テーマ:政治について(19773)
カテゴリ:政治と法律
これは「時事評論@和の空間」に書くネタのような気もするが、天皇が関連してくるのでこちらのブログに書くことにする。
いわゆる“右翼”は、これに拍手を送るのかもしれないが、私としてはちょっと賛成できない発言である。 日本のトップは、安倍首相ではなくて今上天皇である。そして、天皇は(形式上は)内閣総理大臣を任命し彼に全権を委任しているから、安倍首相は名目上第2位(集団で考えれば国会の総意が名目上第2位で内閣は名目上第3位)にして実質上第1位である。日本の国会も政府も、名目上は“天皇の名のもとに”政治を行っているのであって、しかも天皇の個人的な政治的発言に支配されない権利をもつという意味で、天皇には一切の政治的責任を及ぼさない。日本の政治は天皇の名義借り政治である。 一方、現在の中国には皇帝は存在しないが、かりに中国共産党帝国とするならば、胡錦濤国家主席が皇帝のポジションに対応するだろうし、中国共産党序列2位は呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長(日本の国会議長に相当)ということのようだ。日本だって国権の最高機関は国会であり、指名の序列関係からして内閣はその下位になる。 したがって、安倍首相と温首相とは両国の序列関係からいってほぼ対応しているのであり、儀礼上で非常識とは言えない。いわゆる“右翼”は、天皇の地位は世界的にも別格で中国の国家主席よりも上だと思っているのかもしれないが、そして、歴史的価値において天皇が別格であることは確かなこととは思うが、各国家内における政治的序列を考えた場合には、今上天皇と胡錦濤国家主席とが対応することになる。 私は中国の政治的内情をよく知らないが、胡錦濤国家主席も何やらお飾りのように見えないこともないので、天皇と似たような面もあるのかなあとも思う。しかし、国家主席は政治権力者であるのに対して天皇は政治権力をもたないポジションに置かれているから、その点では決定的な違いがある。 細かく見ていくと儀礼上で不適切な部分も出てくるのかもしれないが、中川氏がいうほど「おかしい」わけではない。まして今回の件に関して彼らが中華思想と朝貢の発想で外交を展開しているわけではあるまい。安倍首相は形式的には天皇から国家の全権を委任されて訪中しているようなものだから、胡錦濤国家主席の訪日が儀礼上ふさわしいという考え方もできるが、一方で温首相が国家主席から全権を委任されて訪日しているという可能性も考えられるわけで(今回の訪日がどのようなものかは知らないが)、儀礼上それほど失礼というわけでもない。 日本国は、君主が臣下(すなわち日本国民)に政治を全権委任してしまっているという意味で、非常に特殊な国である。儀礼を云々する場合には、かなり原理的なところから議論をはじめないと正しい答えは出しにくいだろう。 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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