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暗い海(仮)



ジョンは大きな豪華客船の見習いのコックでした
見習いの中でも仕事が出来なくて
皿洗いばかりさせられていました

疲れ果てた時、ジョンはエミリーに出会いました
エミリーはとても美しい女性でした
ジョンはせき止めていた日頃の悲しみや怒りを
彼女にぶつけました
彼女は誰も聞かないジョンの話を
ただ静かに
聞いてくれました 
ジョンはたったそれだけで幸せにな気持ちになりました
ジョンはエミリーに会うために毎日甲板に出るようになりました
仕事そっちのけで毎晩も昼も朝も
そんなジョンに仕事仲間はカンカンです
「お前一人の勝手で何人が迷惑してると思ってるんだ
お前は皿洗いしか出来ないくせに
魚一つさばけないじゃないか」
ジョンはムッとして包丁を取り出しますが
ジョンは弱虫なので生きてる魚をさばくことが出来ませんでした

次第にジョンはこんな所は僕のいる場所じゃない
エミリーと一緒に居る日々の方が楽しいと思いはじめました

ジョンはエミリーに嘘をついてエミリーを客室に閉じ込めました
そこには食べ物が沢山あったので
しばらく二人はそこで一緒に過ごしました
二人でいろんな事をしました
最初は幸せな二人でしたが

エミリーはジョンが作ったケーキを食べながら
泣きはじめました
「どうしたんだい?」
ジョンは聞きました

「そんなに不味かったかい?」
ジョンは笑いながら言いました

「ジョン、あなたがいるべき所はここじゃないわ
私もずっとここにいるわけにはいけないの
ジョンごめんね」 
エミリーはずっと言えなかった事を言いました

「え?」
ジョンには突然の事でなんの話をしているのか理解出来ませんでした

「この船はあなたみたいな人が乗る船じゃないわ」
彼女はそう言ってドアをこじ開けて外に出ました

ジョンは声を失いました
なんで 好きなのに 愛してるのに なんで なんで
ジョンは周りが見えていませんでした
ジョンはしばらく部屋に取り残されて
「ケーキが不味いのは皿洗いばかりさせたみんなが悪いんだ」
とか
「僕が弱いのは皆が強すぎるからだとか」
言い訳を一人で繰り返していました
泣いて泣いて泣き続けました
あまりのうるささに
今まで見ないふりしていた仕事仲間も
そんなジョンにあきれ果てて
甲板に引きずり出しました

外で反省してろ
船のみんなは言いました

ジョンは自分の事ばかり考えていました
反省する気持ちなんかこれっぽっちもありません
暗い海の方を見つめて
ずっと下ばかり見ていました
ただ 泣いて 怒って 
最後に狂ったように笑いだしました

ジョンが見たのは水面に写った満月でした
ジョンがエミリーと出会った日も満月でした
満月は明るすぎてジョンには水面に反射した光でも
眩しすぎました
ジョンには船の人全員が敵に見えました 
敵にしたのはジョン自身でした

ジョンは自分で何を言ってるかも解らなくなっていました
「月の光が水面に反射するように
僕も暗い海に飛び込めばあの空にいけるのかな」
そう言うとジョンは暗い海に飛び込みました

空から落ちてきた者に注目して
魚たちが目を覚ましました

船の上は静かでした

ずっと泣いていたジョンにはこの海が
これはきっと自分の涙だと思いました
ジョンは力なくただ浮いていました
浮輪を探しても
光り輝いてるのは船が通った後にできた
泡のあとだけでした
ジョンにはその泡一つ一つがエミリーとの思い出のように見えました
その泡は船が前に進むたび一つずつ消えていきました
波の音が心臓の音を掻き消して

今まで食べてきた魚たちの影がジョンを
睨みました 魚たちも必死に生きているのに
眠いのに起こされてカンカンでした
ジョンはまた泣きはらして
水面があがったて どんどん 息が出来なくなりました

ジョンは最後の泡を見つめながら
猫が好きだった彼女の事を思い出しました
このまま 魚の餌になって
魚になって そして 漁師に釣られて
その魚を猫が食べて 猫になって エミリーの好きな猫になって
そんな夢をジョンは浮輪のかわりにしました

ジョンの体はどんどん沈んでいきます


「愛してる」

ジョンはそう言うと溺れてしまいました


その時です
遠くから音がしました

漁船です
漁師のおじいさんがジョンを助けてあげました
ジョンはずっと眠ったままでした
夢のなかで 魚に食べられることに夢中でした

数日間の後に目覚めましたが
おじいさんに勧められても
魚を食べる気にはなれませんでした
一口だけ口にして 捨ててしまいました
何日も
何ヶ月も
その船に乗っていました
ジョンは泡のように消えてしまいたいと思っていました


おじいさんがジョンに言いました
「もうすぐ陸につく」

陸? ジョンはずっと海の上で生きていたので
存在は知っていたけれどまったく興味がありませんでした

「これから集めた魚を家族や街中の皆に配っていく
お前も手伝え」

ジョンはうんざりでした
魚を食べる人間も嫌いだし 魚に食べられる夢を見るのも嫌いでした

ジョンは夜になるとまた海に飛び込みました

目が覚めるとまた別の船にいました
若い夫婦の乗ったヨットでした
二人は魚釣りを楽しんでいました

ジョンも元気になると魚釣りをして遊びました

でも泡を見るたびにジョンはエミリーを思い出しました

その度に海に潜りました


ジョンが愛と呼んでいた砂時計を自分で壊わしてから
その砂時計では測れないほどの長い時間が立ちました


ジョンは暗い海が嫌いでした
怖いし孤独で一人じゃ立っていられませんでした

エミリーは暗い海の強い風も匂いも寒さも
遠くに見える小さな光もすべて大好きで
その一つ一つを大切にしていました


ジョンは海が大嫌いでした
エミリーは海が大好きでした

ジョンは

なんども

なんども

自分から溺れました


ジョンの涙は海にとってはわずかなものでした

ジョンはエミリーが海が好きな理由が解るような気がしました
海の中にはエミリーやジョンだけでなく
世界中の人の涙が混じっていました

少しずつ蒸発しては雨をふらせ
それはまるで大きな砂時計のようでした

今日もどこかで船は誰かを乗せて前へ前へと進んでいきました
あの船にもこの船にも
みんな笑顔で溢れていました

暗い海に風は吹き止むことはなく

泡がすべてはじけて無くなる事も
ありませんでした

そして朝日が昇らない日も
ありませんでした

一匹の魚が
眩しさで目を覚まして
それを漁師が釣って

包丁を魚の首にあてがいながら
漁師が一言呟くようにいいました

「ごめんな 前に進みたいんだ」

暗い海の中で生き残った魚たちは
どうしてるのだろう
どこに消えてるんだろう
お葬式はしてもらってるんだろうか
自分は海の一部になれるだろうか

彼は最後のポッケに入った紙を見つけました
ケーキのレシピでした
それを見て ニヤリと笑いました 

どこかで見たような優しい笑顔でした

久しぶりに作ったケーキはしょっぱい味がしました
しかし彼はそれを潮風のせいにはしませんでした

小さな小さな船は
少しずつ泡の轍を海に残しながら
寒くて暗くて進路を間違えることもありましたが
確実に前に進んで行きました

暗い暗い海の中
ジョンの大好きな海の中へ


終わり

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2006.03.10
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勘違いをしてる人がいるので

俺は脱引き篭もりしたYO!!






Last updated  2006.03.11 00:55:14
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さかな@ Re: 乙っす!!!!そしてあざっす!!!!!…
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