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物 語2

龍笛花  『陰陽師』    蜜虫アイコン

俺は・・・・ お前だけは失いたくないのだ・・


物  語
(晴明サマを主体に書いてます。途中飛んでる場面ありかも)

文中に数々の[呪(しゅ)]が登場します。呪は赤文字で記載しています。
また、私の陰陽師仲間の“あめみこ様”がHPで呪講座のコンテンツをお持ちです。
そちらにジャンプ出来るようにいたしましたので、是非ご覧になって下さい。

〔あめみこ様HP 陰陽師を百倍楽しめる講座【呪(しゅ)】へジャンプ〕



---物 語1の続き---

   〔早良親王 復活!〕
次の朝、右大臣の元方(祐姫の父)が自らの命を絶った。
「黒幕は道尊」と書かれた遺書が見つかり、内裏は厳戒態勢に入る。

晴明にアジトを焼き尽くされた道尊は髪を振り乱し、ボロボロになって将軍塚にやって来た。
そして、封印されていた塚の入り口を開け、早良親王を復活させようと試みる。
収められた剣を手に坂上田村麻呂の銅像を打ち砕こうとしたが、呪力が強く跳ね返されてしまいました。
次に道尊が取った行動は自分の血を剣にかけ、力を増そうというもの。
かくして、再度挑戦した時に銅像は粉々に砕けたのでした。
ついに封印は解かれ、早良親王が復活!その魂は人間の道尊と一体化しました。
早良親王が乗り移った道尊は鳥辺野へ行き、恨みで行き倒れになった者たちの魂を都目掛けて送り続けます。都はいっきに闇に包まれたのです。

武装した博雅は晴明邸を訪ね、晴明に助けを求めました。
しかし、晴明は都の行く末に興味が無く、立とうとしません。
そこへ、将軍塚の方から怪しい闇が迫って来ました。
道尊が将軍塚を壊し、人間界と闇の世界の全てを掌握しようとしている事に気付きます。
「それでも、立たぬのか!」と博雅に言われ、「お前の為にゆこう」と答える晴明。
晴明は博雅に守りの五芒星を渡し、将軍塚へと急ぎました。


   〔博雅 死す!〕
博雅は帝の警護に付くため内裏へと戻りました。
道尊の放った恨みの魂は検非違使に次々と取り憑き、同士討ちが始まりました。
そんな様子を道尊は朱雀門の上から高笑いをして眺めています。
道尊:「あの者が作った都など闇にしてくれるわ!」

将軍塚に着いた晴明は時既に遅い事が分かり、道尊が落としていった剣を拾い上げました。
その時、青音が「月の傍らで二つの星が一つになったのは、晴明様と博雅様が出会った事を示されたのでございます。その星のひとつを消せば・・・」と言いました。
そこで、晴明は道尊が博雅の命を狙った意味が分かったのです。
急ぎ都に帰らねば、博雅の命が危ない事も分かりました。
都へと急ぐ、晴明、蜜虫、青音の三人。

内裏では陰陽師達が悪霊退散の祈祷を行っていました。
そこへ壁を突き抜けて道尊が入って来た!驚く、道尊の部下達。
その内、長正がこのような事を止めるように道尊に哀願します。
しかし、道尊は「案ずるな」と言いながら、長正の精気を吸い取り殺害!
逃げ出す、同僚&検非違使たち。

そこに現れたのが博雅。
それを見た道尊は「探す手間が省けた。祐姫の元に行かせてしんぜよう」と言う。
博雅は祐姫を死に追いやったのが道尊だと知ると、涙を流し斬り付けにかかりました。
しかし、道尊は余裕で剣をかわして行きます。
道尊の腹に剣が突き刺さりましたか、道尊は「効きませぬなぁ」と言って、反対に博雅を吹っ飛ばしてしまいした。
博雅は懐から、晴明に貰った五芒星を出し、矢の先に突き刺しました。
そして、道尊目掛けて矢を解き放つと! 
グサリッ! 道尊の眉間に命中。 博雅が喜んだのも束の間。
道尊はその矢をそのまま頭の中に入れ、口から取り出したのです。
驚愕する博雅。 「遊びはもうやめじゃ」と言って道尊は矢を博雅目掛けて吹き放ちました。
矢は博雅の胸に刺さり、「晴明」と呟きながらその場に倒れたのです。
道尊は不敵な笑いを発しながら、帝を探しに出てゆきました。

ようやく晴明達は内裏へと着きましたが、そこには矢を受けて倒れている博雅の姿が!
「博雅!」と叫びながら駆け寄る晴明。素早く博雅を抱きかかえます。
「死ぬな… 死ぬな!博雅!我らは逢うたばかりではないか!これからではないか!…俺は…俺は、お前だけは失いたくないのだ…」涙を流す晴明。
博雅が微かに目を開け「晴明。お前でも泣くことがあるのか…」と言いました。
とっさに目を逸らす晴明。その時、博雅の命が消えました。
「博雅!目を開けよ!」と何度も叫ぶ晴明サマ。
「すまぬ。俺に出会いさえしなければ・・・」という晴明に「決して出逢った事を悔いてはなりませぬ。ふたりが出会わぬのはもっと哀しく辛き事。そして、都も守られませぬ。」と青音が言いました。
しかし、晴明は守り人の一人が死んだので、同じ事だろうと言った。
そこで青音は晴明に懇願したのです。泰山府君の祭りを行って、自分の命を博雅に与えて欲しいと・・・
そうしたら、不死の定めから解き放たれるのだと。


   〔泰山府君祭〕
青音と博雅が並んで寝ています。
晴明は青音の決心が固い事を知ると、早速「謹請 泰山府君 甦生博雅 急々如律令(きんぜい たいざんふくん そせいはくが きゅうきゅうりょりつりょう)」と唱え、泰山府君祭を行いました。
そして、青音の命は博雅へと転送されたのです。


   〔早良親王と青音〕
道尊は検非違使達を吹き飛ばしながら帝を探しています。
そこへ「待たれよ!」と声がかかりました。振り向くとそこに甦生した博雅が立っていました。
「まだ生きておったか!」と襲おうとしたら今度は晴明が「泰山府君の祭を行った」と声を掛けました。
道尊には何故晴明が博雅の命を救ったのか理解出来ないでいた。
そして晴明に「そなたには、わからぬ」と言われてしまうのです。
道尊は晴明を襲おうとしますが後から鈴の音が聞こえてきて、フリーズ。
振り向いて「その、鈴の音」と言った時は早良親王の声に。。。
道尊は早良親王を引っ込めようととするが、鈴の音に反応して早良親王が前面に出て来る。
一方、鈴を鳴らしていた博雅の声は青音ものへと変わっていた。
この鈴は早良親王が青音に贈ったものでした。
青音は早良親王に150年待っていた事、早良親王に桓武天皇より謝罪の言伝があると言いました。
早良親王は今更謝られても恨みは消えないと激しく拒絶します。
青音は「民を苦しめても良いのか。それより私と天上に行こう」と誘います。
そこへ道尊が現れ、親王様と共に生きるのは自分だと主張します。
しかし、早良親王は恨む事に疲れ、これからは青音と生きることを決めたのです。
そのとたん、道尊の体から早良親王が抜け、博雅からは青音が抜けてふたりは150年の時を経て、一緒になり天に昇って行きました。

それを見て「青音殿。そうであったか…」と晴明が呟きました。
それと共に闇で覆われていた都の空が明るくなっていったのです。


   〔究極の結界〕
早良親王が身から抜けた道尊はその場に倒れ気を失っていた。
気が付いた道尊は早良親王の悪態を付き、立ち上がる。
晴明が近寄り、都から立ち去るように言う。今の道尊では晴明に勝てないからだ。
道尊の眉間の傷が脈打つ。博雅の放った矢が通った傷口である。矢と同時に晴明の呪符も道尊の体に入っている。
道尊はフッと笑い、外へ出ようと歩みだす。晴明がすかさず、道尊の企みに気付き「逃げよ!蜜虫!」と叫ぶ。
蜜虫は逃げたが、持っていた剣を道尊に奪われてしまった。
道尊はその剣で晴明に斬りかかる。
しかし、晴明は次々と剣を交わして行く。「どこまでも、こしゃくなヤツよのぅ」と道尊が吐き捨てる。
外へ出たふたりの激しいバトルが始まった。晴明が「道尊。止めよ!」と言っても聞くような道尊ではない。
次々に剣ろ繰り出し、晴明を斬ろうとする。
晴明は庭に駆け出した。そして、「青龍避万兵(せいりゅうひばんぺい)」と唱えた。
道尊は「新しき都を共に造ろうぞ」と晴明に言うが「どのような都であれ、興味はない」と切り返す。
また、道尊の攻撃が始まった。今度は空中に飛んで逃げる晴明。
着地と同時に「白虎避不祥(びゃっこひふしょう)」と唱える。
「都に興味がないのなら、何ゆえ都を守ろうとする?」と尋ねながら道尊はまた、晴明に襲いかかる。
道尊の剣を際どいところで交わしながら晴明は「朱雀避口舌(すざくひこうぜつ)」と呪を唱えた。しかし、そのまま逃げようとした時、後から道尊に足元をすくわれる。
倒れこむ晴明。すかさず道尊が駆け寄り晴明の喉元に剣を突きつける。
道尊は晴明の体を後ろから抱きかかえるようにしながら「そなたもワシの思いと同じな筈。人の世など、どうなろうと構わぬと・・・」と言った。
しかし、晴明は「人の世もなかなか捨てたものではありませぬ。」と答えた。
道尊は晴明の顎をクイッと上に上げながら「惜しい男よのぉ」と呟く。
それと同時に晴明も道尊からバッと離れ、再度対峙。
「ならば晴明!ワシかオヌシか。残るはただひとりよのぉ」と道尊は益々本気モードに。
晴明は逃げながら次の呪を唱えた。「玄武避万鬼(げんぶひばんき)」
道尊も本気だが、晴明も本気だ。庭の中央で道尊の剣を交わした時に倒れ、最後の呪を唱えた「黄龍伏魔(こうりゅうふくま)」
道尊は倒れた晴明を斬ろうとするが、蝶になった蜜虫が道尊の邪魔をする。「ええい!邪魔じゃぁー!」 バッサリと斬られる蜜虫。
晴明は「蜜虫・・」と呟き、立ち上がって「オン アミリティ ウンアタキャラヤ ビシギョウ ソワカ」と何度も唱えながら道尊に近づいて行った。
道尊は目の前に来た晴明に剣をなぎ払うのでした。道尊に斬られ、蜜虫の上に倒れ込む晴明。
後では「晴明・・」と博雅の悲痛な声が聴こえる。
道尊は高笑いをし、「とどめじゃ!」と言って晴明の背に剣を突き刺したが、その瞬間、晴明の体は人形へと変化していた。
剣は人形を突き刺したまま、全く抜けなくなってしまった。
そんな道尊の周りには先程、晴明が呪を張った結界のそれぞれに晴明が立ち、「オン アミリティ ウンアタキャラヤ ビシギョウ ソワカ」と繰り返し唱えている。
道尊は五芒星の結界に封じ込められ、剣も抜けず、晴明の唱える呪によって、力が出せないでいた。
そして、額の五芒星が道尊を苦しめ、懲らしめる。
呪を解く晴明。道尊がフッと見ると、晴明は正面の一人だけになっていた。道尊は「都の守り人のぉ・・。なかなか面白き世であったわ。あとは晴明。そなたの生き様、じっくりと見定めてくれるわ」と言って、剣に首をあて、自害。
道尊の体の辺りから、蜜虫が宙を舞う。

   〔よい漢(をとこ)〕
博雅が牛車に揺られ、晴明と会話している。「お前はいくつなのだ」と晴明に聞く博雅。
晴明邸の濡れ縁で酒を呑んでいるふたり。「それでお前はいくつだと思う?」と博雅に尋ねる晴明。
「分からぬから聞いておる」と博雅が言っても、笑うばかりの晴明。
「もうよい。お前がいくつであってもかまわぬ。お前はお前だ。」と博雅は諦めた。
そして、「晴明。俺は覚えているぞ」と改めて博雅が言った。
晴明はバツの悪そうな顔になり、「俺は泣いてなぞ、おらん」と盃は置いた。
博雅:「いや、泣いた」 晴明:「泣いておらん」
博雅:「蜜虫。お前も知っておろう」 晴明:「博雅~」
笑い合う三人。
博雅:「蝶に戻してはならぬぞ」 晴明:「戻さぬ」
再び笑う三人。
そして、博雅がしみじみと言います。「なぁ、晴明。人は心ひとつで鬼にも仏にもなるものだなぁ」
晴明は「お前は本当によい漢だ」と感心したように言いました。
蜜虫も「よい漢だ」と博雅に言います。
すると博雅は「お前もな」と晴明に言いました。
楽しそうに笑う三人。

---おしまい---



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