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2005/01/14
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行って来ましたよ。遥々、岐阜へ。
会場入りするまでの私の胸中や状況より、みなさんは本題が知りたいとお思いでしょうから、そのプロローグ部分は明日の日記にでも書かせてもらいますね。




「野村萬斎の芸能クロスオーバー」
~野村萬斎が語り、演じる「伝統と芸能」~

プログラム
  ★ 映像 「殿上闇討(てんじょうやみうち)」
  ★ 対談 「伝統と現代」
  ★ 実演 「平家物語 巻十二 壇ノ浦合戦・能登守最後」を語る


まず、舞台に設置されているスクリーンに「にほんごであそぼ」で、お正月に放送された「末廣がり」が流れる。
鶏の仕草に会場でチラホラと笑いが起こる。
大きな画面で見られて満足、満足。o(*^▽^*)o
それが終わると、能楽プロデューサーで演出家の笠井賢一さんが登場され、今日の講座の内容などをお話されました。
そして、いよいよ萬斎さんの登場!

ルビコンさんが私の分のお席も取って下さって、私達は左端の3列目に座っていました。
萬斎さんはその左側の袖から登場され、ドアが開いた時に少しお姿見え、萬斎さんはお着物をお召しになってた。
「わぁ~、着物やぁ~」と思わず呟く。
着物の色は紺色の薄い、、、あるいは、鼠色が青みかかったと言ったらいいのか。
そのような色に見えました。証明の関係でそう見えただけで、本当は違う色なのかもしれないですけどね。
袴は薄い生成(?)のような感じかな~。(ものすご~く、記憶が怪しいわぁ)
後は白足袋に黒い草履。
目の前を軽く会釈をしながら、萬斎さんが通り過ぎていく。
オーラがあるなぁ~。

そして、舞台の右側に設置されたお席に着席。
笠井先生が「華のある人やオーラのある人って言うのは、その人が登場しただけでその場の空気が変わると言いますが、今、萬斎さんが登場された時もそれを感じましたねぇ。生まれ持ってのものなのか・・・」と仰いました。
私もそれを感じました。会場の空気がピンッと張り詰めたものに変わる。

お二人のトークが少しあって、2002年10月に公演された「平家物語の夕べ」での萬斎さんの「殿上闇討」の映像を見せていただきました。
羽織り袴姿の萬斎さんが机を前に椅子に座って語りを始め、その合い間合い間に武官束帯姿の萬斎さんが宮中に参内している映像が重なります。
この「殿上闇討」という話は、平清盛の父、忠盛が功績により昇殿を許され、それをねたむ殿上人が忠盛を闇討ちすると言う計画を立てました。
忠盛はそれを漏れ聞いて、回避しようと画策します。
参内の時に大鞘巻(太刀ですね)を、ほの暗い灯明の下で抜き取り、自分の鬢に当てます。
それは氷のように冷たく光り、殿上人は目を見張る。
また、忠盛の郎党(従者)が武装して庭に侵入しているが、咎めても出て来ない。
そうこうしている内に、闇討ちの機会を逸する。

忠盛は、一度は回避したものの、舞を舞っている時に「伊勢瓶子(へいじ)は酢甕(すがめ)なり」とはやしたてられる。
忠盛は“伊勢平氏”で目は“すが目”だったからそれにかけてからかわれた訳です。
そして、殿上人達は忠盛が太刀帯びである事を鳥羽院に訴えましたが、検めてみるとそれは金塗りの木刀であり、郎党の潜入は忠盛の預かり知らぬ事と口上すると、返って上皇のお褒めを受けて大手を振って帰ったという話です。

この辺りから公家から武家へ、古代から中世へと時代が移っていったんですね。

萬斎さんの語りの技法。厳しい場面、命がけのシーンは眼光するどく、口調もピリピリ。
と思えば、舞いの場面などは楽しそうな、、、えーーとね。
軽やかな表情と語り方に変わる。まさしく七色の声って言う感じでしょうか。
時折入る、束帯姿の萬斎さんはそれはそれは、陰陽師ファン。平安時代ファンの私にとれば、生唾ゴックンなシーンであります。
長い廊下をしずしずと、ねたみそねみを受けながら歩くその姿。
それだけでも、その場の宮中の雰囲気がよ~く出ていました。
その撮影は「陰陽師」の撮影でも使われた、岩手県江刺:藤原の郷で撮られたそうです。

長くなりそうな日記だなぁ。ふうぅ~。ε-(´・`)




それが終わったら、笠井先生と萬斎さんの対談。
まずは、萬斎さんの活動スタイルや狂言師としてのこれからや、後進の指導のお話などがありました。
狂言サイボーグ。プログラミング。
何度も聞いた言葉が飛び出しましたが、じかに聞くとまた、「なるほどな~」って思うから不思議です。
いちいち、「うんうん」と頷いている私でした。

それで、後進の指導について、最近の若い人は「中間音」が出せないと言われていました。
「中間音」というのは、決まっていない音っていうか、説明するのは難しいけれど、エレキギターの「ギュイ~~ン」って弦を滑らすと出る音がありますね。
ああいう「音」の表現が出来ないって仰ってましたね。
野球のピッチャーでいうと3種類の球しか投げられない。球種が少ないのだとか。
語りの場面場面で出す声が決まってしまって、ただ書いてあるものを読んでいるとしか伝わってこないのだとか。
あっ、これは笠井先生が仰ってたんでした。
小さい頃から、狂言の語りを口真似で親から伝授された萬斎さんにはいろんなバリエーションで声が出せるけれど、そういうのに慣れてない人には相当難しいものなんでしょうね。
笠井先生が仰ってましたけど、語っている時に顎を微妙に変化させる事で「中間音」というものは出せるそうです。
私には出ないですけどね。(←試してみた)

それから、裕基君のお話も少しされてました。
最近は「なんでこんな事しなくちゃイケないの?」
なんて、質問が飛び出すようになったみたい。
「それは俺もそうだったし、おじいさんもそうだったんだ! なんて、訳の分からない事を言ってごまかしてますが・・・」(会場、大爆笑!)
でも、「時代が変わって子どもを取り巻く環境(暗い事件などですね)も昔とは違うので、それにみあった指導も必要なのかなと思います」と言われてました。
フムフム。。




次に、萬斎さんが卒業され、今、講師をされている東京芸大の邦楽関係者で催された「竹取物語」(←クリックしてみてね)の映像を少し見せていただきました。
かぐや姫を野村四郎さん、竹取の翁が万作さん。萬斎さんは庫持皇子(くらもちのみこ)。
かぐや姫の求婚者のひとりで、「蓬莱の枝」をとって来るように言われた御仁です。
蓬莱の枝を取りに行って、帰って来る。そして、献上するがそれは作り物だったのがバレルという場面まででした。
長唄の舞いはテンポがゆっくりで狂言の舞いには長すぎるようでした。
「あれはギリギリのラインでしたね」と笠井先生は言う。が、私には良く分からなかった。勉強不足ですわ。全く。
でも、琴の音や三味線をバックにいつもと違う雰囲気の舞台で面白そうだった。
萬斎さんも良かったけど、万作さんの竹取の翁がものすご~く良かった!
洗練された謡。声。仕草。
それと、蓬莱の枝を持って来た、庫持皇子に「そちこそ、吾妻」(言葉は違うと思います)みたいな事を言って、庫持の皇子もまた、同じ事を返し、ふたりで抱き合うなどという場面もありました。
「ええ~~?なんで~?」ですよね。そのあたりは狂言ッポイのかな?(勝手に解釈)

思いもかけず。良いものが見られてホントに良かったですわ。
教養が身に付いた(?)かなと自分で思ってます。




そしていよいよ、萬斎さんの実演。

「能登殿最後(のとどののさいご」
台本・・・読本かな。
それを読みながら語りが始まりました。
壇ノ浦のクライマックスの場面ですね。

建礼門院が海に身を投げたが引き上げられ、平家の人々は次々に海に飛び込むが大将の宗盛親子は船端に立って眺めているだけ、平家の武士は見苦しい事だと、宗盛を海に突き落とした。それを見て子も海へ。。
しかし、重りもつけず、水練逞しい二人は死ぬことなく、源氏側に熊手で引き上げられます。
能登守教経(のとのかみのりつね)は大変な武者で、義経を脅かしますが、もはやこれまでと太刀・長刀を捨て「教経と組んで生け捕りにせよ。鎌倉に下って頼朝に一言言おうぞ!」叫ぶが、誰も恐れて近寄れない。
最後は、兄弟ふたりを両脇にかかえ「汝ら、教経の供をせよ!」と海に入って身を投げる。享年26歳。

「内侍所都入り(ないしどころのみやこいり)」
ここは知盛さんが海に入水するシーンです。

「今は見るべき事も見終えた」と、乳人の子と鎧を二つ身につけて、手を取り合って海の中へ。。。
その後を侍達も追う。けれど、何故か次郎兵:盛嗣と悪七兵衛:影清らはそこを落ち延びた。

海上には赤旗が散り散りに。。。 誰もいない船が波に漂う。。

という語りを、場面が目の前に広がるように話して下さいました。
今、舞台が続いている「子午線の祀り」と重なる部分がたくさんあって、本当に見ごたえのある実演でした。

これに舞いを取り入れた語りを、笠井さんがプロデュースなさるそうで、場所は厳島神社の能楽堂なんかを考えておられるとか。
今日、萬斎さんは初めてこの語りを講演が始まる前に笠井先生の前でサラリと読んで、今日の岐阜の講演で初めて私達の前で披露されたのだとか・・・
にしても、洗練された声。口調。何も映像がないのに、そこに海の様子が広がっているように感じて、息も出来ないくらいでした。

笠井先生はこの「平家物語の語り」を、狂言の「三番叟」「釣狐」「花子」と同じくらいのレベルのものとして、(披くという意味で)位置づけたいと仰ってました。

最初の「殿上闇撃」のDVD化、な~んて話も最初にされてましたから、今年は萬斎さんの平家物語の語りがアチコチで聞けるかもしれません。
「まちがいの狂言」の海外公演もあるし、まだまだ忙しい萬斎さんですね~。

うう。今日はこれまで。取り合えず、講演の内容でした。
明日は私のプロローグとエピローグのお話をしましょうか。
それと、初めて萬斎さんをお見かけした気持ちとか。。。。
ひとつ言える事は「逢う」じゃなくて「拝見する」が正解だって事ですね。
良く分かりましたです。。ハイ。

長々とお疲れ様でした。 お付き合いありがとう!






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最終更新日  2005/01/14 11:19:20 PM
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