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2012/01/09
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平成二四年が明けて早九日。 みなさん、今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

まだ喪中であるにもかかわらず。。 昨日、お能&能楽堂初デビューの娘と一緒におめでたい能会を鑑賞してきました。
現地で萬友のあんず.さんと合流しての観賞でした。
こちらの例会は当日にお席を選ぶという方式でしたので、開場の1時間前くらいに並ぶ意気込みでいたのですけど実際、能楽堂に到着したのは40分くらい前でした~。
一足先に到着されていたあんず.さんさんによりますと、ついさっき、萬斎さんご一行が居並ぶお客さんの前をさら~~とお通りになって楽屋入りされた。。。との事。
至近距離でなかなかお目にかかれない生萬斎さん(笑) こいつぁ~春から縁起がいいわい!な体験をされたあんず.さんなのでした☆彡
う~~ん。東山駅でトイレに行かなければ、萬斎さんと一緒に一瞬でも歩けたか~?などと、妄想にしばし耽るワタクシでした(苦笑)

ではまずプログラムを紹介して、その後、感想を書きますね♪

「京都観世会 一月例会」
  2012年1月8日(日) 京都観世会館  午前10時半開演

★【翁】
  翁大夫 林喜右衛門   千歳 武田大志  三番叟 野村萬斎  面箱 中村修一

★能 【弓八幡】
  シテ 浦野保浩 シテツレ 深野貴彦  ワキ 福王和幸 ワキツレ 喜多雅人 中村宜成
  アイ 竹山悠樹

★狂言 【三本柱】 シテ 野村萬斎  アド 深田博治 高野和憲 月崎晴夫

★仕舞  【鶴亀】 杉浦源三郎  【屋島】 片山九郎右衛門
     【梅 クセ】 片山幽雪  【須磨源氏】 大江又三郎

★能 【采女 美奈保之伝】 シテ 観世清和 ワキ 福王茂十郎 ワキツレ 廣谷和夫 森本幸治
            アイ 石田幸雄

★仕舞  【難波】 井上裕久  【羽衣 クセ】 梅田邦久  【鞍馬天狗】 杉浦豊彦

★能【岩船】  シテ 大江泰正 ワキ 有松遼一  ワキツレ 小林勉 久馬治彦


【翁】
新年を迎え、天下泰平、国土安穏を祈念する翁始め。
始まりを知らせるお調べが揚幕の中で奏でられた後、お清めの火打石をカチカチ鳴らす音がしばらく響いていました。
能舞台にも切り火がされ、会場内も次第に静かになって始まりを待ちます。
最初に登場したのが面箱役の中村修一さん。万作家の若手狂言師さんです。
今回の舞台が面箱の披キになるのかな。
緊張されている感じでしたが、落ち着いて役目を全うされていたと思います。お声もハリがあって良かったです。

翁大夫が舞台中央から見所に向かって深々と礼をする所作に思わず返礼しそうになりましたが、あれは昔、舞台正面に神の座がしつらえてあったから。。と、解説に書いてありました。
露払い役である千歳がまずは舞いますが、千歳をつとめられた武田大志さん(観世流シテ方)
素晴らしい声で堂々としていて、もの凄くインパクトがありました。
萬斎さんの表情が気になってオペラグラスで確認したところ(座席は正面席の最後尾)、やはり鋭い目で武田さんの様子をうかがっておいででした(笑)
萬斎さんは中村さんの面箱のパートも厳しい顔つきで横目でチェックされていましたし、それは後見の深田さんと高野さんも同じでしたねぇ。

翁大夫の言祝ぎの舞いは、今年こそ良い事がありそうなそんな気持ちにさせてくれる有難~~いものに感じました。
舞台から見所に向かって、ほんわかした風がさざ波のように吹き渡ってくるような心地よさでした。

翁大夫と千歳が退場すると、いよいよ萬斎さんの三番叟~~です♪ いよっ!待ってました~~☆彡
お囃子の調べがグッと引き締まったものに変わるのが印象的です。

揉之段での大地をガッツリと踏みしめる力強さと体のキレは相変わらず迫力満点で、後であんず.さんとも話していたんですけど、「萬斎さん、気合入ってるな~」って思った。
目付柱に向かってドドーッと突進! 小鼓方のところまでダダーッと猛進!
ぶつかりそう~~な寸前で停止。 いやはや、メリハリが凄いです、ホント。
揉之段、終盤の烏跳び連発は高さも軽やかさも衰えてなかったです、モチロン♪

次は黒式尉の面を付けて神様に扮装した三番叟さんが舞う鈴之段。
ゆっくりなテンポで鈴を鳴らしながらの種まき所作。 じわじわとそのテンポの心地よさが体の中に入っていく。
少しずつ少しずつテンポが上がり、神様の言祝ぎが螺旋を描いて天に昇っていく感じ。
ああ~。力強い揉之段もいいけれど、段々と高揚していく鈴之段がやっぱりいいな~。

「翁」はみなさんの衣装も普段と違う趣で、見た目にも「特別なお能」って印象を受けますね。
囃子方さんも彩ある素袍上下に烏帽子姿ですし、地謡や後見の人もお揃いの素袍と烏帽子姿でした。


【弓八幡(ゆみやわた)】
 後宇多院に仕える臣下が宣旨を受けて男山八幡宮の初卯神事に参った。錦の弓袋を担いだ老人を見かけて不思議に思った臣下が問いただすと、これは桑の弓であり君への捧げ物だという。神代には桑の弓と蓬の矢で世を治めていたというが、今は泰平の御代であるから袋に納めてあると説き、八幡宮の縁起についてさらに詳しく語り始める。その内に自分は八幡宮の末社、高良の神であると明かし、何処ともなく消えてしまう。<中入り>
やがて高良の神が凛々しい男神の姿となって悠揚と現れる。音楽と異香の満つる中、晴れやかに神舞を舞い、八幡宮と君の威徳を讃美するのだった。(当日の解説書より)


「翁」の脇能として、舞台には囃子方(小鼓2名は退場)や地謡が残ったまま引き続き上演されました。
ワキにご贔屓の福王和幸さんご登場~☆彡 前よりちょっとお痩せになったかなぁ。
お顔もお体も前よりスリムな印象を受けました。でも、整ったお顔立ちはお変わりありませんでした。(←着眼点はやっぱりソコ!)

お能はね。。。眠いんです。ホント。
日曜だというのに、良席確保したいばかりに朝の5時過ぎに起きました。それまでの日々の寝不足もたたって、眠りの世界に意識が飛ぶことしばしば。
目を開けていたはずなのに、いつのまにか能舞台が視界から消えている。
あぁん。福王さんなのに。久方にお目にかかったというのに。。
っつか、萬斎さんの鈴之段の時も萬斎さんが視界から一瞬消えたっていう、不作法なファンだった私。
間語りの竹山悠樹さんの、とつとつと語られる高良の神の経緯も子守唄化することシバシバ。
大層お稽古を積まなければ、間語りもあのようにスラスラツラツラと語れないと思うのですが、本当に申し訳ありませぬ。どうぞ、お許しあれ。
中入り後の後場は男神様の舞でお正月に相応しいものでした。(って、感想それだけかいっ!)


【三本柱(さんぼんのはしら)】
 果報者(シテ)が普請がおおむね出来上がったので、太郎冠者・次郎冠者・三郎冠者(アド)の三人を呼び出して、金蔵の柱にするために伐らせておいた山の木を三本運んでくるように命じる。ただし三本の柱を三人が二本ずつ持って来いという。三人は山へ出かけていく、柱を見つけ出し一本ずつ持って運びはじめる。途中休憩した三人は、主人のいいつけにあった、三人が二本ずつ持つという条件を思い出し、困って相談する。そのうち太郎冠者が思いつき三角形にした三本の柱のそれぞれ二本ずつの柱の角を持つことで問題を解決する。そしてめでたく囃しながら山を下って帰ると、果報者は喜び、拍子にかかって迎え入れめでたく留める。(狂言鑑賞 二百一番より転写)



初見の演目でした。弓八幡のお能が終わって、すぐ始まったので(引き続き、囃子方さんは残ってらっしゃいました)、「あ。もう出てきはったわ。」と居住まいを正す(笑)

主人と冠者たちの関係って、狂言では相手に不平不満を炸裂しているものが多くを占めていますが、この演目は主人である果報者(萬斎さん)も従者である太郎冠者(深田さん)・次郎冠者(高野さん)・三郎冠者(月崎さん)のみんなが善い人で、相手を敬い大切にしているという狂言らしからぬ設定で、ちょっと驚きました。
太郎冠者は冠者の中でも長男的な存在でしたよ。次郎冠者、三郎冠者が柱を担ぐのを手伝い、いざ自分が担ぐときは手伝ってもらえないのだけど、すぐに良い手を閃いて一人で担いだり。
柱を運ぶ途中でご主人の注文を思い出し、どんな注文だったか覚えていない頼りない二人を責めるでもなく、良い知恵を絞りだしたのも太郎冠者ですしね。
さすがは第一の従者さんです。三人を見ていたら「だんご三兄弟」を思い出してしまった。(古い~~)
果報者の萬斎さんは柔らかい笑みをたたえて、大らかなご主人さまの印象を見せてらっしゃった。
期待通り、冠者たちが三本の柱を二本ずつ持って帰ってきた時の喜びよう。こっちも嬉しくなっちゃうわ~。
三角形の柱の中に入って、一緒に囃して跳びはねる果報者さん。見ているだけで幸せな気分を分けてもらえる、そんなステキな演目でした。

三本の柱を見ていると、毛利元就の「三本の矢」の教えや、かつて勤めていた松下電器(現パナソニック)の「三松葉」の社章を連想しました。
どれも、ゆるぎない力といいますか、ちょっとやそっとでは崩れないぞ。という共通点があるような。ね。

とにもかくにも心優しくて芯があって。。お正月に相応しい演目だったな~って思います。
果報者の萬斎さんが舞台中央に立たれた時は、座っていた席からはほぼ真正面に見えるわけで。。
思わず頬がゆるんで、娘とニヤニヤして顔を見合わせていました(笑)

オペラグラスを使わなければいけないような遠い席ではないのですけど、衣装の絵やら細かい表情とか見たくて時々使っていました。
でも、萬斎さんと視線が合うのは嫌というか、オペラグラス使っているのがバレバレで見咎められるのが恥ずかしいので、下や横を向いてらっしゃる時にこっそり見たりしてた。
それでも、顔をあげてらっしゃる時にそーーっと見たりしてましたけどね。幸い、目線は合わなかったのでホッとしたり(爆)

お能の「采女」まで頑張って鑑賞したのですけど、睡魔も相まってもうホンマに限界で。
「采女」に至っては、大倉源次郎さんが小鼓方でご出演だったので見ただけで、途中から苦痛極まりないダメダメ能鑑賞者に成り下がってました。
シテをつとめられた観世清和さんも好きな能楽者のおひとりなんですけどねぇ。
間語りは石田さんがご担当でしたが、ごめんなさい。ほとんど聞いてなかったです。

お能初デビューの娘も「萬斎さんのところしか見てなかった。。」と、こちらも撃沈。
でも、能楽堂の雰囲気は凄く良かったそうです。

2012年の能楽鑑賞は萬斎さんの三番叟で幕開け。それだけでも良いスタートが切れたワタクシでした。






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最終更新日  2012/01/09 10:56:53 PM
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