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2005/05/19
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大蔵流狂言 『棒縛』(以下、敬称略)
  次郎冠者(シテ)茂山千五郎   太郎冠者(アド)茂山七五三   
  主(アド)茂山逸平  (後見:茂山正邦)


[あらすじ]
いつも留守居を言いつけると、次郎冠者と太郎冠者が酒を盗み飲むことに困った主は一計を案じます。
まず、太郎冠者を呼びつけ、酒盗みの次郎冠者を縛っておきたいがどうすれば良いかと相談を持ちかけます。
すると、太郎冠者は「次郎冠者は棒を操るので、それを披露させてその棒に腕を括り付けましょう」と提案します。
何も知らない次郎冠者は言われるままに棒の使い手を披露して得意になってると、肩にかけた棒に両腕を括り付けられてしまいました。(案山子のような格好)
その姿を笑っている太郎冠者でしたが、太郎冠者やも主に後ろ手に括られてしまいます。
これで主は安心して出掛けるのでした。
さて、身動きの取れない次郎冠者と太郎冠者ですが、どうにかして酒が飲めないかと知恵を出し合います。
次郎冠者が棒に括り付けられてはいるが、その棒を利用して酒蔵の戸を開けるのに成功。
そして、手首が自由なので酒樽から酒を酌むのにも成功。
「まずは自分(次郎冠者)から」と酒を飲もうとするのですが、棒に括り付けられてるので、どうしても飲む事が出来ません。
そこで、仕方なく、太郎冠者に飲ます事にしました。
次郎冠者は気を取り直して、もう一回飲もうとするのですが、どうしても棒が邪魔で飲む事が出来ない。
嘆いていると、太郎冠者が「ほれほれ、みどもも手首は利く」と言って、後ろ手で桶を持って次郎冠者に酒を飲ませます。
良い気分になった二人は謡や舞で盛り上がる。
そこに主が帰って来ました。ふと見るとふたりが酒を飲んで騒いでいる。
にがにがしく思った主は酒を飲もうとする桶に顔を映し、二人を驚かします。
そして両人を打ち据える主だったが、二人に逆襲されて逃げられてしまう。


もう、最高っすね。この狂言は。
和泉流の「棒縛」を改めてビデオで見たんですが、、その違いと言えばまず、次郎冠者と太郎冠者の位置づけが逆だと事です。
大蔵流では次郎冠者がシテ(主役)です。和泉流は太郎冠者がシテ。シテは棒に括り付けられる方です。
それと、次郎冠者が酒蔵を開ける時や、酒を酌んでいる場面で太郎冠者は、ほとんど座ってましたね。
和泉流では一緒になって立ち歩いてます。
そして、大蔵流では「手首が利く」というセリフを使ってましたが、和泉流では無かったです。
次郎冠者が何とかして酒を飲もうとしている所も、少し違いましたね。
大蔵流はTRYした2回とも、こぼして自分の顔に酒がかかってしまいます。
まだあったぞ。大蔵流では、どうしても酒が飲めない次郎冠者に太郎冠者の方から「みどもも手首が利く」と行って桶を持ちますが、和泉流は、棒縛りされてる太郎冠者(大蔵流では次郎冠者ね:ややこしいなぁ)が、次郎冠者に「後ろを向いて、これを持て」と言ってました。
そして、最大の違いは、主が帰って来てからの場面ですね。
和泉流は、桶に映った主の顔を2回くらいしか見せませんが、大蔵流は何度も見せてました。
それも、主が鼻の下を伸ばしながら、面白い顔をして覗いてはサッと後ろに退く。
そのリアクションとかは関西ならでは“間”を感じましたね~。
主が帰宅した事が分かったシーンでは、次郎冠者と太郎冠者が「おかえり」と主に向けて発しますし、その“間”がやはり、絶妙だなと思いましたヮ。
セリフも「せわしい」とか関西弁が飛び交うような舞台で、見ているコチラのノリも益々、絶好調!
最後の退場で、主が怒って「やるまいぞ。やるまいぞ。」って言うと、次郎冠者は「ゆるさせられい。ゆるさせられい。」と言って退場してました。
和泉流でよく聞くのは「ごゆるされませ。ごゆるさせませ。」ですよね。

萬斎さんが演じてた棒縛りされる太郎冠者の動きはキレがあって、軽やかでしたね。
茂山千五郎さんが演じていた次郎冠者の棒操りは、鋭さはないけれど優雅でした。
主を打つ時も優しい感じ。なので、主役の逸平君の仰け反り方が大仰に見えて、そこがまた狂言らしい楽しさがあったように思います。
七五三(しめ)さんの太郎冠者は、ちゃっかり者で酒を何杯も飲ませてもらって美味しい思いをしてますなぁ。
次郎冠者と太郎冠者の息がぴったり合っていて、桶に映った主の顔に文句を言ったりしてる場面は最高に面白かったです。
会場は何度も爆笑の渦に! 隣の男の人(臭うおじいさんとは違う人)は、もう堪えられないというように、バカ受けしてました。
主の逸平君は、そこに立っているだけで妙に笑いを誘いますね。
真剣に怒ってるのに、なんか滑稽なのよ。そんな主だから、雇い人に酒を盗まれるんでしょう。

桶に映った主の顔を見ながらの二人の謡は、能「松風」のパロディだそうです。
「松風」とは、在原業平にかつて寵愛を受けた松風と村雨という、二人の海女の霊が昔語りを旅の僧に話し、供養を頼むというような内容なんだけど、それをどのようにパロディってるのかは、よく分かりません。
謡の内容が分かれば、理解出来るかな。
「二人の冠者」と「二人の海女」これがキーワードなのは分かるけれど、その先は読めませぬな。

大蔵流:茂山家の狂言。とっても、関西人に合ってる狂言だと思う。笑いのツボが関西系です。
セリフの“間”と、声のトーンの上げ下げ、顔の表情、仕草。
全部が関西っぽく感じました。と言うか、京都のホンワカした空気を感じさせてくれた。
これが一番の楽しみだったので、「棒縛」という人気のある分かりやすい演目でホントに良かったです。
茂山家は、また7月にお見えになるのですが、その時の演目は「柿山伏(シテ:逸平君)」「空腕(シテ:千五郎さん)「長光(シテ:七五三さん)」の3番。
そして、そして! 解説に千三郎さんのお名前が!
うんにゃ~、見たいなぁ。行きたいなぁ。しかし、土曜の午後6時開演とは。。。
家族のスケジュール的に絶対ムリな時間帯なのでした。。。
人生は長い!いつかきっと思う存分楽しめる時が来るのを期待して、今回は見送る事にします。
年1回でも見る機会があるんだからヨシとしますヮ。

以上、狂言「棒縛」のレポでやんした。 ご拝読、ありがとうです~。






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最終更新日  2005/05/19 11:50:47 AM
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