2021.02.11

【韓非子】首脳陣の願い と 従事者の思い ~孤憤編から考える~

(1)
カテゴリ:・古典
______過去記事______
【韓非子】孤憤編 ~法術士と重臣~
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄過去記事 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…ふと、韓非子の孤憤編に書かれていた事について気になった。思い立ったので、気になった一部分についてまとめてみた。

【臣下の利益 と 君主の利益】
{君主}
・有能な人物をとりたてる
 (能ありて官に任ずる)
・功労のあった者に爵禄をあたえる
 (労ありて爵禄する)
・人並すぐれた者に能力を発揮させる
 (豪傑の能を使う)
{臣下}
・能力がなくても仕事をあたえられる
 (能なくして事を得る)
・功労なしに富を得る
 (功なくして富貴なる)
・仲間と組んでかばいあう
 (朋党して私を用うる)
…うん、これは現代でも通じる話だな。一般企業でも、首脳陣は「良い人を採用し、成果を挙げた人に褒賞を与え、一人一人の能力をフルに発揮させたい」と考えている。一方、従事者は「力不足でも仕事がほしい。給料が貰えれば良い。重い責任を負いたくない」と思っている人が多いのではないか。たとえ口に出さなくても、内心思っている人は多いだろう。実際、仲間内の気楽な会話では、そんな話をよく聞く。首脳陣の願い と 従事者の思い が食い違うことなんて、ざらにあるよ。

【先見性ある者&身の清廉潔白を守る者】
・遠い先まで見通す者は、罰を受けるのをおそれるから、重臣(利益を貪る者)の手下にはならない
・身の清廉潔白を守り通す者は、姦臣といっしょに君主をあざむくことを恥じるから、これも重臣の手下にはならない
…現代でも、従事者の中で強い影響力を持つ人は現れてくる。それが、真面目で真摯に仕事に取り組む人だったら良いよ。だが、たいていは自分本意な重臣のような人が影響力を持つんだ。一緒に怠け合う仲間がほしいからな。言葉巧みに仲良くなり、一緒に首脳陣に反抗的であろうとするんだ。なぜなら、重い責任を負いたくないからだ。ラクして給料をもらいたいからだ。だから、自分の仲間を増やして、面倒事に対して反発しようと躍起になるんだ。ま、これも一つの守備方法だけどね。首脳陣は、無闇やたらに一方的に要求してくるケースもあるからね。これは、ブラック企業に多い。従事者への配慮がなく、ただ求めてくるケースが。そう場合は、徒党を組んで反発も有効な手段だ。だが、まともな企業でそれをやるのはどうか。それは、単なるサボりである。大した事をやらず、ラクして給料を得たいがために反発する。それはちょいと嫌だな。
 もし、そういう輩がいたらどうする?先見性がある人 と 身の清廉潔白を守る人 は、上記の理由から距離を置くそうだ。先見性がある人とは、世間一般的な常識を知っており、その常識と照らし合わせて生きる人を指す。常識人とも呼べる。身の清廉潔白を守る人とは、人として正しく生きることを目指す人を指す。良識人とでも呼べるかな。その両者は、重臣と距離を置きながら、やるべき事に集中して取り組める力がある。

【重臣の手下になる者】
・重臣の手下になる者は、将来のわざわいを察しない愚か者か、悪事を平気で行う恥知らずである
・重臣はこういう連中をとりまきとし、上では君主をあざむき、下では利益をあさっている
・みなで口を合わせて君主をだまし、法を無視して世の中を混乱させる
・そしてついには、国の危機をまねき領土をけずられ、君主に屈辱と苦しみをもたらす
・これこそ、大罪そのものである
…重臣の取り巻きになる人はどんな者か。将来の禍(わざわい)を察しない愚か者と、平気で悪事を行う恥知らずと韓非子は言っている。
 将来の禍を察しない者とは、端的に言うなら阿呆者もしくは世間知らずということだ。阿呆者とは、世間知らずで呆けている者を指す。阿呆者は、まだ若者であれば救いようがある。従事する人を間違えなければ、正しい道を歩める。従事する相手を見誤らないことが大事だな。阿呆者が道を見誤らない為には、自分なりの考えを持つことだ。主体性をもつことだ。確かに、周りに流されて生きるのはラクだ。だが、もしその環境が瓦解したら、一人で生きていけなくなる。だから、主体性をもって生きることが大切なのだ。
 一方、平気で悪事を行う恥知らずとは、そのままの意味だな。恥知らずの無鉄砲っぷりは、なかなかに危うい一面がある。良識人とは真逆の存在。これは距離を置いたほうがいい。へたに関わると、実害を被る。危ない存在。恥知らずになれば、孤立していくんだ。環境に適応できないからな。もし、関わることになったならば、細心の注意を払おう。恥知らずの行動力は凄まじい。何かしでかす前に、道理を説いて制御するんだ。何度も何度も、理解するまで、理解が行動を伴うまで説き続ける。そうして良識を得たならば、慕ってついてきてくれるよ。ある意味、忠誠心が高いとも言える。だが、恥知らずへの接し方には細心の注意が必要だ。
 阿呆者と恥知らず。その両者が、重臣の取り巻きとなる。そして、利益を貪るために、自分の都合がいいように、周りを変えさせていく。そうしていく内に、首脳陣の声が聞こえなくなり、好き勝手にやりたい放題やっていく。首脳陣の利益なんてガン無視だ。ただ単に、自分達がラクに利益を得られればそれで良い。それが、いつしか自身に返ってくることも知らずに。重臣も、結局は阿呆者で恥知らずな連中なんだな。先見性がなく、ただ単に目先の利益にしか興味がない。良識がなく、自分の都合の良し悪しでしか判別できない。ま、いつしか見透かされ、孤立していくんだろうな。それを恐れるから、仲間を増やして、徒党を組みたいんだろうね。

【臣下の大罪 と 君主の失策】
・臣下は大きな罪をおかし、君主は大きな失策をおかしている
・臣下が大罪をおかしているのに、君主がそれを放任しておくとしたら、これ以上の失策はない
・上で君主が大きな失策をおかし、下で臣下が大罪をおかしながら、国の存続を求めても、それは不可能である
…ここまで書いたことを韓非子は、臣下の大罪 と 君主の失策 と言っている。そんな状況では、事業を長続きさせることなんて不可能だと説いている。ま、そうだよね。各々が好き勝手して方向性が定まらなければ、何も成し遂げられないまま沈んでいく。そんなところに、長居なんて出来ない。では、どうするか。俺は『3つ以上の逃げ道を確保する』ことを推奨するよ。

【逃げ道の確保(狡兎三窟)】
~~~~~~~~~~過去記事~~~~~~~~~~
【持論】逃げ道の確保 ~狡兎三窟の故事より~
~~~~~~~~~~過去記事~~~~~~~~~~
…無理して同じ場所に居座り続ける必要はない。俺はそう思う。自身が望んでいるからそこに居るんだろ?だったら、問題なければ居続ければいい。危ういと思ったら逃げればいい。2つに一つ。シンプルな考えだ。
 確かに、新しい所に行くのは勇気がいる。実力も必要だ。二の足を踏むのも分かる。だが、自分を押し殺してまで居座り続ける所なのか?それを考える必要がある。実力がない?だったら、実力を身に付けるために研鑽を重ねるべきだ。今居る場所でも出来る。もっと目の前の出来事に真剣に向き合って取り組めばいい。周りなんて関係ない。自分の意志でやるんだろ、真剣に取り組むなら。真剣にやっていれば、道は広がってくるんだよ。

【適応するor立ち去るor立ち向かう】
~~~~~~過去記事~~~~~~
【処し方】幻想 と 現実 について
~~~~~~過去記事~~~~~~
…やたらと閲覧数が多い上記の過去記事。ここにも、自身の処遇について考えるためのヒントがあると思う。
 この記事で提唱したのは『適応』『立ち去る』『立ち向かう』の3つだ。適応とは、その名の通り上手く立ち振る舞って、自身の立ち位置を確立させる事を指す。立ち去るとは、今居る場所を見限って他へ移る事を指す。そして、立ち向かうとは、自身の影響力を駆使して、組織内に革新をもたらす事を指す。ま、3つ目の立ち向かうについては、信念と協力者がいないと実現不可なんだけどね。

 選択肢は無限大。居場所なんて、そこら中に転がっているんだ。何処ででも生きていられるんだ。あとは、自分自身が何を望んでいるか、それ次第で選べばいい。無理にしがみついていても、何も楽しめないよ。選ばれるよりも選ぶ。それがいい。それだけの実力を身に付ければいい。


【参考書籍】


中国の思想(1) 韓非子(改訂版)【電子書籍】[ 松枝茂夫 ]





TWITTER

Last updated  2021.02.11 09:42:50
コメント(1) | コメントを書く