実録!冬将軍VS水道屋
いや~、参ったぁ!大寒波到来!冬将軍襲来!将軍のヤロー!日本中を、我が物顔で闊歩しちゃってやんの!真っ赤なTシャツに、白抜きで「将軍」ってプリントしたTシャツ着た、外国人観光客ばりに!恥ずかしげもなく!日本中を!どや顔で!いや~、参ったぁ!ほんと、今週は忙しかった!何が参ったって?あれだ。僕、職業、水道屋なんすけどね。連日の寒波で、町中、いたるところで水道管が破裂しちゃってよ!朝から、修繕依頼の電話が引っ切り無し!木・金・土曜日の三日間で、うちの会社だけで、ざっと50件強の修繕依頼が殺到っす!管工事組合加盟店を中心に、町中の水道屋が、てんやわんやの大忙しだったとのこと!もぉ~、へとへとっす!僕の住む中部地方の、寒冷地外の地域では、住民の寒波による水道管の凍結対策の知識・習慣が希薄なので、修繕依頼の電話をかけてくる、ほとんどのお客様が、受話器の向こうで軽いパニックになっていますな。「水道が破裂した!メーターのバルブで止めてある!トイレも行けやしねー!今すぐ来や!」「現在、そのようなお電話が殺到さておりまして、順番にまわらせていただきますので、まずはお名前とご住所を・・」「いいから!早よ来いやコラっーー!」なんつって、ガラ悪ぅ~く怒鳴られたり。「トイレの水が止まらない!助けてーー!!」「お客様。まずは落ち着いて、便器と水道管の間に止水栓と言って、 マイナスドライバーなので閉めれるところがありますので、そこでお水を止めて下さい」「何それ!知らない!そんなもの、無い!」「・・・えーと、では、水道メーターのバルブを止めて下さい。」「水道メーターって何!見たことない!助けて!早く来て!」冷静にお話が出来そうにないので、緊急でご自宅に伺い、先ずは、当然のようにトイレにある止水栓を、お客様の目の前で閉めてさしあげる。そして、駐車場の、これでもかと分かりやすいところにある、ご自宅の水道メータの場所を教えてさしあげたりして。ぶっちゃけ、緊急漏水修繕という工事が、水道屋にとって、よだれをダラダラたらして、いやぁ~、儲かって儲かって仕方がないという類の工事かというと、それは、まったく逆で、先の予定を後ろにずらして、緊急で動いたわりには、材料としては、100円に満たぬキャップ1個で直ったりすることも、しばしば。もちろんピンキリですが、平均して1件当たりの工事金額は安いもんです。(悪徳業者は別として)また、緊急修繕なので、作業時間・作業内容は、やってみなければ分らないところがあり、簡単な修繕であれば、よほどのことがない限り、工事金額は事後の見積になるのだけれど、一刻も早く来い!一刻も早く直せ!と喚き散らすお客様ほど、修繕の請求額についても、高い!ぼったくりだ!と喚き散らしたりするので、その対応に追われたり。郵送した工事の請求書が届くと、お年寄りなどは、「集金に来てくれ」というので、数千円の工事の集金に、再度ご自宅に出向いたり・・・。「もう、無理!出来ねー!他あたってちょー!」なんつって、正直、喉まで出かかったけどね。「地域の皆様あっての会社!修繕依頼は絶対に断るな!」つって、うちの社長に常々言われてるしなぁ。社長、うるせーしなぁ。超怖ぇーし。まぁ、ここで、改めて言うまでもないことですけれど、緊急漏水修繕にあたる水道屋に限らず、停電の復旧作業をする電気屋とか、ガス漏れを緊急修繕するガス屋とか、災害復興を不眠不休で行う建設屋とかもそうだけど、警察や、自衛隊や、消防隊のような、公務員ではないんですね。明確な公務への服務義務がある訳ではないのです。民間の企業で、利潤追求を目的としている会社員、ただの技術者、ただの職人たちなんです。まぁ、そんな、正直普段はろくでもない職人たちですが、こんな時こそ地域の皆様のお役に立たねばと、自分達の中にある「公」の精神を奮い立たせて、若手も、熟練工も、今回、頑張ってくれましたよ。いや、しかし、冬将軍だ!寒波だ!水道管破裂だ!つって、水道屋にしてみりゃ毎年恒例の攻防戦だけれど、今年の冬将軍は別格!冬将軍VS水道屋、ゴングと同時にタオルって感じ!ほんと、参りました!長女のP子画伯作「雪祭り」さて、凍結による水道管の破裂と同じぐらい、一刻も早く来い!一刻も早く直せ!なんつって、お客様が、緊急性を訴えてこられる水廻りのトラブルが、「トイレの詰まり」です。え~、そんじゃ、僕のトイレの詰まり抜き工事にまつわるエピソードをいくつかご紹介しますね。①老夫婦の二人暮らしのお宅から、トイレが流れない、詰まってしまったと、修繕依頼。訪問して、ラバーカップでバッコンしても、改善の見込み無し。ペーパー詰まりではなく、異物詰まりであろうと予測して、便器を取り外してみると、なんと、便器と配管の接合部のフランジのところに詰まっていたのは、「大根のヘタ」でした・・・。ご主人曰く、妻が痴呆症ぎみで、妻が流してしまったのであろうとのこと。注意しておくとのこと。数週間後、同じ老夫婦より、またトイレが詰まったと、修繕依頼。ご主人曰く、先回の一件、妻にはこっぴどく注意したし、自分も妻の行動を監視していたとのこと。首をかしげ、今回トイレが詰まった原因が解らないといった様子。僕、便器を取り外す。「大根のヘタ」でした・・・。「あのぉ~、奥様が大根を料理している時とか、注意してくださいね」と僕。先日、まぁ~た、その老夫婦から、トイレ詰まりの修繕依頼!ご主人曰く、大根!料理!注意!完璧!何で?何で詰まるの?と食い気味でおっしゃる。僕、便器を取り外す。「人参のヘタ、二個」でした・・・。②最近のリフォーム用のリモデル便器には、大規模な床の張替え工事を省略する為、配管アジャスターという、既設の排水管の立ち上げ位置をそのまま利用して、便器の裏で配管の立ち上げ位置を変えられる部材を使うことが多いです。リフォーム工事のコストを大幅に削減できるメリットがあります。ただし、そのアジャスターの配管径が若干楕円形で細いので、大量の汚物や紙を一度に流すと詰まりやすいというデメリットもあるんですね。2階のトイレか詰まったというお客様のところに訪問。リモデル便器が設置してありました。便器を取り外してみると、アジャスターの中に、カッチカチの大便がきっちり詰まっていました。ご主人曰く、年頃の娘さんが、重度の便秘で云々・・・。「大量の時は、まめに流してください、とお伝えください」と僕。その後、やはり2度、同じ原因でトイレが詰まって、便器を取り外して・・・。ご主人曰く、「修繕続きで、お金がかかってしょうがない!参ったね、水道屋さん!」いや!こっちが参ったっつーの!一度と言わず、二度三度!毎回毎回カッチカチの大便!テメーの娘のカッチカチ、手で掴んで処理する身になれっつーの!オヤジ!娘に、ちょいちょいコーラック飲ませろっつーの!つって、喉まで出かけて、まあ、言えるはずもなく、「え~、何度もご説明されていただいたように、まめに流していただくしかないかと・・はは。」なんつって・・・。③一棟に玄関二つ、一階親世帯、二階子世帯という、完全二世帯住宅の、親世帯のトイレが詰まったと修繕依頼。約束の時間にご自宅を訪問すると、え!嘘!依頼してきた親世帯が、何故かご不在。念のため、子世帯の方のインターホンを押すと、嫁が在宅中。ラッキー。「あのぉ~、申し訳ありませんが、お義母さん、どこ行かれたのか、携帯電話で確認していただけませんか?」と僕。その刹那、嫁が当然のような口調で、のたまうことにゃ、「ありえないしぃ。私、隣と関係ないしぃ。」は?・・・え?それっきり・・・。再度、インターホン押しても、出てもくれない。その後、30分ほど待っていると、姑、ご帰宅。「ごめんごめん、コンビニにトイレ行ってたのよ!家のトイレ詰まっちゃってるから!」「いや、でも、二階の子世帯のおトイレ借りれば・・・」「無理無理!あんな嫁!赤の他人だから!」いや、いや、いや・・・。おい、おい、おい・・・。は、は、は・・・。てか!手前ぇーらの、嫁・姑問題なんてこっちは知らねんだバーロー!一棟に二世帯!排水設備は1系統!え?嘘?本当に、あんた達関係ない?!え?マジ?本当に、他人なの?!どう考えても無理あるだろ!発言が!行動が!仲良くやれよぉ~!お願いだからよぉ~!ったく、女っつーのはよぉ~!つって、喉まで出かけて、まあ、言えるはずもなく、「そうでしたかぁ~。いや、丁度、僕も、今さっき到着したところでしてぇ~、はは。」 なんつって、満面の愛想笑いで・・・。巷では、「10年後AIに奪われる仕事」ってのが話題になってるらしいけど、10年後には、水道業界もAIに仕事奪われてるのかな?AIが、凍結で破裂した、築50年ぐらいの戸建ての、ぼろっぼろの水道管の緊急修繕とか、妻が痴呆症の老夫婦の便所の詰まり問題とか、万年便秘の年頃の女の子の汚物処理とか、嫁・姑が不仲の二世帯住宅で、散々待ちぼうけくったりとか、そんな仕事、奪ってくれるなら、是非お願いしてぇーよ。AI、頼むよ!AI、奪ってよ!AI、期待してっからね!この先、人間にマイクロチップが埋め込まれようが、人体半分機械になるような時代がこようが、人間が人体を必要とし、その体をなしているうちは、「飲料と排泄は不可欠」なんじゃないかなぁ。水道屋さんは、10年後も、今と同じように、はいずりまわって仕事してんのかなぁ。にほんブログ村