☆陰陽師 小箱☆

2009/08/09(日)22:11

夜半(よは)の蝉

つきうさの「ひとりごと」(409)

このような時間であるにも関わらず、外で蝉が鳴いている。 弱々しいアブラゼミの声。 昼間は大きな声で元気良く鳴いていたが、今は消え入るような儚げな声だ。 外は雨なのに、その声はおさまらない。 もう目も見えないのだろうか。。 滴り落ちる雨の滴や、陽がとっくの前に隠れた事も感じないほど、感覚も鈍っているのだろうか。。 時折、激しい豪雨になり、その弱々しい声は妨げられるけれど、雨足が緩めばまた彼の声が聴こえてくる。 恋の相手を求めても、ここでは条件が厳しい。 ましてや、こんな夜半では確率は無に等しい。 望むらくは、明朝までその細くて壊れそうな命を保っていて欲しい。 切なく哀しげな、夜半(よは)の蝉声。 耳について消えそうにない。

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