☆陰陽師 小箱☆

2007/03/28(水)22:51

『鬼の継子』  びわ湖ホール

野村萬斎さん あれこれ♪(274)

『鬼の継子』(おにのままこ)  びわ湖ホール         鬼   野村 萬斎         女   石田 幸雄                     後見 岡聡史 【あらすじ】  越中の国、芦倉の里に住む藤吾三郎が昨秋に亡くなったので、未亡人になった女が  実家に帰ろうと子どもを抱いて旅をしている。  そこに鬼が現れ、死んで地獄ににいる夫が極楽にいけるよう閻魔にとりなす代わりに、結婚を迫る。  女は仕方なく承知し、身支度をする間、鬼に子守りを頼む。  はじめのうちは楽しげに子供をあやしていた鬼だが、かわいさのあまり我慢が出来なくなって… 【解説】  狂言に登場する鬼は、いつも人間の英雄や女性に負けてしまう役どころである。  恐ろしい外見からは創造できない小心者の鬼も登場する。  この狂言では、美しい女を見て嫁に迎えたいと思ったり、子どもの愛らしさに惹かれていくなど、  可愛らしい一面を見せる。  しかし、やはり鬼は鬼。本性が現れて結末はホラーに? 真っ暗な会場に、ほんのり明かりが射し、今度は舞台中央に桜が1本だけ浮かび上がりました。 雰囲気は夜。 子どもを抱きかかえた女(石田さん)が登場し、次↓のセリフが字幕で現れました。         【幕開き 女の台詞】           越中の国 芦倉の里に           藤吾三郎と申す者の妻でござる           妾がつれ合いは           去年の秋 お死にやったによって           それより面白からぬ月日を送る事でござる           又、親里から呼びにまいった程に           あの方へ行かうと思ひまする そこに、桜の木の陰から鬼(萬斎さん)が「いで、喰らおう~~~!」と出て来ました。 そして、命乞いする女に向かって「嫁になれ」と迫ります。 そうしないと死んだ亭主が地獄で責め苦にあうと脅すんですねぇ。 鬼は亭主の生前のあくどい所業を述べ立てます。 この鬼の台詞も字幕で出ました。         【三郎の罪状報告】           伯父の馬を盗み取って           老馬の歯をもぎ           四足より血を取って           若馬に作りなし           白ひところを墨で塗って           他郷の市へ引いて往て売った           此の罪 甚だ軽からず           閻魔王の怒り強く           舌を抜かれ           臼で砕かれ箕で簸られ           暫時も易からぬ事じゃ 女はしぶしぶ鬼の言う事を聞くことしましたが、この格好ではすぐに行けない。 身支度をするから、その間、この子どもの守りをしてくれと鬼に頼みます。 「ウマそうな~~~」とヨダレを垂らす鬼に、よくもまぁ子どもを預けますな。。 鬼は子どもの首根っこを捕まえてぶら下げます。 この子どもの人形が良く出来ていてね~。 狂言では赤ちゃんの小道具もいるんだな~って思いました。 女は鬼の仕草に激怒! ちゃんと抱っこしてあやせ!としかります。 これから、夫婦になれば、子守もしてもらわなくてはイケないのだから、ちゃんと扱うようにと。。 果たして鬼に子守が出来るのだろうか~? 鬼はオドオドしながらも「こうか。。?」と抱っこします。 女が「ちょうち。」と言ってみなされ。 と言い、鬼が子どもに向ってそう言うと、子どもは嬉しそうに手を叩くんですね。 実際には人形ですから、叩きませんよ。念のため。。 「ちょうち、ちょうち」 良く子どもが小さい時に私もあやしましたわ。 「ちょち、ちょち、あわわ、かいぐり、かいぐり、おつむてんてん」☆(≧∀≦)☆ 抱っこしてみると、可愛いお目目はしてるし、手を叩いて芸はするしで、 鬼はすっかり子どもが可愛くなって、肩に乗せて鬼の囃し歌を歌いだします↓           【鬼の囃し歌】             鬼の継子を肩に乗せて             御所へ参ろう             御所へ参ろう この時の字幕ですが。。 鬼の字だけが赤色になってて、字も滲んでいる感じで出るんですよ。 良く、お化けの番組で字が躍ってたり、揺らめいてたりするでしょ? あんな感じ。 嬉しそうに囃しているけれど、底には空恐ろしい空気があって見るからに不気味な雰囲気でした。 そして、ちょっと疲れたので、子どもを下に下ろして暫く眺めていたのですが。。 鬼から発する気が一変! 先ほどまでの楽しげな陽気さが、妖気へと変わるんです。 唸り声を発したかと思うと、突然、子どもを喰らおうとします。 ビックリ仰天した女は、子どもを抱えて花道を必死に逃げてゆきます。 それを両手を広げて追いかける鬼。。 あの後、どうなっちゃったんだろう。。 拍手するのも気がひけるほど、怖い雰囲気で終わった。 舞台の中央、桜の木の元に花びらが舞い降りて渦を巻いて。。 いつまでも、不気味さを残しながらの終演となりました。 鬼の継子の桜は、とても妖しげでしたよ。 石田さんが解説でおっしゃってた、桜のいろんな面を見せて下さったように思います。 鬼の継子で桜の木が1本だったのは、この世のものでない鬼が1匹、夜桜に紛れていたからかな?とも思いました。 そんな意図が萬斎さん側にあったのかどうか、わかりませんが、私はそんな風に思いましたね。 「清水座頭」では、夫婦になる巡り合せの者が二人。。2本の桜 「鈍太郎」では、夫と二人の女で。。3本の桜 「鬼の継子」では、異形の者1匹。。1本の桜 ってな、つきうさ的解釈もさせていただいた、今回のびわ湖ホールでの公演でした。 「男と女の道行」を十分、堪能させてもらいました。 長々とレポにお付き合い下さいまして、ありがとうございます。 また来年、どんな素敵な舞台が見れるか、期待に胸を膨らませて待ちたいと思います♪

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