カテゴリ:社会問題
それは驚くべき映像だった。
そこでは、ままならない身体を必死に動かしてリハビリに励む長嶋茂雄の姿があった。 そして、それはこれまでなら絶対にあり得ない映像でもあった。 長嶋茂雄 誰もが知る、日本で唯一無二のスーパースターである。 彼は誰もが打てない難しい球を涼しい顔でホームランし、誰も捕り得ない難しい打球を鮮やかに捌き、時には派手なパフォーマンスで盛り上げ、観客を皆虜にした。 重要な試合であればある程にその集中力は研ぎ澄まされ、天皇陛下の天覧試合でのサヨナラホームランなど、誰もが夢見る活躍を現実のものにした長嶋茂雄は「ミスター」と呼ばれ、名実ともにスーパースターになった。 常にファンの望んでいる事を斟酌し、ファンのためにプレーをし続けた長嶋茂雄はエンターテイナーでもあった。 今のプロ野球界の隆盛は、長嶋茂雄がスーパースターになったからこそもたらされたものに他ならない。 その彼は、汗水流して努力する姿を一切見せなかった。 傍目にはまともに練習もせず、試合になると大活躍… それこそが、スーパースターとしての矜持だったように思えてならない。 しかしながら、長嶋に近しい人は口をそろえて言う。 「ミスターほど練習する人はいない」と。 今回見た映像にも、スランプから脱出するために必死に打撃練習をする長嶋の姿があった。 この映像もあり得なかったが… 数年前に脳梗塞に倒れた後、リハビリを経て公式の場所に姿を現した長嶋茂雄が、その辛く厳しいリハビリの姿を公にすることなどあり得ない、と思っていた。 しかし、現実にその姿をみて、親しい人々はこう言っていた。 「何かメッセージを発したいのだろう」 震災からの復興をめざす宮古市に、鉢植えの花とともに届いた一枚の色紙。 慣れない左手で書いた「がんばれ宮古」の文字は、拙いながらも力強さを伴い、文字自体から長嶋茂雄が語りかけてくるようであった。 震災からの復興 病気からのリハビリ ともに困難から立ち上がることは多くの被災者の気持ちとシンクロし、それが大きな力になっている。 震災からの復興や原発事故からの復旧など、まだまだ進まない部分は多い。 しかし、かつてファンとともにあった長嶋茂雄は、今被災者のみならず震災から立ち上がろうとする日本人全てとともにいるのである。 かつて長嶋茂雄は言った。 「野球は人生そのものだ。野球が勝負事である以上勝たなければならない。死ぬまで闘いですね」 今も戦い続けている長嶋茂雄こそスーパースターであり、その生き様は日本人の心のよりどころであり続けている。 震災から二年。 忘れてはならない日に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/03/11 10:21:08 PM
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