カテゴリ:短歌
森山晴美「現代短歌アンソロジー 病」から、私の注目した歌にコメント。 麻痺の夫と目の見えぬこりゃあキツイ。老老介護の扉が開かれていく予感。 衣食足りて住む家のあるさいはひを思ひてま昼ひつそりと臥す現在はホームレスが社会問題化しており、「衣食足りて住む家のある」が“幸い”ではなく“当然”と思っていた時代が昔になってきた気がする。この歌集は2001年に出ているので、バブル崩壊後に不運な人々を思っての歌だろう。 あちらこちらたしかに老人を見ていると、いつカチャッと割れてしまうか・・・というような感じに見える。この身体感覚は私にはまだ分からないが、自分の身体だけに依存している人にとっては、恐ろしい心理状況だろう。 なかで何か起こりゐるとも知らぬまま持ち歩く箱のごとし体は誰でも、いつ癌になるか分からないという時代である。しかし、知るまでは何も知らない。 仕事の量やや広ぐるもよからむと主治医のけふのことばは泉仕事をしている自分こそ本来の自分と思っている人にとっては、この言葉は命を吹き込まれるような感じだろう。 こころの身体に疾患があるから食べられないのか、悲しいから食べられないのか。これは、肉体に疾患がある“から”私は悲しいという分析的な思いではない。からだの痛みがそのまま心の世界に悲しみとして映し出されているだろう。病んでいる時って、だいたいこんな感じだよね。(-_-; 《『NHK短歌』のホームページ》 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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