 ] こんばんは。伝統や風習を守っていくのは良い事ですが、固執し過ぎはあまり宜しくないかなと思っているO・D・Oです(^^;)。そう思うようになったのも、中国古典の韓非子の五蠧篇に書かれている「守株」という題目の話を読んでからです👇【守株】〈訳〉 宋という国に田を耕す人がいた。その人の田んぼの中には切り株があった。 ある日、野兎(うさぎ)がその切り株に勢いよく走り込み衝突して死んだ。 幸運にも食肉を手に入れたその耕作人は耕作を放棄して切り株を守るようになり、再び野兎が来るのを待ったという。 だが、二度と野兎が来る事は無かった。彼は国中の笑いのネタとなった。〈原文〉{宋人に田を耕す者有り。田の中に株有り。兎(うさぎ)走りて株に触れ、頸を折りて死す。因りて其の鋤(すき)を釈(す)てて株を守り、また兎を得んと願う。兎はまた得べからずして、身は宋国の笑いと為れり}【韓非子の意見】 上記の「守株の話」を紹介した韓非子は以下のように解釈しました👇「聖人は修古を期せず、常可に法(のっと)らず。世の事を論じ、因りて之が備えを為す。{中略}先王の政を以て当世の民を治めんと欲するは、皆株を守るの類い也(なり)」➡️優れた人とは昔の成功例に囚われず一つのやり方に固執しない。今現時点で目の前に起きている問題について考えそこから起こりうる事に対して備えていく。昔の賢人のやり方で目の前の問題に対処しようと考えるのはこの『株を守る者』と同類である。…韓非子はこの「株を守る者」を例に取り上げて、当時いた昔のやり方に固執する人々を批判しています。 大事なのは「現代に適した対処をする」事であり、昔に上手くいった方法はその昔の時代に適した手段だったからだと言っています。【故事成語としての意味】・守株 いたずらに古い習慣を守って時に応じた物事の対処が出来ないこと。…☝の故事から「守株」という故事成語がうまれました。現代風に言えば「マニュアル人間」ってとこでしょうか(--;)。昔に成功した例をそのまま模倣するような事だと思われます。 何故上手くいったか、その理由を理解した上で良い所のみを採用する事は良いですが、表面的に真似するだけだとそれは形だけのモノとなり、いつか形骸化して機能していかなくなると思われます。【O・D・O's解釈】…この「守株」という言葉が"故事成語"として存在している事に面白さを感じます。 古典の中には「組織のあり方」のような事も書かれていますが、全てが現代に適しているとは限りません。その時代に適した考え方や手段であれば参考にし、現代流に修正やアレンジを加える事で、その古典の教えが活きてきます。 何かしら本などを読むにしても、その内容を漠然と真似るだけでなく、その本質を理解すれば宜しいのです。「過去の出来事を将来に生かす」この心構えを大切にしていきたいですね。 今回の記事はここで締めます。読んでいただきありがとうございましたm(__)m参考資料中国の思想(1)第3版