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海洋冒険小説の家

海洋冒険小説の家

(4)助左衛門はいい男に描かれて・・

    (4)

 「光と影の中に打毬の騎手たちが描かれてるんやけど、あんな絵を見たのは初めてや。顔が本物そっくりで生きているようやった。安土のお城で見た狩野一門の絵は凄いと思ったけど、エウロペの絵もなんかちょっと違っていて、またいいもんでんなあ」
 「ふ~ん、そんなに良い出来なのか。それではひとつ見てみよう。こっちに持ってきてくれるか」
 「はい」
 瀧がすぐ絵を持ってきた。縦が二尺七寸、横が三尺と三寸ほどの大きさである。今風に言えば、まあ40号位であろうか。助左衛門の赤の南蛮服を中心に打毬のメンバーが描かれている。助左衛門は自分の横顔が少し誇張気味に、いい男に描かれているのに恥ずかしい思いがした。仲間たちは、右を向き、あるいは天を仰ぎ、同じ方向を向いているものはいない。
 「どうや、なんか恥ずかしいな」
 「まあ、ええやんか、悪く描かれている訳でなし、みんな、ええように描かれてんのやから」
 瀧はちゃんと気付いていた。
 「それから、エンリコ・ガブリエーリはんから、石像がでけたゆうてきましたんやけど、ほんまに大小路町の広場に置いてよろしいのやろか」
 「うーん、それもあるなあ」
 とにかく、なんとかせんとあかん。あちこち、手配することを思いめぐらせつつ、飯を食べた。
                 (続く)



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