カテゴリ:短歌
5月20日『NHK短歌』 題「光る」または自由 選者 辺見 じゅん 選者による入選十二首から、私が注目した歌をいくつか。 潮干狩り貝の色にも春光る 子らの手元の笑いたるよう笑っている主体は子らのようでもあり、手元の貝のようでもある。貝は春の陽に光るだろうが笑いはしない。しかし子らの手の中にあると微笑むくらいはあるかもしれない。楽しそうな情景である。 妻の病室六階なり 百三十段われ祈りつつ今日ものぼりゆく今日も元気でいてほしいという願いを込めてエレベーターを使わずに階段を登っているのだろう。選者もコメントしていたようにこの歌は山の上のお堂に願掛けに行くようなイメージとも重なり、病状はかなり深刻なのだろうが、妻と少しでも苦しみを共にしようとする夫の温かく微笑ましい歌でもある。 苺ジャム煮る鍋の中 くれなゐの海たぶたぶと春を光らす「たぷたぷ」のほうがいいのではないかと選者評。私もそう思ったのだが、ひょっとしてかなり水分が抜けてきた状態を歌ったのか? そうすると、たぼたぼという感じかな? それとも、たぽたぽ? こぽこぽ? ぽごぽご?・・・擬態語は、正解をだすのは難しいが自由に考えているぶんには面白い。楽しそうな一場面だなあと思う。 春の海少し乱して瀬戸内の光を一尾釣り上げゐたる瀬戸内海は凪いでいる海だから、“少し乱して”となる。釣り上げるときに魚がパシャパシャと水しぶきをあげて、それがたとえば夕日にキラキラと輝いていたのかもしれない。 黄昏の光を浴びしビル街は昔栄えた廃墟に見ゆるここのビル街は、だいぶ古くなっているのかな? 街から活気がなくなってくると、建物が同じ古さでも廃墟に近くなる。 《『NHK短歌』のホームページ》 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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