2008/07/26(土)22:16
ボート ~NHK短歌より
7月6日『NHK短歌』 題「ボート」または自由 選者 栗木 京子
特選三首の中から、私が注目した歌にコメント。
矢のささる鴨助けんとボート出す平和な国に我ら住まいて
大阪府門真市 山下和子 世界には戦争その他もっと残酷なことがいっぱいあるわけで、鴨ごときで大騒ぎする日本人をやや皮肉った歌とも言える。だが一方で、やさしさが高じて極端な動物愛護に走るのもどうかと思う。増えすぎてから大量に殺すよりも、繁殖するまえに少しだけ殺すというあり方もあっていいはず。上記の鴨については、快楽によるものだから非難されるべきことではあるが。
ゴム製のボートを漕いでいるような優しさにじむ 母という字は
高知県越知町 宮橋敏機 空気が入る場所と二本の櫂、そして乗っている二人を「母」に見立てた。ゴムのやわらかさのほか、水面に浮かぶゆらゆらした感じも母のイメージと重なる。のんびりと語り合う二人の様子も、良好な母子関係を暗示するかも?
では、自作。
漂流の一生なるか 夢のなか海図をながめ舵は握れず
桜井和空
《『NHK短歌』のホームページ》
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