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家曜日~うちようび~

家曜日~うちようび~

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2018.11.04
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四年前の母の葬儀で、僕は喪主をしました。
父はまだ健在ですが、両親は僕が若い頃離婚していますので、長男の僕が喪主となった訳です。
母は、ある日突然、交通事故で亡くなりました。
通夜式の朝、車を運転していた加害者の人が、ご夫婦で葬儀場の僕のところに謝罪に来ました。
僕と母の棺桶の前で土下座をしての謝罪でした。僕はメソメソ泣いていましたが、相手は号泣していました。
この人達も、これから大変だなぁ・・・と、ごく普通に思いました。
「あの、お金がありません、どうか葬儀代を下さい。」と僕は言いました。
「金額と振り込み先を教えて下さい。即振り込みます。」と相手は言いました。
お金が用立て出来なかった訳ではないのです。決して用立て出来なかった訳ではないのですが、
・・・まあ、僕の、腹いせです。
そこから僕は葬儀屋と大慌てで葬式の総予算をはじき出しました。
僕としては、家族葬で十分だったのですが、マスコミにも流れた結構な事故で、
すでにご近所や知人に母の死を知っている人が沢山いたし、
義理やしがらみもあって、なかなか自分勝手に家族葬という訳にもいかず、
いわゆる一般的な葬儀を執り行うことにしました。それでも、極力、質素に行いました。
まわりから、どうせ相手からお金貰うんだから、もう少し豪華にしたら?とやたら助言されましたが。
馬鹿言っちゃいかんよ。この葬儀は加害者のお金で執り行うんだぞ。加害者への最低限の仁義ってもんがあるだろう。
必要最小限の葬儀で結構。飯も酒も各自自費、精進落しは無し、式が終わったら即解散。とした。
んで、相手に葬式の総額を伝えると、即、入金があった。
恐らく保険の一時金として保険屋から入金があるのだろうと思っていたのだが、個人の口座からの振り込みだった。
僕も、約束通り、即、領収証を郵送した。
という訳で、僕の母の葬儀は、さしあたって加害者の自費で滞りなく執り行いました。
(もちろん、最終的には示談金の中で相殺がありました。)


妻の手製のドライフラワー。なんだか数が増えてきたな。

父も母も、生きているうちに、自分の墓を自分で準備するようなことはしていない。
したがって、うちには、お墓がない。
したがって、母の骨は、四年経った今も、まだ納骨していません。
宗教的、心霊的なことで、不吉だ何だと助言をいただくことがありますが・・・。
大丈夫!心配ご無用!僕の人生、超上々!すこぶる健康!申し分ないほど幸せいっぱいだから!
実は、母の骨は、別れた夫、父にあずけました。僕の判断です。
今流行りの「手元供養」ってやつをさせています。母へのつぐないです。死ぬまで供養しなさい。
噂では、毎日線香を立てて拝んでいるらしい。今更悔やんでいるらしい。悲しんでいるらしい。
ったく、大バカ者です。・・・愛は生きているうちに。
でさ。これまた、ちょいちょいまわりから、示談金で母のお墓を買ったら?と要らぬ助言をよく聞く。
だから、違うっつーの!筋が通らんだろっつーの!
そんなことしたら、加害者に足向けて眠れなくなるっつーの!
買うなら、僕が自力で稼いだお金で買います。そのお金とあのお金は、まったく別です。

父が野垂れ死んだら、僕のお父さんとお母さんの骨は、僕が同じお墓に納骨します。

現世では失敗しちゃったけれど、あいつらソウルメイトだから、最後は一緒にしてやるつもり。


階段の踊り場にある、長女の絵。

さて、今回の「家曜日」、何だか漆黒の闇のように暗い話から始まっちゃいましたが、

いやね、先日社員の身内に不幸があったので、会社の「慶弔規定」を確認していたんですけどね。

んで、まあ、改めていろいろ思うことがあってね。

ちゅう訳で、今回は、冠婚葬祭についての話をします。

うちの会社の「慶弔規定」は、実は約10年前に僕が作成し、取りまとめたものなのです。
それまでも規定らしきものはあったものの、あまりに漠然としていたし、記録もまともに取っていなかったので、
あれ、社員の祖父の葬儀って、参列してたっけ?
てか、社員の奥さんの祖父母の葬儀、香典出さにゃならんの?
香典返しはもらう?もらわない? 供花はどうする?
んん、結婚祝いっていくら包んでたっけ? 出産祝いは? 新築祝いは?
なんつって、その都度、漏れなくオロオロする始末。

当時それを見かねた社長が、社内の「慶弔規定」を取りまとめるよう、直々にこの僕に命令してきましたよ。
いやぁ、驚いたねぇ~。ぼ、ぼ、ぼ、僕っすかぁ~?って感じっすわ。まったく、人選ミス、はなはだしいっての。
幼き頃から僕の家庭は、行事も法事も皆無だったし、34歳で、まだ墓参りの経験すらなかったし、
友人の結婚式も「式が荒れる」という理由で呼ばれたことが一度もないし、てか、卒業式や成人式も面倒臭いから出てないし、
何より、その機会がないので、当時はネクタイすら自分でまともに締められなかった。ははは。
社長、気がふれたか? と正直思った。
でもまあ、「んなもん出来るか!このヘッポコヤロー!」なんつって、言える相手では毛頭ないので、
その日から、書物やらインターネットやらで、夜な夜な猛勉強して、
古からのしきたり習わしと、現代の相場などを織り交ぜて、なんとか作成しましたよ。
おかげ様で、今じゃすっかり冠婚葬祭に詳しい人間になりましたわ。だっはっはっー。

んで、流れとして、作成した慶弔規定の案を、社長と社員に提出して、同意を得る訳だけれど、
そこで、何点か反対意見があってね。

例えば、「社員一同、よほどの遠方でない限り葬儀に参列すること」としたのは、
一親等のうち、本人、本人の配偶者、本人の父母、本人の子、までとし、
本人の子の配偶者、本人の配偶者の父母は含まないこととした。切りがないからだ。
この意見に、嫁の実家がお金持ちの社員から、反対意見があった。まあ、押し通しちゃったけど。

次に「本人の祖父母の葬儀には、社員一同で香典を包む。ただし本人の配偶者の祖父母は含まない」として、
祖父母の場合、社員から一律300円を集めて香典とする。香典の中に「香典返し無用」の一文を記入する。
社長は供花を出すが、それは代表取締役名義である。社員一同有志の供花は負担になるので出さない。とした。
これについても、祖父母が地元の名士であるような社員から異論があった。
「兄弟、親戚の会社から花が出ちゃうと、自分の立場がない」と言う。まあ、これについてもしら~っと押し通しちゃいました。

あと、「その都度、現金を集金するのが手間なので、毎月の給料から『慶弔費』として一定の金額を徴収して欲しい。」
という意見が、多くの社員からあった。
これについて、僕は真っ向から反対した。
そういう事なら今後は僕が集金します。百人、二百人いる会社じゃあるまいし、僕は微塵も手間じゃない。
その都度、必要な時に、必要な額を、有志で集めればよい。絶対に無駄に徴収はせぬ。
それよりも僕が危惧するのは、ある社員に、お祝い事や不幸があった際、
他の社員の知らぬ間に、事務的に、社員一同の有志の現金が包まれ、それが手渡されることだ。
「先日はありがとうございました」「え?何のこと?」「え?祖父の葬儀で香典を・・・。」
「へ~そうなんだ、私、香典出したんだぁ~。」みたいな無礼がまかり通る社風にしてはならぬ。
みたいなことを言ったと思う。
あの時の社員一同の「めんどくせーなーコイツ」って顔が、今でも忘れられません。たはははは。

結局、それも押し通しちゃいましたね。

先ずは、やってみましょう。

やって駄目なら、改善すればよい。

つってね。

んで、約10年、規定どおり、何事もなく。

ところが、さ。

先日、ある社員のお父様が亡くなられたので、
慶弔規定どおり、社員一同で香典を包み、社員一同集まって葬儀に参列する準備をしていたのだけれど、
その際、その社員から「どうしても社員一同の花を出して欲しい、ほんの気持ちでよいので、お願いできませんか?」と申し出があった。
うーん、その家庭ごとの諸事情があるのは分るけどねぇ~、言うかねぇ~そういう事・・・。
結局、僕ともう一人の部長と話し合って、他の社員にも了承を得た上で、
特例として「社員一同」の花を、僕ともう一人の部長のお金で出すことにしました。うーーーん。

あとさ、葬儀の時、年配の社員が、香典返しを手に持って歩いていたので、僕はびっくりして、
「少額の香典につき、香典返しは貰わない約束でしょう? さあ、早く返してきて!」と言うと、
「いや、社員一同とは別に、俺、香典包んだから。家出る時、嫁が気持ちだから持ってけって、うるせーからさ」


・・・僕は、愕然としてしまった。

・・・まったく、どいつもこいつも。

・・・もー知らん!勝手にせい!

と、喉まで出かけて、まあ、言える筈もなく。


わが社の「慶弔規定」、もう一度見直す時期かも知れないなあ・・・。


マリメッコのファブリックパネル。

ブッタ、空海、親鸞、日蓮、天照大御神、八百万の神々、キリスト、アラーの神、はたまた新興宗教の神々に至るまで、

故人への弔いの気持ち、遺族を気遣う気持ちは、葬儀の規模や香典の額で決まるのであーる!

なんてことを言い放った宗教家はおそらくいないであろう。

気持ち、気持ち、と簡単に言うが、本当に故人や遺族のことを思うのであれば、

香典なんか包むより、朝礼時に社員一同で黙祷をささげた方が、

よっぽど故人や遺族を思う気持ちになれるんちゃうんか!それで十分ちゃうんか!

と、僕なんかは、正直思う。

でもまあ、我々日本人は、各個人が信仰する宗教とは別のところで、

国民皆「冠婚葬祭教の信者」とでも言うべき程、盲目的に冠婚葬祭を重んじている訳で。

また、僕は、日本人のそういう国民性が、決して嫌いではなかったりする訳で。

うーん、上手く言えませんが、僕的には、冠婚葬祭って「足並みを揃える」ことだと思うのです。

出過ぎては駄目、かと言って引っ込み過ぎても駄目、一列になって、足並みを乱さない。

仲の良い同僚の結婚祝いだからといって、法外な祝儀を包まれては、まわりは大変迷惑なのです。

故人や遺族への気持ちは分かりますが、勝手に社員一同と個人、両方で香典出されたら、それをしなかった人たちは、大変迷惑するのです。

分かってよ、みんな。

頼むよ、みんな。

足並み揃えてね、みんな。


あ、こんなところにも、乾いた花。

とある日、何気にオフィスに入ると、二人の社員が僕のことを噂していました。

僕が後ろにいることに、まったく気が付いていないらしい。

「今度、同僚の出産祝いについて、部長に相談てみようかなぁ」

「どうかなぁ、あの人、偏屈だからねえ、逆に話がこじれるんじゃねぇ?」

「だよねえ、めんどくせー、何しろ偏屈だからねぇ」

僕は、二人に気が付かれないように、そ~~~っとオフィスを出ました。


なんだか、泣けてきました。


ああ、中間管理職はつらいよ。


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最終更新日  2019.12.07 10:44:36
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