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家曜日~うちようび~

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2017.12.03
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​前回、僕が「犬のエサをこじゃれたクッキーと間違えて食べた」という記事を書きました。
いやぁ~、早とちりにもほどがあるね。我ながら。人として。
そんじゃあ、今回は僕の妻、U子さんの早とちり話をひとつ。
さぁ~て、妻が早とちりして何の動物のエサを食べたかといいますと、
おっと、違う違う!食べてない!妻はエサ、食べてなーい!


えーと、妻の早とちり話、題して、

「モモちゃん危機一髪!? てか、勝手に殺すな!事件」

子供が出来る前なので、もう10年ぐらい前の話です。
夜の8時ぐらい、僕がまだ会社で残業していると、突然妻からの電話。
「た、た、た、大変っ!パートから帰ったら!モモちゃんが全然動かーん!立ち上がることも出来きーん!
元気がないとか、そういうレベルじゃないでかーん!
病院行くで!一刻も早く帰って来やー!」
な、何だって!そいつは大変だ!ってんで、仕事を早々に切り上げて帰宅。
うちは自家用車1台なので、僕が会社に乗って行っている車が必要だったんですね。
帰宅してドアを開けると、玄関で妻がモモちゃんを抱っこして、準備万端で仁王立ちしている。
「遅い!待ちかねた!」
あら、ホントだ、モモちゃん、確かにぐったりしてる。「立ち上がる力もないって?一度立たせて見せてくれ。」と僕が言うと、
「そんな暇ない!一刻を争う!早く病院へ!」みたいなこと半ベソかきながら言う妻。少々パニック気味。
「わ、分かったよ。じゃ、とりあえずオシッコがしたいので、トイレに行ってくる。」と言うと、
「だ!か!ら!そんな暇ねーっ!」と怒鳴られ、トイレにいく時間も与えてもらえない。けっこー錯乱気味。

兎にも角にも、病院へ急行ってんで、車に乗り込む。運転席に僕、後部座席に妻、モモちゃんは妻の膝の上。
妻はもともと車に弱く、今でもよく車酔いするのだけれど、
特に心配事があったり、考え事をしていたり、運転手が道に迷ったりなど、
気持ちを圧迫される状態にあると、確実に車酔いするんですね。
だからこっちは親切に出発前に「お前、酔い止めの薬飲んだの?」と確認したのにさ、
「だ!か!ら!」
はいはい、そんな暇ないのね、急ぐね。車、ぶーん。

結局、妻、走行して、100メートルぐらいで、
「酔った・・吐きそう」。
​​​​わざとかっ!​
​思わず車中で叫んじゃいましたよ。
1分も走ってねーぞっ!
加速前の助走の、その前の徐行だぞっ!
神かっ!車酔いのっ!
とかなんとか。

車止めよか?家戻ろうか?と言っても、聞かぬ妻。とにかく病院へ急げ!の一点張り。
もぉ~、そっからはね、大変でしたよ。
犬は、瀕死の状態でぐったりしてるし。
妻は、車酔いで、息が荒く、顔面蒼白だし。
僕は、膀胱ぱんぱんだし。

犬が、死ぬか!?

妻が、吐くか!?

夫が、ちびるか!?

三つの時限爆弾を乗せて、
動物病院へ向かう一台の車、
車内の緊迫した空気ったらもぉ~・・・。


次の瞬間、突然、妻が叫んだ。

「く、車止めてっ!モモが息してないっ!」

えっ!!マジ?・・・。
「早く!車止めてよ!」
「いやいや、止めてって簡単に言うけど、今、主要幹線道路の第二車線走ってんだけど。」
「早く!二人でモモを見送ってあげんと!モモ、旅立っちゃうがねっ!」
何言い切ってんだ、何を。
何が、がねっ!、だ?、ったくもう・・・。
仕方なく、主要幹線道路の路肩にハザードランプをつけて停車。
横を10トンダンプやトレーラーがびゅんびゅん走って行く、とんでもない場所で、
僕も後部座席に乗り込み、妻の言う通りに「モモちゃんを送る会」のはじまり。

僕はモモを抱き上げ、モモの顔を耳元によせた。




すー。すー。すー。




・・・寝てるね。

すー。すー。すー。

・・・死んでないね。

すー。すー。すー。

・・・勝手に殺しちゃダメだね。

「だって!いつも、もっとブヒブヒいびきかいて寝るから!」

うん。でも今日は、すー、すー、と寝ているね。何か問題でも?

その後も何かと錯乱気味のことを言うので、
「U子!これ以上ギャーギャー言うと、進路を変えて、先に人間の病院へ連れて行くぞ!」
とか言いながら、運転再開。

渋滞に巻き込まれたりして、結局一時間程かかって、動物病院に到着。
モモにリードをつけて、ピョコっと地面に立たせると、
立つじゃん!ふつーに!
てか、歩くじゃん!ふつーに!
救急の診察なので、裏口にあるインターホンを押して、先生を呼び出す。
電話で妻から、瀕死の状態だと聞かされていた先生。すたこら歩いているモモちゃんを見て、
昔の家電が突然壊れた時みたいに、頭から、白い、細い、けむりが一本・・・。

その時、妻はというと、裏口から少し離れた病院備え付けのごみ箱に、思いっきりゲーしてました。
その姿を、遠くから僕と先生でばっちり目撃してたんですけどね、
「酔っ払いですね、女の。みっともないですね、いい大人が。」
とか言いながら、僕はしっかり他人のフリをして、
「早速ですが、先生、トイレ借してくんさい!」
なんつって、内またで、歩幅短く、院内へ。間に合ったぁ~。

さて、モモちゃんの診察結果は、
「たぶん~、熱中症になりかけたんじゃ、ないかなぁ~、と、思われます。」
ということでした。
先生といろいろお話している最中に、診察室の扉が開いて、突然、真っ青な顔をした妻が入ってきたもんだから、
獣医の先生、さっきの女酔っ払いの突然の乱入に、
びくっ!​​
ってなってました。ははは。

ああ。うちの妻です。
と僕が平然と言うと、獣医の先生、
「お前ら一体何なの?急患の犬は、全然急患じゃないし!嫁はゲロ吐いてるし、
夫は小便チビリだし!お願い!お願いだから一刻も早く消え失せて!」
みたいな表情剥きだしになったので、Q輔一家そそくさと退散。


結局、モモちゃんの不調の原因は、はっきりせぬままでした。
でも、この時は、たまたま妻の早とちりでしたけど、
うちの妻が、いつもこんな感じで、愛犬の健康管理に異常なほど迅速に行動してきたが故に、
多くの早とちりに紛れて、悪性腫瘍など、さまざまな病気を早期発見してきたのも確かなんすよね。
モモちゃんが、現在15歳という長寿であるのが、何よりその証なんすよね。

だから妻よ!

恥じることはないぞ!

胸をはれ!

これからも、胸をはって、早とちれ!

胸をはって、ゲロだ!

そんでもって、また獣医の先生を、

びくっ!​​

とさせとくれぃ!

あの顔がまた見たいぞぃ!

ははは。


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最終更新日  2018.12.18 17:50:38
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