カテゴリ:短歌
辺見じゅん選の佳作より、私の注目した歌にコメント。 和菓子屋のショウケースには春の色形いろいろ並べられたり和菓子の色形は季節に合わせて作られている。だから、この歌にある「春」を夏、秋、冬に置き換えてもそれぞれの季節感が出てくるのだが、「いろいろ」という言葉は特に春と秋とがふさわしい。 そのときに頭の中がまっしろになるからなのか「告白」の「白」たぶん告白体験がそう思わせたのだろう。若い子のドキドキ感が伝わってきて、こういう歌も好きだな。本当は、独白、敬白、自白、白状など、白には「言う」という意味があるんだけどね。 とっぷりとあなたの色に染まりたり ハイより外に返事はいらぬ作者は年配の方であろうか。女性の奥ゆかしさを感じる。 B29の濃き鉛筆はありますか 独り言ちつつ基地を描きゆく鉛筆の黒さの度合いを表示するBは6Bまでしかないのだが、言葉遊びでB29爆撃機を暗示している。どす黒い感じを描きたかったのかもしれない。 忙しきひとひを終えて見る夕日 浄土の色かこころ安らぐ沈んでゆく夕日を何も考えずにただのんびりと眺めているのもいいものだ。日没を見て浄土を観想する「日想観」という瞑想法が『観無量寿経』に書かれている。 おだやかな落葉の色の篁をそびらに涅槃の仏まします篁は竹藪、そびらは背中の意味。涅槃とは、煩悩が完全に消滅して心が無上の安らぎを得ている状態。竹藪の裏手のひっそりとしたところにただ一人安らいで坐っている仏像を描写したもの。おそらく如来がお堂に鎮座ましましているのだろう。ことさら“涅槃の仏”と表現したのだから、路傍のお地蔵さん等とはまた違う。 《『NHK短歌』のホームページ》 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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