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福内鬼外(月日が往く)

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縄文人のミイラが長野県で見つかった!
密室状態の洞窟。しかも明らかに何者かに殺された状態で。
【サイモン】と名づけれらたミイラは、背中に石器を突き立てられ、右手はなかった。
サイモンは何故殺されたのか?そもそもどこから来たのだろうか?


柄刀一さんの、ミステリーです(密室とあればわかりますね)
3000年前の殺人と現代の騒動、そして事件。

まず、【縄文人のミイラを発見】というだけで大ニュースである。
調査、分析、喧喧囂囂とした論戦。
権威主義、文献主義。物質分析。社会生態学、形質人類学。
例えば【抜歯】ひとつをとっても、
死後の世界まで持ち込む自村出自と出村出自の分離意識、が分かるそうだ。その他もろもろ。
たった一つの発見で、それまでの全てが覆される可能性がある。
現在、学説の大勢がどうなっているのかは知らないけれど、ロマンがあります。

恐竜 → 化石 → 考古学 → 歴史
というように私の興味の対象は移っていきました(小さい頃の話)
恐竜展なんてものがあると必ず観に行っていましたし、
シュリーマンの伝記を読んで興奮したことも覚えています。
でも大学の考古学の授業は何も覚えてないんだよなぁ(笑)

話を内容に戻して、と。

一見対極にある未来へのまなざし。
仮想現実空間をぶらぶらと散策できる会員制サイト【MAHOROBA】。
製作者である天才システムエンジニアは、仮想をリアルにしようとする。
「猿人時代に端を発する帰属意識から一歩も脱却していないじゃないか」
「五感すべてで現実以外の現実を体感することになる」


この辺りまでは、興味ある分野だし面白い。
だけどミステリーの部分がどうも。
主人公が謎解きに向かうプロセスとか、取り組み方、進め方が独りよがりな気がする。
どうも馴染みにくかった。設定が中途半端な人物も多くて。
トリックはこれまで見たことがないようなもので、良く出来てるなぁと思うだけに残念。
(これは実現可能ですかね?もし出来るなら凄いと思う)

もっともっと面白く出来そうだったのに!(何様でしょうか、笑)
デビュー作とのことなので、次の作品に期待です。

『3000年の密室』 柄刀一 光文社文庫(2002年3月初版第1刷)





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最終更新日  2005年01月18日 23時33分18秒
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