2020.11.28
【易経】巽為風 ~命を申ぬるなり。中正に巽いて志行なわる~
カテゴリ:
・易経
◯◯●巽為風◯◯●
【卦辞】
「巽は小しく亨る。往くところあるに利ろし。大人を見るに利ろし」
【彖伝】
「重巽はもって命を申(かさ)ぬるなり。剛は中正に巽いて志行なわれ、柔はみな剛に順う。ここをもって小しく亨り、往くところあるに利ろしく、大人を見るに利ろしきなり」
【大象】
風が吹きわたる、これが巽の卦象である。この卦象を見て、常に謙遜に事を行なうのである。
【六爻(○)】→
水風井
謙遜も度が過ぎて誰彼の見境いもなく頭を下げるようであれば、財産も権威も失いつくしてしまう。正しくとも凶。
【五爻(○)】→
山風蠱
中正を守ってゆけば吉。悔いはなくなる。順調にゆかぬものはない。初めは難航しても終わりは順調。改革にあたっては、熟慮して見通しをたててゆけば、吉。
【四爻(●)】→
天風[女后]
悔いはなくなる。狩猟に出れば、さまざまな獲物がある。
【三爻(○)】→
風水渙
謙遜も度がすぎれば、卑屈となる。吝。
【二爻(○)】→
風山漸
謙虚な態度でひざまずき、しばしば史巫を頼んで神の託宣を受けるならば、吉にして咎めはない(中)。
【一爻(●)】→
風天小畜
確固たる信念がなく、進退常なき有様ではいけない。死してなお変わらぬ武人の節操を見習うがよい。
《解説》
・巽は風を象徴する。この卦は巽が二つ重なった形で、そよそよと吹きめぐる風である
・風は物に出遇えば、柔らかく身をよけて吹き過ぎる
・巽とは、遜のことで、へりくだる、譲ることである
・風はまた、どんな隙間にでも入りこんでゆく
・巽とは入ることでもある。どんな仕事にも、どんな人間関係の中にも、柔軟な適応性をもって入りこめる人間を表わす
・しかし柔軟性は悪くすると無原則性に陥る危険がある。優柔不断のそしりを受けることにもなりかねない
・進退に迷い、決断をためらうことが多いが、すぐれた指導者に従って、誤りなきを心がけねばならない
【参考資料】
中国の思想(7) 易経(改訂版)【電子書籍】[ 松枝茂夫 ]
易経読本 入門と実践 [ 河村真光 ]
【易経のblog記事】
01
乾為天 ~万物資り始む。庶物に首出し咸く寧し~
02
坤為地 ~大地の働き、牝馬の貞に利ろし~
03
水雷屯 ~天造草眛、剛柔始めて交わり難生ず~
04
山水蒙 ~童蒙より我に求む。初筮には告ぐ~
05
水天需 ~需は須つなり。その義困窮せず~
06
天水訟 ~中すれば吉、終われば凶~
07
地水師 ~原則貞正。丈人なれば吉にして咎なし~
08
水地比 ~輔くるなり。後るる夫は凶~
09
風天小畜 ~密雲雨ふらず。施し未だ行われざる~
10
天沢履 ~虎尾履むも人咥らず。説びて乾に応ず~
11
地天泰 ~小往き大来たる。交わりて万物通ずる~
12
天地否 ~大往き小来たる、万物通せざる~
13
天火同人 ~同人野をおいてす。文明にして健~
14
火天大有 ~徳剛健にし文明、天に応じ時行なう~
15
地山謙 ~そびえ立つ高山、地にへりくだる~
16
雷地豫 ~準備万端、大事に挑む~
17
沢雷随 ~主体性もって随う。四季は秋~
18
山風蠱 ~大川渉るに利。終わるときは始めあり~
19
地沢臨 ~支配と保護。急速な盛と衰~
20
風地観 ~下観て化す。教設け、而して天下服す~
21
火雷噬ゴウ ~頤中に物ある。噬みアワせて亨る~
22
山火賁 ~柔来たり剛文る。剛分かち上り柔文る~
23
山地剝 ~剝は剝ぐ。柔、剛を変ずるなり~
24
地雷復 ~出入疾なし。朋来たる。七日して来復~
25
天雷无妄 ~天命に従う。作為には災禍~
26
山天大畜 ~家食せずして吉。剛健篤実で輝光~
27
山雷頤 ~正を養う。養うところ観る。自ら養う~
28
沢風大過 ~棟撓む。大なる者過ぐる~
29
坎為水 ~孚あり、心亨る。往きて功あるなり~
30
離為火 ~重明もって正に麗く。牝牛を畜えば吉~
31
沢山咸 ~若い男女、柔上りて剛下る~
32
雷風恆 ~恒常な道、誘惑にまけず~
33
天山遯 ~遯れて亨る。時とともに行うなり~
34
雷天大壮 ~貞に利ろし。正大にし天地の情見る~
35
火地晋 ~日の出のとき、進み行く~
36
地火明夷 ~艱しみて貞なるに利ろし~
37
風火家人 ~厳君父母の謂。しかして家道正し~
38
火沢[目癸] ~小事に吉。同じくして而も異なる~
39
水山蹇 ~険を見てよく止まる、知なるかな~
40
雷水解 ~難事解決、新たな出発~
41
山沢損 ~損益盈虚、時とトモに行なわる~
42
風雷益 ~上を損して下を益す。民説ぶこと疆なし~
43
沢天夬 ~剛、柔を決する。危ぶむ光いなるなり~
44
天風[女后] ~柔、剛に遇う。品物咸く章かなり~
45
沢地萃 ~オアシスに聚まる~
46
地風升 ~元いに亨る。恤うることなかれ~
47
沢水困 ~貞なれ。言うことあるも信ぜられず~
48
水風井 ~邑を改めて井を改めず。羸るは凶~
49
沢火革 ~革めて当れば、その悔い亡ぶ~
50
火風鼎 ~鼎は象なり。巽にして耳目聡明なり~
51
震為雷 ~驚かせども、あっけなく通り過ぎる~
52
艮為山 ~動静その時を失わず、その道光明なり~
53
風山漸 ~帰ぐこと吉。進み位得て、往きて功~
54
雷沢帰妹 ~人の終始なり。説びもって動く~
55
雷火豊 ~救いの道か、盛運への警告か~
56
火山旅 ~小しく亨る。貞なれば吉~
57
巽為風 ~命申ぬるなり。中正に巽い志行なわる~
58
兌為沢 ~説びてもって貞なるに利ろし~
59
風水渙 ~柔位外得て上同。木に乗りて功あり~
60
水沢節 ~説びて険を行く。苦節貞にすべからず~
61
風沢中孚 ~豚魚吉なり。信豚魚に及ぶ~
62
雷山小過 ~小事に大吉。飛鳥これに離る~
63
水火既済 ~亨ること小。初め吉、終わり乱る~
64
火水未済 ~その尾を濡らす。剛柔応ずるなり~
Last updated 2020.12.14 07:53:12
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